冬の聖夜を彩るクリスマス飾りと食卓に隠れたメッセージ

[ 12月の記事 ]

はじめに…聖なる夜を“意味を知って”楽しむために

12月になると、街の色がそっと変わりますよね。
お店の入口には丸いリース、ショーウィンドウにはツリー、子どもたちは「サンタさん来るかなぁ」とそわそわして、大人もどこか浮き立った顔になります。

でも、ふと立ち止まってみると、1つ疑問が湧きませんか。
「どうしてリースは丸いの?」「どうして赤と緑なの?」「ケーキを食べるのって日本だけ?」
じつは、クリスマスの飾りや食べ物には、ただ“可愛いから”“冬っぽいから”というだけではない、小さな物語がそれぞれに仕込まれているんです。

元々のクリスマスは、キリストの誕生をお祝いする西洋の行事でした。そこに冬至の名残りや、守りや豊かさを願う人々の気持ちが重なって、今のような煌びやかな形になっていきました。日本に入ってきた時も、私たちなりのアレンジが加わって、和の家の中でも馴染む“日本のクリスマス”になっています。

意味を知って飾ると、同じツリーでもちょっと誇らしく見えますし、誰かに「この赤い実にはね…」なんて語ってあげられるようにもなります。そうすると、飾り付けの時間そのものがイベントになりますし、子どもやお孫さんにも伝えていけますよね。

この後では、リースやツリー、オーナメントに込められた願いと、クリスマスの食卓に並ぶご馳走の背景を、ゆっくり辿っていきます。
「今年は意味を分かった上で飾ってみよう」
そう思ってもらえるように、やさしくお話していきますね。

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第1章…クリスマスという行事の源流と日本でのひろがり

12月24日と12月25日、この2日間だけは、普段と空気が違いますよね。
けれども本来のクリスマスは、ただ「冬に楽しむイベント」というよりも、キリストの誕生を記念して祝う、宗教的な行事として生まれました。ここを少し知っておくと、飾りや食べ物の意味がすっと入ってきます。

もともと「クリスマス」という言葉は、キリストを崇める礼拝を表す言い方が元になっています。信者たちが「救い主が生まれた」という出来事を記念し、蝋燭を灯し、歌い、祈ったのが始まりだとされます。

ところがヨーロッパの人々には、もう1つ大事な季節の行事がありました。冬至です。1年でいちばん昼が短くなる日を境に、「ここから光が戻ってくる」「闇に負けないように火を灯そう」という思いが強くなります。

この“光を迎えるお祝い”と“キリストの誕生を祝う礼拝”が重なっていくうちに、私たちが知っているような、灯りと飾りがたくさん使われる華やかなクリスマスの形が出来上がっていきました。

「常緑樹を飾る」「赤い実を使う」「星を飾る」といった習慣も、この流れの中で少しずつ組み合わされていきます。冬でも葉を落とさない木は“命の強さ”の象徴になりますし、赤は“温かさ”や“守り”を思わせます。夜空に星を掲げるのは、暗い冬の空に光を見い出すためでもあったのでしょう。人々は、ただ飾りたいから飾ったのではなく、寒い季節を巡る祈りを、家の中に持ち込んでいたわけです。

では、日本ではどうしてこんなに広まったのでしょう。
日本にキリスト教文化が入ってきたのはかなり昔ですが、今のように家庭で楽しむ形になったのは、明治~大正辺りから少しずつです。洋風の暮らしや学校教育の中で紹介され、戦後に一気に「家族で楽しむ冬の行事」として根付きました。面白いのは、日本人は季節の行事を取り入れるのがとても上手で、お正月もお盆もハロウィンも、それぞれの家庭らしくアレンジしてしまいます。クリスマスもその1つで、宗教色をグッと和らげて、“大切な人と過ごす夜”というイメージに置き替えていったのです。

だから日本のクリスマスは、教会で祈る人と、家でケーキを食べる人と、イルミネーションを見に行く人が、同じ時期に共存しているちょっと不思議なスタイルになっています。けれども「光を飾る」「常緑を飾る」「誰かを思って贈る」という根っこは、ヨーロッパの頃とあまり変わっていません。

この“光と命を家の中に招く”という考え方が、これから出てくるリースやツリー、オーナメントの意味にも繋がっていきます。ここを覚えておくと、次の章がグッと読みやすくなりますよ。


