お正月の準備はいつからいつまで?年末スケジュールと安心リスト

[ 12月の記事 ]

はじめに…年末のバタバタを軽くするお正月準備のすすめ

12月に入ると、クリスマスの飾りつけや、冬物セール、年末の挨拶回りなど、気がつけば毎日があっという間に過ぎていきますよね。気づいたら「もう大晦日目前なのに、肝心のお正月の準備が全然できていない…」なんて、毎年同じ慌て方をしていませんか。

本来、お正月は「新しい年の神様」をお迎えする、とても大事な行事です。家の中を綺麗に整え、門松や注連飾り、鏡餅などを整えるのは、ただの飾りではなく、「この家にどうぞおいでください」と神様をお招きする合図のようなものだと考えられてきました。だからこそ、出来れば慌てて準備するのではなく、落ち着いて一つ一つ整えていきたいところです。

とはいえ、現代の暮らしは忙しく、「いつから準備を始めればいいの?」「29日や31日は良くないって聞くけれど、本当のところは?」「何を用意しておけば、お正月当日に慌てずに済むの?」と、細かいところまではなかなか把握しきれません。地域のしきたりや実家のやり方と、自分の家のペースの間で迷うことも多いですよね。

そこでこの記事では、昔からの風習も参考にしながら、「いつからいつまでに何をしておくと安心か」を、年末のスケジュールに沿って分かりやすく整理していきます。煤払いに始まるお掃除のタイミング、避けた方が良い日とその理由、玄関やリビングの飾り付け、日用品や食品の準備などを、一気にこなすのではなく「少しずつ前倒しで進めるコツ」としてご紹介していきます。

ご家庭でのお正月はもちろん、実家に帰省する方や、高齢のご家族と一緒に過ごす方、介護や支援の場で準備を担当される方にも役立つように、「これは押さえておきたい」というポイントをやさしくまとめました。記事を読み終える頃には、「今年こそ、落ち着いて新年を迎えられそう」と思っていただけるはずです。

さあ、年末の慌ただしさの中に、ほんの少し余白を作るつもりで、お正月準備の流れを一緒に見直していきましょう。

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第1章…お正月の準備はいつからいつまで?基本の流れをおさえよう

「お正月の準備は、だいたい年末のどこかでまとめてやるもの」──そう思っている方も多いかもしれません。けれど、本来の流れで考えると、お正月の準備は意外と早くスタートします。昔からの目安になっているのが、12月13日の「煤払い」です。この日は、1年分の埃や厄を祓い落とし、新しい年の神様を迎えるための大掃除に取りかかる日とされてきました。ここから先が、「お正月モードに切り替える期間」と考えると分かりやすくなります。

煤払いの日から年末までは、大きく分けて3つの流れがあります。まずは家の中を整える「掃除」、続いて玄関まわりや床の間を整える「飾りつけ」、最後に食べ物や日用品を揃える「備え」です。全部を1日でやろうとすると大変ですが、12月中旬から少しずつ分けてこなしていけば、体力的にも気持ち的にもグッと楽になります。「今日は水周りだけ」「週末は玄関とリビング」など、小さなゴールを決めておくと続けやすくなります。

では、いつまでに何を終えておけば良いのでしょうか。1つの目安になるのが、「お正月当日の1月1日には、もう台所に立たなくても困らない状態にしておく」という考え方です。つまり、31日に慌てて買い物に出なくても良いように、食材や日用品は前もって準備しておきたいところですし、門松や注連飾り、鏡餅も、出来るだけ落ち着いた日に整えておきたいところです。

12月の中旬から下旬にかけては、大掃除と飾りつけのバランスもポイントになります。家の中がまだ片付いていないうちに立派な飾りを出しても、「せっかくの縁起物が落ち着かない場所に置かれている…」という残念な状態になりがちです。まずは「神様に見ていただきたい場所」から優先して整えましょう。玄関、リビング、仏間や床の間など、家の顔になるところがスッキリしてくると、自然と気持ちも新年に向かって引き締まっていきます。

