クリスマスも走り続けるケアマネージャーが本音で語る年末の現場と心のケア

[ 12月の記事 ]

はじめに…クリスマスも「通常運転」のケアマネさんへ

街はイルミネーション、スーパーのBGMはクリスマスソング一色。
なのに自分は、いつも通り利用者さん宅をハシゴして、車の中からその賑やかさを横目で眺めている…。

現場で働くケアマネージャーさんにとって、クリスマスや年末は「特別なお休み」どころか、むしろ1年でいちばんバタバタする時期かもしれません。朝から夕方までは担当している利用者さんのところを回り、合間に電話調整や書類、夕方からは会議や記録…。就労先を出れば、今度は親・配偶者・子どもとしての顔に切り替わり、家のご飯や家族のイベントも待っています。

カーラジオから流れる楽しげなクリスマスソングを聞きながら、ふと心のどこかで「自分のクリスマスって、いつだったっけ?」と苦笑いしたことのある方も多いのではないでしょうか。周りはケーキだ、チキンだ、バーゲンだと盛り上がる一方で、ケアマネさんの頭の中は「1月のサービス調整」「年末年始の体制確認」「急な退院の相談」でいっぱい。そんなギャップが、少し切なく、そして誇らしくもある時期です。

この文章では、クリスマス前後の12月に、ケアマネージャーがどんな仕事に追われ、どんな気持ちで利用者さんや家族と向き合っているのかを、現場のリアルな感覚で辿っていきます。ただ「忙しい」と嘆くだけではなく、その忙しさの裏側にある利用者さんの思い、お正月を迎える不安と期待、そしてケアマネ自身の生活との折り合いのつけ方まで、一緒に考えてみたいと思います。

これからケアマネージャーを目指す方や、同じ事業所で働く同僚、在宅介護に関わるご家族にも、「そうだったのか」と背景が伝わる内容にしていくつもりです。そして何より、今まさに現場を走り回っているケアマネさんが、「自分だけじゃないんだ」と少し肩の力を抜ける切っ掛けになれば嬉しいです。

さあ、ここから先は、クリスマスも年末も走り続けるケアマネージャーの12月をゆっくり覗いてみましょう。

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第1章…ケアマネの12月カレンダーはクリスマス前から年末フルスロットル

12月のカレンダーを見ていると、本来なら「クリスマス」や「忘年会」といった言葉が真っ先に目に入るはずなのに、ケアマネージャーさんの頭の中に浮かぶのは、だいたい「1月のサービス開始日」と「年末年始の休業予定」だったりします。
担当利用者さんが3人や5人なら、まだ全体像を頭の中で組み立てられるのですが、在宅担当で40人規模になると、12月は月初からフルスロットルです。

まず、12月上旬の仕事は「1月の暮らしの骨組み」を前倒しで決めていくところから始まります。
デイサービス、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、配食サービス、福祉用具の入れ替え…それぞれの事業所と、利用者さんやご家族の都合を擦り合わせながら、1人1人のカレンダーを埋めていきます。

家族と同居されている方の場合は、「この日は娘さんが来るからお風呂はここで」「お正月は息子さんが泊まりに来るのでショートステイはここまで」と、話がスムーズに進みやすいことも多いものです。一方で、お一人暮らしの方や、ご家族にもそれぞれお仕事や持病があって負担が大きくなっているご家庭では、「どこまで介護サービスを入れるか」「どこまでご本人と家族で頑張るか」の線引きが、とても繊細になります。

ここで少しでも油断すると、クリスマス頃になってから「やっぱりこの日もお風呂を入れたい」「1月のこの日はデイサービスを増やしたい」と、後から予定がズレてしまうこともあります。そのため、経験を積んだケアマネさんほど、12月は早い時期から利用者さんに「少し先の未来」を一緒にイメージしてもらう工夫をします。

例えば、卓上カレンダーに色ペンでサービス種別を書き込んで、利用者さんと一緒に眺めながら確認したり、「年末年始の間に困りそうな場面」を紙に書き出してもらったり。少し手間はかかりますが、「事前に一緒に考える時間」を持っておくと、後からの大きなトラブルを防ぐことが出来るのです。