第2章…リース・ツリー・オーナメントに込められた祈りと物語

家の入口にかける丸いリース、部屋の中心になるもみの木、そしてそこに下げる小さな飾りたち
どれも「あるとかわいいから」飾っていることが多いですが、元々はそれぞれ違う願いが込められています。ここでは代表的な飾りを辿っていきますね。読みながらご自宅の飾りと照らし合わせてもらうと、より楽しくなると思います。

リース~終わらない愛と守りのしるし~

まず目に入りやすいのがリースです。丸い輪の形は、始まりも終わりもない永遠を表すとされ、家族がいつまでも繋がっていられるようにという思いが込められています。
西洋では、冬でも葉を落とさない常緑の枝をまとめて玄関に飾ることで「この家を悪いものから守ってください」と願いました。尖った葉を持つヒイラギが使われるのも、魔避けの意味があるからです。赤い実があしらわれると、温かい血の色を思わせ、命の強さや愛情を連想させます。

輪になった緑と赤を扉に飾るだけで「この家は冬を迎える準備が出来ています」という合図にもなったわけです。今も玄関にリースをかけると、外から帰ってきた人を優しく迎える役割をしてくれます。

クリスマスツリー~冬に命を持ち込むための木~

続いて主役のツリーです。冬でも葉を落とさない樅の木を使うのは、「寒い季節でも命は続いていく」という願いがあったからだとされています。昼が短くなり、寒さが厳しくなる時期に、緑を家の中に立てることで、外の暗さに負けないようにしたのです。

さらにツリーには“天に伸びる”という意味合いもあります。上へ向かっていく形は、神様や光に心を向けることを象徴します。一番上に星を飾るのは、その先にある導きに気付けるようにという思いからです。

オーナメント~それぞれが語る小さな物語~

ツリーに下げる飾りにも、1つずつの役割があります。
てっぺんに付けられる星は、幼子が生まれた場所を示したとされる星になぞらえたものです。星があることで「ここは祝う場所ですよ」と分かりやすくなります。

鈴やベルは、悦びを広げるしるしです。音が鳴ることで、迷っている人を呼び寄せたり、家に良い知らせを招き入れたりすると考えられました。

蝋燭やライトは、暗闇の中に差しこむ光を表します。昔は本当に蝋燭を枝に立てていましたが、今は安全のために電飾が主流ですね。役割は同じで、「私達のところにも光が届きますように」というお祈りです。

杖のかたちをしたキャンディを見かけたことはありませんか。あれは羊飼いの杖になぞらえて作られたものだと言われています。弱いものを導き、迷子を連れ戻す優しい力の象徴です。

りんごのような赤い丸い飾りは、聖書に出てくる「知恵の実」を思わせるとも、冬でも豊かさを願う実りを表すとも言われます。日本ではこれに松ぼっくりや綿を足して、雪が積もった森のようにアレンジすることも多いですね。これは日本の感性とうまく混ざった、後世の楽しみ方です。

こうして見てみると、どの飾りも「守る」「導く」「光を届ける」「愛を続ける」という同じ方向を向いているのが分かります。単に豪華にするために付けられたのではなく、寒く暗くなりがちな季節に、家族や仲間を温かく包むための合図だったのです。

今年は飾り付けをする時に「これは家を守る役」「これは光の役」「これは導きの役」と1つずつ声に出してみてください。いつものツリーが、物語をまとった1本の木に見えてきますよ。


第3章…ケーキやご馳走にもあった!食卓に宿るクリスマスの印

飾りに意味があるのは分かりやすいのですが、実は食卓に並ぶ料理にも「ただ豪華だから」という以上の背景があります。
冬の夜に灯りをともして食べ物を囲むことは、昔から「命が続くように」「皆で春まで進んでいけるように」という願いと結び付きやすかったんですね。ここでは、よく聞く料理を中心に、その物語を辿っていきます。

日本で一番馴染みがあるのは、やっぱりクリスマスケーキでしょうか。フワッと白い生クリームに、赤いいちごが乗っているだけで「12月が来た」と感じますよね。白は清らかさや雪を思わせ、赤は命や温かさを表します。色の組み合わせそのものがクリスマスの色合いに重なっているので、食べる前から気分を上げてくれます。
本場の西洋では必ずしもケーキが主役というわけではありませんが、日本では「お誕生日を祝う」という要素が強く入ってきたので、蝋燭を立ててお祝いするスタイルが根づいたと考えられます。誰かの誕生日を祝うように、救い主の誕生を祝う。ケーキはそれを家庭サイズにした形だと言えますね。