また、現代では共働き家庭や介護をしているご家庭も多く、「昔ながらのスケジュール通りにきっちり進める」のが難しい場合もあります。その時は、「全部伝統通りにやる」ことを目標にするのではなく、「自分の生活に合わせて、できる範囲で取り入れる」くらいの気持ちで大丈夫です。例えば、大掃除は年末ではなく初冬から少しずつ進めておき、12月は飾りと買い出しを中心にするなど、無理のない形にアレンジして構いません。

そして、最終的なゴールは「新しい年の朝、家族の皆がホッと笑顔になれる状態でいること」です。完璧にすべて終わらせることよりも、「これだけは整えておきたい」というポイントを押さえ、気持ちを込めて準備することが何より大切です。次の章では、その中でも特に気をつけたい日付──12月29日と31日──について、昔から伝わる意味と、上手な付き合い方を見ていきましょう。


第2章…29日と31日は要注意日!?準備を控えたい日の意味

お正月の準備について調べていると、よく「29日と31日は避けたほうがいい」と耳にしますよね。実家の親や祖父母から「その日は飾らない方がいいよ」と言われたことがある方も多いかもしれません。ただ、なんとなく言い伝えとして守っているだけで、「どうしていけないのか」「現代の生活ではどこまで気にすればいいのか」を、きちんと聞く機会は意外と少ないものです。

そこでこの章では、29日と31日が気にされるようになった背景と、忙しい暮らしの中で、どのようにスケジュールを組み立てると心穏やかに新年を迎えやすいかを、やさしく整理していきます。「昔ながらのしきたり」と「今の生活リズム」の間で、無理なく折り合いをつけるヒントとして読んでみてください。

12月29日が気にされる理由

まず、29日です。日本では昔から、数字の語呂合わせを大切にしてきました。「29」は「にじゅうく」と読み、「二重苦」を連想させるとされてきたため、おめでたい準備にはあまり相応しくない日と考えられてきました。お正月飾りやお餅つきなど、「これから良い年になりますように」という願いを込める行事を、この日に行うのは避けた方が良い、という考え方です。

また、地方によっては「苦のつく日に、家の節目となる飾りを新しくしない」という考え方が根付いているところもあります。特に、門松や注連飾り、鏡餅のように「家の中に神様をお迎えする」意味が強いものは、「出来れば別の日に整えたい」という気持ちが込められてきました。

とはいえ、現代の暮らしでは、土日や休みの関係で「どうしても29日しか家族で動けない」ということもあります。その場合、「絶対にやってはいけない」というよりも、「できるなら28日までに済ませておきたい日」というくらいの受け止め方でもよいでしょう。どうしても予定がそこに重なる時は、気になる飾りだけでも前日までに済ませておき、29日は掃除の仕上げや細かな準備に回す、という工夫もできます。

12月31日「一夜飾り」を避けたい理由

次に、31日です。こちらは「一夜飾り」と呼ばれ、避けたい日として語られることが多いですね。文字通り、大晦日のたった一晩だけ飾ることから、「神様に対して準備が行き当たりばったりで失礼にあたる」という考え方が背景にあります。

1年の締め括りである大晦日は、本来は「1年の厄を祓いきる日」です。この日に、バタバタと買い物や飾り付けをしてしまうと、「整えるべきことが終わらないまま年を越してしまう」ような落ち着かない気持ちになりがちです。昔の人はその感覚を、「一夜だけで間に合わせた飾りでは、神様に対して誠意が足りない」と表現し、31日の飾り付けを避けてきたのでしょう。

また、通夜や葬儀のように「一晩で急いで整える」場面を連想させるとして、縁起を気にする方もいます。お正月は、出来るだけ明るく前向きな気持ちで迎えたい行事ですから、敢えてそうしたイメージと重なるような準備の仕方は避けたい、という心配りでもあります。

理想を言えば、門松や注連飾り、鏡餅といった大きな飾りは、28日までに整えておくのが安心です。どうしても忙しい場合でも、30日までには飾りを済ませ、31日は「軽い掃除と確認だけ」にしておくと、当日の夜をゆったり過ごしやすくなります。

避けたい日を踏まえたおすすめ準備スケジュール

29日と31日の意味を踏まえたうえで、現実的なスケジュールを考えてみましょう。昔ながらのしきたりを尊重しつつ、無理をしない組み立て方としては、次のようなイメージが1つの目安になります。