12月中旬は「誰がいつ休むのか」をひたすら確認する時期

12月も半ばを過ぎると、今度は「事業所側の年末年始の体制」の確認が本格化します。デイサービスは30日まで、あるいは31日午前まで頑張って開けてくださるところもありますが、多くはお正月の三が日はお休み。ショートステイも、送迎が止まる日があったりします。

訪問介護や訪問看護は、29日から3日までの間、回数を減らして休日体制で動く事業所も少なくありません。「ふだん週3回のお風呂が、年末年始は週1回になる」「毎日朝夕来てもらっているおむつ交換が、1日1回になる」――そんな変化が、暮らしにどんな影響を与えるのかを、一人一人について考え、調整するのがケアマネージャーの役割です。

さらに、医療機関も年末年始は外来や窓口が閉まります。「次の診察は年明け」「薬局もお休みが長い」そんな状況の中で、12月中旬までに、「お薬は1月の受診まで確実に足りるのか」「万が一、体調が悪化したときに連絡できる先はどこなのか」を、利用者さんと一緒に確認しておくことがとても重要になります。

市役所や社会福祉協議会も、だいたい12月28日で仕事納め、1月4日から仕事始めというところが多いですよね。介護保険の新規申請や負担割合の変更、生活全般に関わる相談など、窓口を通す手続きは「年内にやっておきたいことリスト」を作って、抜け漏れのないように進めていく必要があります。

この時期のケアマネージャーは、まさに町中の「年末年始の休業情報」を頭の中に詰め込んだ、生きた案内板のような存在です。利用者さんの暮らしの隙間に、その情報をどう当てはめていくか。ここでのひと手間が、年末年始を安心して乗り切っていただけるかどうかの分かれ道になります。

12月下旬、予定を揺さぶるのはいつも「ギリギリ」にやってくる

そして、クリスマスが近づく12月下旬。「これで何とか年末年始を乗り切れるかな」とホッとした頃に、決まってやってくるのが、予想外のSOSや新規相談です。

例えば、退院調整の場面。本来なら、体力が戻るまでリハビリやショートステイを活用してゆっくり回復してもらいたいところですが、「お正月は家で迎えたい」「家族の皆で顔を合わせたい」という強い思いから、少し状態が不安定でも自宅に帰る選択をされる方が少なくありません。

医師が「ご本人の希望もあるので退院可」と判断し、病院としては送り出した後、その暮らしを具体的に支える方法を組み立てるのは、地域のケアマネージャーの役目になります。普段なら数週間かけて話し合う内容を、年末の数日間で一気に決めていくようなケースもあり、嬉しさとプレッシャーが同時に押し寄せてくる時期です。

また、年末が近づくほど、「実はここしばらくお風呂に入れていなくて…」「ご飯もほとんど食べられていないんです」という、家族からの切実な相談が増えることもあります。1年間、何とか家族だけで頑張ってきたけれど、「この状態のまま新しい年を迎えていいのだろうか」と立ち止まり、勇気を出して電話をしてくださる方々です。

ケアマネージャーとしては、「もっと早く相談してもらえたら」という思いも、正直なところ心の片隅にはあります。けれど同時に、「今このタイミングで心のブレーキをかけてくれて良かった」と感じることも多いものです。年末のギリギリであっても、気付いた時がスタートライン。そこから暮らしを立て直すための計画を、慌ただしい中でも一緒に組み立てていくことになります。

こうして見てみると、ケアマネージャーの12月は、単に「忙しい」だけでなく、1月の生活設計、年末年始の安全確保、そして新たな出会いやSOSへの対応が凝縮された、濃密な1か月です。クリスマスソングが流れる中で、手帳やパソコンの予定表とにらめっこしながら、1つ1つの暮らしを守るためのパズルを組み立てている――それが、現場で働くケアマネージャーのリアルな姿と言えるかもしれません。


第2章…「本当は休みたい」…それでもクリスマスに休みにくいリアルな事情

クリスマスが近付くと、カレンダーの24日と25日に、家族や友人と過ごす予定を書き込みたくなりますよね。ところがケアマネージャーという仕事をしていると、その2日間に「お休み」と大きく丸をつけることが、思っている以上に難しく感じられることがあります。