12月中旬から下旬にかけては、大掃除と並行して少しずつ準備を進めます。たとえば、24日頃までに大物の掃除をひと区切りさせ、25日から28日の間に、玄関やリビングの飾りつけ、鏡餅や注連飾りの準備を進めるイメージです。忘れ物の確認や、買い足しが必要なもののチェックは、30日に回しても良いでしょう。

どうしても仕事や家庭の事情で、「29日か31日しか動けない」という場合は、「その日にしか出来ないこと」と「前倒し出来ること」を分けて考えるのがおすすめです。例えば、飾りの準備や買い出しは前の週末までに終えておき、29日や31日は、掃除の仕上げや冷蔵庫の整理、簡単な下拵えなど、「心の中で区切りをつける作業」に当てると良いでしょう。

大切なのは、「このスケジュールなら、自分なりに気持ちを込めて準備できた」と思えるかどうかです。しきたりを1つの目安にしながらも、ご自身やご家族の体調、生活リズムと相談して、無理のない形を選ぶことが、結果的に良い年明けに繋がっていきます。次の章では、実際にどのような飾りやしつらえを整えておくと、お正月らしさがグッと高まるのかを、チェックリストの形で見ていきましょう。


第3章…玄関からリビングまで~飾り物とセッティングチェックリスト~

お正月らしさは、まず家に入ってすぐの「玄関」と、家族が集まる「リビング」や「床の間」から感じられます。外から帰ってきた時に、ふと目に入る飾りが整っていると、「あぁ、いよいよ新しい年を迎えるんだな」と気持ちが引き締まりますよね。

この章では、昔から大切にされてきた代表的な飾りを、「なぜ置くのか」「どこに飾ると意味が生きるのか」という視点で、ゆっくり辿っていきます。全部揃えなくても大丈夫です。ご家庭のスペースや予算に合わせて、「これだけは取り入れたい」というものを選ぶつもりで読んでみてください。

玄関周りの主役~門松と注連飾り~

家の表情を決めるのが、玄関周りのしつらえです。その中心になるのが「門松」と「注連飾り」です。どちらも、単なる飾りではなく「ここが神様をお迎えする場所ですよ」という目印の役割を持っています。

門松は、文字どおり「門に立つ松」。昔から松は、冬でも青々としていることから「長生き」「変わらないご縁」の象徴とされてきました。そこに竹が加わると、まっすぐ天に伸びる姿から「すくすく成長する」「まっすぐ生きる」という願いが込められます。玄関先に門松が立つだけで、その家全体がきちんと整えられた神域のように見えてくるから不思議です。

注連飾りは、縄で「この内側は清らかな場所です」と区切る意味合いがあります。神社の鳥居や、ご神木に巻かれているしめ縄と同じ発想ですね。玄関の扉や、門の上、室内なら神棚や床の間の上部などに飾ることで、「ここから先は神様をお迎えする場ですよ」という境界線を示すことができます。

スペースに余裕がない場合は、立派な門松を諦めて、玄関ドアの注連飾りだけにするのも1つの方法です。反対に、マンションなどで外に飾りにくい場合は、玄関の内側の壁や、靴箱の上に小ぶりな門松と注連飾りを組み合わせて、ミニコーナーを作る方法もあります。大切なのは「玄関を通るたびに、神様をお迎えする気持ちを思い出せる場所」になっているかどうかです。

家族が集まる場所には鏡餅を

次に忘れてはいけないのが「鏡餅」です。丸いお餅を重ねた形は、昔の鏡や、満ちた月、太陽などをイメージしたものといわれています。ふっくらとしたお餅に、新しい年の神様が宿る、と考えられてきました。

昔ながらの家では、床の間に1組、神棚に1組、台所に1組と、家の大事な場所ごとに鏡餅を据えることが多くありました。現代の暮らしでは、そこまでたくさん用意するのが難しいこともありますから、「家族が一番集まる場所」に置くことを優先してみましょう。例えば、リビングのサイドボードの上や、テレビボードの一角など、目に入りやすい場所がおすすめです。

鏡餅の下には、白い紙や四角い敷紙を敷き、その上に裏白や譲り葉、昆布、橙などを添えると、より本格的な雰囲気になります。それぞれに意味があり、
・裏白は、葉の裏側が白いことから「心の清らかさ」「夫婦が年を重ねても裏表のない関係でいられること」
・譲り葉は、新しい葉が伸びてから古い葉が落ちることから「代々続く家の繁栄」
・昆布は「喜ぶ」に通じるお目出度い食べ物
・橙は「代々」に通じて、子や孫へと続く家の幸せ

といった願いが込められています。全て揃わなくても構いません。「これは意味が素敵だな」と思ったものを1つ選んで添えるだけでも、飾りへの愛着がグッと増します。

小さなスペースでも出来るお正月コーナー作り

床の間がない家や、狭い玄関でも、「お正月コーナー」を1つ作るだけで雰囲気は大きく変わります。ポイントは、「高さ」と「奥行き」です。何かを1つポンと置くだけではなく、奥に掛け軸やポストカード、手前にお花や小さな縁起物を置くと、グッとまとまって見えます。

例えば、
・玄関に、小さめの花瓶と、新年らしい花(松や南天、千両など)を飾る
・その横に、干支の置き物や、小さな羽子板、だるまなどを並べる
・背景になる壁には、和紙や手書きの「迎春」の一言を貼る

といった工夫だけでも、「ここは新年のために整えた特別な場所なんだ」と感じられるはずです。花器や敷物の色を、赤や金、白などに揃えると、写真映えも良くなります。

また、高齢のご家族と暮らしている場合は、「足元に置く飾り」はなるべく少なくし、転倒の原因にならないように配慮することも大切です。目線の高さに近い場所か、手の届きやすい棚の上に飾りをまとめておくと、安全面でも安心ですし、座ったままでも楽しめます。

暮らしに合った「ほど良いところ」で整える

昔ながらの飾りを全て完璧に再現しようとすると、「ここも足りない」「あれも準備しなくちゃ」と、かえって気持ちが追いつかなくなってしまうことがあります。大事なのは、「本来の意味を知った上で、自分の暮らしに合った形を選ぶこと」です。

例えば、門松は省略して注連飾りと鏡餅だけにする、ごちゃごちゃ飾らずに「1つのコーナーを丁寧に作る」、花は生け花ではなく長持ちする造花やプリザーブドフラワーにする……など、今の生活スタイルに合わせた工夫はいくらでも可能です。

「この玄関の飾りを見て、新しい年を楽しみに思えるかどうか」
「このリビングの鏡餅を見て、家族で年明けを祝いたいと思えるかどうか」

そんな感覚を大切にしながら、出来る範囲で整えていけば十分です。次の章では、飾り付けだけでなく、食べ物や日用品、心の準備も含めて、年末を無理なく乗り切るための段取りを見ていきましょう。


第4章…買い物・日用品・心の準備~無理なく進める年末プラン~

年末が近づくと、スーパーの売り場は一気に華やかになり、「あれもこれも買っておかないと不安…」という気持ちになりがちです。けれど、勢いでカゴに入れてしまうと、食べ切れなかったり、同じものを重ね買いしてしまったり、と後悔のタネにもなりますよね。ここでは、日々の暮らしを守りながら、お正月らしさもしっかり楽しむための「ゆるやかな年末プラン」を考えてみましょう。

年末の買い物は「前倒し」と「少しだけ余裕」をセットで

まず意識しておきたいのは、「全部を年の瀬ギリギリに買わなくても良い」ということです。日持ちのするものから、少しずつ前倒しで揃えていくと、家計にも体力にも優しい流れになります。

例えば、12月中旬までに、調味料や乾物、飲み物など「普段も使うけれど、お正月にも出番が多い物」を確認しておきます。醤油、味醂、油、出汁類、お茶やコーヒーなどの飲料は、年末に突然切れると困る代表選手です。特別なご馳走のためというより、「いつもの味を年末年始も途切れさせない」ための確認だと考えると、気持ちが楽になります。