一番の理由は、ケアマネージャーが「計画を立てる人」であると同時に、「何かあった時の連絡窓口」でもあるからです。担当利用者さんが40人いれば、その方ごとにご家族の事情も、持病の内容も、サービス事業所との関係も違います。年末年始はただでさえ事業所の人手が減りやすく、医療機関や行政窓口も長期休みに入ります。そんな中で、何かトラブルが起きたとき、「まず誰に相談しようか」と考えた時に思い浮かべてもらえるのが、日頃から関わっているケアマネージャーなのです。

本当は、「この日はしっかり休んでケーキを買って、家族とゆっくり過ごしたい」と思う日でも、手元の携帯電話を完全には手放せません。連絡先として名前が載っている以上、「もしかしたら今日、誰かから助けを求める電話が来るかもしれない」と考えてしまうからです。その結果、「休みを取ります」と口では言っていても、心のどこかでは常に緊張が抜けきらない、そんなクリスマスを毎年過ごしている方もいるでしょう。

休みを取るだけで「罪悪感」がついてくる不思議

ケアマネージャーの仕事を続けていると、多かれ少なかれ「責任感」と「義務感」に支えられている自分に気づきます。それはとても尊い気持ちですが、裏を返せば、「担当している40人の暮らしを守る役目は、自分しかいない」と思い込みやすい危うさも含んでいます。

例えば、クリスマスの日に有給休暇を入れて、家族と出かける予定を立てていたとします。ところが、数日前に新しい入院・退院の相談が舞い込み、状態の不安な方の担当になったとしたらどうでしょうか。頭では「自分にも休みは必要」と分かっていても、「このタイミングで自分だけ楽しんでいいのかな」「もし何かあった時、連絡に気づかなかったらどうしよう」という思いが、心の奥でジワジワ広がっていきます。

休日当日も、家族と食事をしていても、どこかでスマートフォンの画面が気になってしまう。通知が鳴るたびに、「何かトラブルだろうか」とドキッとしてしまう。そして、もし本当に緊急の連絡が入れば、家族に「ごめんね」と頭を下げて、仕事モードに切り替えてしまう。

こうした積み重ねが続くと、「休みを取る=誰かを置き去りにするような気がする」「自分だけ楽をしているようで申し訳ない」という、言葉にしづらい罪悪感に繋がっていきます。本来、休みは心と体を整えるために必要なものなのに、「申し訳ない」と感じながら休むような、ちょっといびつな感覚が、クリスマスや年末には特に強くなりがちです。

仕事も家族も大事にしたいからこそ板挟みになる

ケアマネージャーの多くは、自分の家族や暮らしも当然抱えています。子どもが小さい時期なら、「保育園のイベント」「クリスマス会」「家族でケーキ作り」といった予定もありますし、親世代の介護が重なっている人も珍しくありません。つまり、日中は「仕事としての介護」、家に帰れば「家族としての介護」が待っているという二重の役割を背負っていることも多いのです。

「利用者さんの生活も守りたいし、自分の家族の時間も大事にしたい」。どちらか一方を簡単に切り捨てられないからこそ、クリスマスのような特別な日は、気持ちが大きく揺れやすくなります。家族から「たまにはゆっくりして」「この日は仕事を忘れていいよ」と言われても、頭の中ではどうしても「担当しているあの人、大丈夫かな」「あの件、年明けまで放っておいて良かったかな」と考えてしまう。

その結果、「家族と一緒にいるのに心ここにあらず」という状態になってしまうこともあります。目の前にいる人を大切にしたいのに、遠く離れた利用者さんや関係機関のことが頭から離れない。そんな板ばさみの感覚も、ケアマネージャーならではのクリスマス風景と言えるかもしれません。

「休みたい」と口にすること自体が、実は大きな一歩

それでも、「本当は休みたい」と自分で自覚し、心の中でそっと呟けるようになった時点で、既に大きな一歩を踏み出しているのかもしれません。長くこの仕事を続けていると、「自分のしんどさ」に鈍くなることがあります。気づかないうちに、疲れや不満を飲み込み続けて、ある日いきなり動けなくなってしまうこともあります。

「今年のクリスマスは、1日まるまる休むのは難しいけれど、せめて夕方からは家族と過ごそう」
「連絡があったら対応するけれど、それ以外の時間は、仕事のことを考えるのをいったん止めてみよう」

このように、気持ちの中で線を引こうとすること自体が、自分の心と体を守ろうとする大切なサインです。24時間365日、完全に仕事のことを忘れるのは難しい職種かもしれませんが、「しんどい」「休みたい」と感じる自分を責めずに認めることは、これからも長く現場を続けていくうえで欠かせない視点です。