その上で、26日以降の買い物では「お正月らしさを足すための食材」に目を向けていきます。かまぼこや伊達巻、黒豆などの定番はもちろんですが、全てを並べなくても大丈夫です。自分や家族が本当に喜ぶものはどれかをイメージしながら、「これは今年の主役にしよう」という品をいくつか選ぶだけでも、食卓はグッと晴れやかになります。

ポイントは、「足りないかも」と心配になったときに、すぐに買い足さないことです。冷蔵庫やストック棚を一度眺めてから、「もう1品欲しいなら、何にしようかな」と考える時間を挟むと、無駄が減り、気持ちの焦りも落ち着きやすくなります。

日用品の見直しで「おこもり期間」を快適に

年末年始は、お店の営業時間が短くなったり、混雑が激しくなったりします。そこで、食品だけでなく、日用品も「年を跨いで困らない程度」に整えておきましょう。

トイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤、シャンプー、歯みがき粉、電池などは、切れてから慌てて買いに行くと、寒い中で大変な思いをすることがあります。とはいえ、大量に買い込む必要はありません。「あと少しで無くなりそう」「年明けすぐには買いに行きたくない」ものだけ、1つ余分に用意しておく程度で十分です。

高齢のご家族がいる場合や、介護をしているご家庭では、いつも使っている薬や衛生用品、使い慣れたおむつやパッドなどが途中で切れないよう、少し余裕を持っておくと安心です。いつもと違うメーカーを急に使うと、肌に合わずに困ることもありますから、「お気に入り」の在庫には少しだけ気を配ってあげると、年末年始の小さなトラブルを減らせます。

また、年末はゴミ収集の日程が変則的になる地域もあります。ストックを増やし過ぎると、空き箱や袋で家の中がいっぱいになりがちです。買い物の前に一度ゴミ出しの予定も確認し、収納スペースと相談しながら整えていくと、家の中の動線も保ちやすくなります。

冷蔵庫と相談しながら、お正月の食卓をイメージ

お正月準備というと、「とにかく買っておかなければ」という気持ちになりがちですが、一番の味方は実は「冷蔵庫の中身」です。年末のどこかで、冷蔵庫と冷凍庫を簡単に整理し、「既にある物で作れそうな料理」と「足りない物」をざっくり把握しておきましょう。

例えば、冷凍庫にお肉や魚がいくつも眠っているなら、「お正月の三が日用にアレンジできないかな」と考えてみます。焼くだけ、煮るだけでご馳走になるようなソースや薬味を追加で用意するだけでも、立派な一品になります。逆に、思った以上に中身が少なければ、「では、何日分のご飯を家で食べる予定なのか」を先に家族で話し合っておくと、買い過ぎを防げます。

おせち料理も、「全部手作り」か「全部購入」かの二択で考える必要はありません。得意な料理や、思い出の詰まった一品だけを手作りにして、他は市販のものに頼る方法も立派な選択です。盛り付ける器や、お箸袋、ランチョンマットなどに少し工夫を加えるだけで、簡単な料理もお正月らしいひと皿に変わります。

大切なのは、「三が日を通して、台所に立つ人が倒れないこと」です。朝から晩までずっと料理をし続けてしまうと、新年早々グッタリしてしまいますよね。「ここは冷凍食品やレトルトに甘える日」「ここは鍋で一気に済ませる日」など、手を抜くタイミングも予め組み込んでおくと、気持ちに余裕が生まれます。

心の準備は「頑張り過ぎない」と決めるところから

最後に、お正月準備で一番見落とされがちな「心の準備」についても触れておきたいと思います。年末は、仕事の締めくくり、学校の予定、親族とのやりとり、大掃除、買い物……と、やることが並んでいきます。その上で「昔ながらの完璧なお正月」を目指してしまうと、どこかで苦しくなってしまうこともあります。

そこでおすすめしたいのが、「今年はここまで出来たら合格」という、自分なりのラインを決めておくことです。
例えば、
「玄関とリビングさえ整っていればOK」
「鏡餅と、家族の好きな料理が1品あれば十分」
「大掃除は全部ではなく、『来客から見える場所』を優先する」