次の章では、そんな複雑な思いを抱えながら働くケアマネージャーが、利用者さんの「お正月を迎える気持ち」にどう寄り添っていくのか、そのリアルな姿を見ていきたいと思います。


第3章…利用者さんの「お正月を迎える気持ち」に寄り添うということ

クリスマスが終わると、テレビも街も一気に「お正月モード」に切り替わります。華やかな門松、綺麗に磨かれた玄関、家族が集う食卓…。画面の向こうには、「新しい年を晴れやかに迎える」イメージが溢れています。

けれど在宅で暮らす高齢の利用者さんの中には、その映像をじっと見つめながら、胸の奥でため息をついている方も少なくありません。
「もう自分では大掃除もできない」「おせちなんて夢のまた夢」「髪も伸びたままで新年を迎えるのか…」。
そんな思いを、声にならないまま飲み込んでいる場合も多いのです。

ケアマネージャーとして関わっていると、「あと1週間でお正月」「早く新年を迎えたい」といった言葉の裏側に、別の本音が隠れていることに気づかされます。
「この1年も、しんどいまま何とか乗り切った」
「来年も同じような毎日が続くのだろうか」
「せめて綺麗な部屋で新年を迎えたいけれど、体がついていかない」
そんな気持ちが、「お正月」という言葉にギュッと詰め込まれていることもあるのです。

とりわけ一人暮らしの方や、家族が遠方にいる方ほど、「お正月をどう迎えるか」は大きなテーマになります。訪問の回数が減り、お風呂も年内最後が28日辺り、次が年明け4日以降…となると、「初風呂はいつになるのか」「正月早々、誰も来ない家で過ごすのか」と、不安ばかりが膨らんでいきます。

制度の世界では「最低限度の生活」という言葉が使われることがありますが、その線引きを専門職側だけで決めてしまうと、「とりあえずご飯が食べられていれば」「とりあえず命に別状がなければ」と、かなりギリギリのラインになりがちです。しかし、利用者さんにとっての「最低限度」は、もう少し違うところにあります。
「新しい年くらい、きれいな服を着て迎えたい」
「せめて部屋の一角だけでも片付けて、歳神様を迎えたい」
「お雑煮までは無理でも、何か一品くらい、お正月らしいものを口にしたい」。
そうしたささやかな願いこそ、その人らしさを支える大事な要素なのだと、改めて感じさせられます。

中には、「来年こそはもう少し楽になりたい」「この苦しさから解放されたい」と、切ない願いを口にされる方もいます。病院では「気分が沈んでいる」「鬱傾向がある」と単純な一文で記録されて終わってしまう一言も、長い人生を生き抜いてきた人が、新しい年の入り口でふとこぼした本音かもしれません。ケアマネージャーとして、その言葉をどう受け止めるかは、とても繊細な場面です。

ゆっくり話を聞いてみると、「誰にも迷惑をかけたくない」「もうこれ以上、家族に負担をかけたくない」という気持ちが隠れていることもあります。華やかな番組の中で笑っている人たちと、自分の静かな部屋のギャップに、余計に孤独を感じてしまう夜もあるでしょう。そうした時期だからこそ、ケアマネージャーの「ひと言」がいつも以上に重みを持ちます。

例えば、年内最後の訪問で、少しだけ時間を使ってこう尋ねることができます。
「今年のお正月は、どんな風に過ごしたいですか?」
「今の体調で、一番心配なことは何でしょう?」
「ここだけは何とかしておきたい、という場所やことはありますか?」

完璧に応えられなくても、「一緒に考えようとした」という姿勢は、確かに伝わります。大掃除の全部は無理でも、「今日はこの棚だけ綺麗にして、新年用にお気に入りの写真を飾りましょうか」と、一か所だけを一緒に整えてみる。おせちは用意できなくても、「年内にお餅やお雑煮の具材を少しだけ買っておきましょうか」と、具体的な一手を提案してみる。それだけでも、「自分はお正月を迎える準備をしている」という実感につながります。

そして何より大切なのは、「今年もここまで、本当によく頑張ってこられましたね」と、年の終わりにきちんと労うことです。介護が必要な暮らしを続けながら、1年という時間を乗り切るのは、想像以上のエネルギーが必要です。そのことを認めてくれる誰かがいてくれるだけで、新しい年を迎える勇気が少し湧いてくるものです。

クリスマス前後の慌ただしい時期、予定調整や書類に追われていると、つい「生活を崩さない」ことだけに目が行きがちです。けれど、「新しい年をどんな気持ちで迎えたいのか」という、利用者さん一人ひとりの小さな願いに耳を傾けることも、ケアマネージャーの大切な役割の1つではないでしょうか。

次の章では、そんな忙しさの中でも、ケアマネージャー自身の暮らしや心を守るために出来る工夫について、一緒に考えていきたいと思います。


第4章…自分の暮らしも大事にするクリスマス・ケアの工夫とアイデア

ここまで見てきたように、クリスマス前後の12月は、ケアマネージャーにとって「1年の締め括り」と「次の年のスタート準備」が一気に押し寄せる、とても濃い時期です。だからこそ本当は、このタイミングで自分自身の暮らしや心を守る工夫を、少し意識的に取り入れておきたいところです。誰かの生活を支える側の人ほど、自分のことは後回しになりがちですが、それが長く続くと、どこかで心も体も燃え尽きてしまいます。

ケアマネージャーの仕事は、どうしても「境目」が曖昧になりやすい職種です。勤務時間が終わって事務所を出ても、頭の中では「さっきの相談、あれで良かったかな」「あの方の年明けの予定、もう一度見直した方が良いかもしれない」と考え続けてしまうことがあります。ましてクリスマスや年末となると、普段よりも相談や連絡が増え、「いつ電話が鳴るか分からない」という緊張感も加わります。

そこで、少しでも心と時間に「区切り」をつけるために、自分なりの小さなルールを決めてみるのも1つの方法です。例えば、仕事納めの前後に、意識的に「仕事モードから生活モードに切り替える儀式」を用意してみることが出来ます。事務所を出る前に、手帳やパソコンのスケジュールを一度見直し、「今日ここまで頑張った」「この続きは〇日以降に必ずやる」と、自分で区切りの言葉を心の中で宣言してから帰る。たったそれだけでも、「今は考えなくていい時間」を自分に許しやすくなります。

また、クリスマス当日やその前後に、「短時間でも、自分のためだけの時間」をあらかじめ予定に書き込んでしまうのも大切です。たった1時間でも構いません。お気に入りのケーキを買って帰る時間でもいいですし、家族と一緒に温かい飲み物を飲みながら今年を振り返る時間でも構いません。大事なのは、「この時間は、仕事のためではなく、自分や家族のために使う」と決めてみることです。電話が鳴ったら対応せざるを得ないかもしれませんが、それでも「自分の時間を用意しようとした」という事実は、後で自分を支えてくれます。

もう1つ、意外と大きな助けになるのが、「同じ立場の仲間」と気持ちを共有することです。同じ事業所のケアマネージャー同士で、年末の忙しさや葛藤を笑い話に変えて話し合える場があるだけで、「自分だけがしんどいのではない」と感じられます。12月のどこかで、少人数でも良いので「今年もお疲れ様会」を開いたり、オンラインでも近況を分かち合ったりするだけで、心の負担はグッと軽くなります。

家族とのコミュニケーションも、クリスマス前には少し丁寧にしておきたいところです。「この時期はどうしても電話が多くて、途中で席を外してしまうかもしれない」「でも、〇時以降はできるだけ家のことを優先したいと思っている」と、予め伝えておくだけで、家族の受け止め方は変わります。特に子どもがいる場合は、「お母さん(お父さん)の仕事は、困っているお爺ちゃん・お婆ちゃんを助ける役目なんだよ」と、年齢に合わせて説明しておくことで、「仕事に取られている」感覚ではなく、「一緒に支えている」という感覚を持ってもらえることもあります。

そして、自分自身のコンディションを整えるための「最低限ライン」も、この時期こそ見直しておきたいポイントです。十分な睡眠、適度な食事、短いストレッチや入浴の時間――どれも当たり前のことですが、忙しくなると真っ先に削ってしまいがちな部分でもあります。
「どれだけ忙しくても、寝る前の10分だけはスマートフォンから離れて湯船につかる」
「帰宅したら、まず温かい飲み物を一杯飲んでから記録の続きをする」
こんな小さな習慣が、年末の疲れ方を大きく変えてくれます。