など、小さな約束で構いません。「全部」ではなく「ここだけは」というポイントを決めておくと、年末の時間の使い方がグッと楽になります。

また、家族や同居している人がいる場合は、「これだけは手伝ってほしいこと」を早めに共有しておくと良いでしょう。買い物係、ゴミ出し係、飾りつけ係など、役割を分けるだけでも、負担の偏りが和らぎます。「誰か一人が頑張るお正月」から、「皆で作るお正月」へと発想を切り替えることが、何よりの心の準備になります。

新しい年を迎える日が、ただ疲れ切ったゴールではなく、「ここまで整えられたね」と静かに満足できる時間になりますように。そのための段取りが、年末の買い物や日用品の準備、そして心の整え方なのだと思います。

次の「まとめ」では、ここまでの流れを振り返りながら、「今年はこんなお正月にしたい」というイメージをもう一度やさしく結び直していきましょう。

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まとめ…「これで安心」と笑顔で新年を迎えるために

ここまで、「お正月の準備はいつから始めるのか」「どの日には避けた方が良いと言われてきたのか」「どんな飾りを整えると、お正月らしい空気になるのか」「年末の買い物や日用品の段取りはどう組むと楽なのか」を、順番に辿ってきました。読み進めながら、今年の自分の暮らしに当てはめてイメージしていただけたでしょうか。

まず大きな流れとしては、12月13日の煤払いを1つの目安にし、「家を整える期間」に入っていくことがポイントでした。玄関やリビングなど、神様に見ていただきたい場所から優先して綺麗にすることで、自分の心も自然と新しい年に向かっていきます。「年末のどこかでまとめてやる」のではなく、「少しずつ前に進める」ことが、結果として一番楽な方法になります。

日付の面では、12月29日と31日が、昔から気にされてきた日でしたね。苦の重なりを連想させるとされてきた29日、「一夜飾り」として慌ただしさが嫌われてきた31日。それぞれの背景を知ると、「出来れば落ち着いた日までに、神様をお迎えする準備を整えておきたい」という先人たちの思いが見えてきます。ただし、それをそのまま現代に当てはめようとするのではなく、自分の予定や体調と相談しながら、「出来る範囲で寄り添う」という姿勢が大事でした。

飾りについては、門松や注連飾り、鏡餅といった伝統的なアイテムを、「意味を知った上で、自分の家に合った形で取り入れる」ことがテーマでした。立派な床の間がなくても、玄関の一角やリビングの棚の上に、小さな「お正月コーナー」を作るだけで、家全体の空気がグッと変わります。裏白や譲り葉、昆布、橙など、一つ一つの飾りに込められた願いを知ると、毎年の飾り付けも、ただの作業ではなく「祈りを形にする時間」として感じられるようになります。

買い物や日用品の準備については、「前倒し」と「少しだけ余裕」をキーワードにしました。日持ちのする物は12月中旬から少しずつ整え、直前にしか買えない生鮮食品は必要な分だけ選ぶ。冷蔵庫やストック棚と相談しながら、「もうある物」「足りない物」を見直すことで、無駄な買い過ぎを防ぎつつ、安心感も手に入れられます。三が日を乗り切るためには、豪華なご馳走よりも、「台所に立つ人が倒れないこと」を大切にしたいものです。

そして何より忘れたくないのが、「頑張り過ぎない」と予め決めておく心の準備です。お正月の全てを完璧に再現しようとすると、いつの間にか「やらなければならないこと」に追われて、楽しむ余裕をなくしてしまいます。今年は、玄関だけでも、鏡餅だけでも、たった1つの花だけでも構いません。「ここが整っていれば、自分は満足できる」というラインを決めて、その範囲の中で心を込めて準備してみてください。

新しい年は、「去年うまくいかなかったことも、ここからまたやり直せる」と、そっと背中を押してくれる節目でもあります。煤払いで古いものを払って、飾り付けで新しい風を招き入れ、食卓にはささやかな願いを並べる。その一つ一つが積み重なって、「この1年も、家族と自分を大事にしていこう」という決意に繋がっていきます。

どうか今年のお正月が、「やっと終わった」とため息をつく日ではなく、「ここまで整えられて良かったね」と静かに微笑み合える日になりますように。この記事が、そのための小さな道標になれば嬉しいです。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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