さらに言えば、「今年の自分にひと言プレゼントを贈る時間」を、是非どこかで作ってみてください。誰かに評価されるためではなく、自分自身が自分に対して、「良くやったね」「あの場面、本当に良く踏んばった」と、1年間の頑張りを振り返ってあげるのです。ノートに書き出してもいいですし、心の中で呟くだけでも構いません。ケアマネージャーは、人の頑張りを認めることには慣れていても、自分を褒めることには慣れていない人が多い仕事です。だからこそ、意識して時間を取る価値があります。

クリスマスの灯りは、本来、誰か1人だけを照らすものではありません。利用者さんやご家族の暮らしを支えているケアマネージャー自身にも、ささやかでも温かい光が届いていいはずです。自分の暮らしを大切にしながら働き続けることは、我儘ではなく、長くこの仕事を続けるための「必要条件」です。

最後の「まとめ」では、慌ただしい12月を駆け抜けたケアマネージャーが、新しい年に向けてどんな言葉を自分にかけてあげられるのかを、一緒に整理していきたいと思います。

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まとめ…クリスマスを走り抜けた自分に「よく頑張ったね」と言えるように

クリスマス前後の12月は、世の中が一番華やかに見える一方で、ケアマネージャーにとっては、1年の中でも特に忙しさと責任の重さを強く感じる時期です。年末年始のサービス調整、新規相談への対応、退院支援、医療機関や行政の休業スケジュールの確認…。気づけば、自分の予定よりも利用者さんの予定表ばかりを眺めている、という方も多いのではないでしょうか。

その裏側には、「担当している人たちの暮らしを何とか守りたい」という強い思いがあります。24時間365日、完全に仕事から離れるのが難しい職種だからこそ、「休みたい」と感じた自分を責めてしまったり、「クリスマスもお正月も、どうせ仕事だし」とあきらめ混じりの気持ちになってしまうこともあるかもしれません。けれど、その揺れ動く心こそ、誰かの暮らしを本気で考えている証でもあります。

利用者さんにとっての「お正月」は、単なる暦の節目ではなく、「この1年をどう生き抜いてきたか」「これからの1年をどう迎えたいか」を静かに見つめ直す時間でもあります。綺麗に飾られた玄関や立派なおせち料理が用意できなくても、「少しでも気持ちよく新年を迎えたい」「せめてここだけは整えておきたい」という願いが、必ずどこかにあります。ケアマネージャーは、その小さな願いに耳を傾け、限られた時間と資源の中で、できる範囲の工夫を一緒に考えていく役割を担っています。

同時に、忘れてはいけないのは、ケアマネージャー自身の暮らしと心も、同じように大切だということです。自分の家族との時間、自分の健康、自分の楽しみを後回しにし続けてしまうと、どこかでガス欠を起こしてしまいます。短い時間でも「自分のためだけの一時」を確保してみること、同じ立場の仲間と年末の思いを分かち合うこと、「今年の自分はよく頑張った」と静かに振り返ること。これらは、贅沢でも甘えでもなく、これから先も現場で働き続けるための大事な土台だと思います。

もし今、クリスマスを迎えるこの時期に、「忙しさに飲み込まれそうだ」と感じているケアマネージャーさんがいたら、どうか心の中でひと言、自分に声をかけてあげてください。「今年もいろいろあったけれど、ここまで本当によくやってきた」と。そのひと言だけでも、凝り固まっていた心が少し緩み、「もう少しだけ頑張ってみようかな」という力が、また静かに湧いてくるかもしれません。

そして、この記事を読んでいるご家族や学生さん、他職種の方々にも、身近なケアマネージャーの顔を、ふと思い浮かべてもらえたら嬉しいです。クリスマスのイルミネーションの陰で、利用者さんとその家族の年末年始を支えようと奔走している人たちがいる。その存在に、ほんの少しでも思いを寄せてもらえることが、何よりの励ましになるはずです。

クリスマスも仕事に追われるケアマネージャーだからこそ、年の終わりに自分に向かって「お疲れ様」と言える瞬間を、どうか1つでも持てますように。
そして新しい年が、利用者さんにとっても、そして支える側であるあなたにとっても、少しでも穏やかで、笑顔の多い1年になりますように。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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