もう1つ名前を聞くことが多いのが「ブッシュ・ド・ノエル」です。フランス語で「クリスマスの薪」という意味があります。冬の夜、家族が集まって暖炉に薪をくべ、温まりながら夜を越えていく――その情景をケーキで表したものだと言われています。薪が長く燃えるほどその家の1年が安泰であると考えられたことから、細長いロールケーキの形になりました。チョコレートで木の皮を表現したり、粉砂糖で雪をかぶせたりするのは、冬の森をそのままテーブルにのせるような発想ですね。
このケーキを出すと、食卓に物語が1本どんと置かれたようになって、グッと雰囲気が出ます。

そして西洋のご馳走で忘れられないのが、鳥を丸ごと焼いた料理です。七面鳥がよく知られていますが、これはもともと感謝祭などで、家族みんなで分けられる大きな肉を用意したことが始まりとされています。1羽をみんなで切り分ける行為は「この恵みを分かち合う」という、冬の行事にとても合った所作なんですね。ヨーロッパやアメリカでそうした習慣が根づき、それがクリスマスにも持ち込まれていきました。
日本では七面鳥を手に入れるのは難しいので、ローストチキンや照り焼きチキンで代わりにするお家が多いはずです。けれども「丸い物を家族で分ける」「骨付きのものを囲む」というところに気持ちを置けば、素材が変わっても意味は十分に引き継げます。

ここからは日本らしい工夫のお話を少し。
洋風メニューが並ぶ中に、シチューを1品そっと置くと、途端に食べやすくなります。白いルーは雪を思わせますし、そこに人参の星型やブロッコリーの緑を後から添えると、ツリーの色合いをお皿の上で再現できます。グツグツ煮込んでしまうと形が崩れてしまうので、具を後乗せにするのがコツです。こうすると写真にも残しやすく、来年も同じように作れる“我が家の定番”になります。
「温かい料理を囲む」という要素は、日本のお鍋文化とも相性がいいので、ポトフ風にしたり、クリーム煮をパンと合わせたりと、家族の人数や年齢に合わせて変えていけます。大事なのは、寒い夜にみんなで同じ鍋や大皿に手を伸ばせるようにしておくことです。これが昔の人が大事にしてきた“ともに冬を越す”という感覚に繋がります。

飾りと同じで、食べものも「美味しければ何でもいい」ではなく、「何故この形なのか」「何故この色なのか」を1つだけでも知っておくと、用意する側の気分が変わります。
家族に配るときに「このケーキの白は雪でね」「この薪のケーキは長く燃えるようにっていうおまじないなの」と一言を添えると、食べる人の中にも優しい記憶として残ります。
クリスマスの食卓は、胃袋を満たすだけでなく、温かい物語を分け合う場でもあるんです。


第4章…和の暮らしに溶け込むクリスマス飾りのアレンジ術

日本の家は、洋風の行事をそのまま持ち込もうとすると、ちょっと浮いてしまうことがあります。障子や畳、木の建具がある空間に、海外の雑誌に出てくるような大きなツリーを置くと「ここだけ違う世界だなあ」と感じてしまうんですね。
でも、元の意味さえ押さえておけば、飾りのサイズや素材を少し変えるだけで、和の家にもスッと馴染みます。ここでは、暮らしの中にやさしく取り入れるコツをお話しします。

まずおすすめなのは「玄関だけにテーマを集中させる」方法です。
入口に小さめのリースを掛けて、靴箱の上にキャンドル型のライトを1つ、そして常緑の枝を花瓶に挿す。これだけで“冬を迎える家”という雰囲気が出来ます。丸いリースには永遠の繋がり、ライトには光を招く意味がありましたから、最小限でもきちんと要素は揃っているわけです。
和風の住まいなら、ヒイラギだけでなく、南天や千両など赤い実を持つ日本の植物を混ぜてしまっても構いません。赤と緑の対比が出て、しかもお正月飾りにも繋げやすくなります。

次に、ツリーを「高さのある置物」ではなく「壁面の飾り」として考えるやり方があります。
障子や壁の一角に、緑のリースを縦に2つ並べ、下に星形のオーナメントを下げると、簡易的なツリーの形になります。子どもと一緒に色紙で星を作ったり、松ぼっくりを吊るしたりすると、工作の時間にもなって一石二鳥です。床に大きなものを置かなくていいので、デイサービスや高齢者施設などでも安全に飾れますし、片付けも楽ですね。
食卓周りを飾るなら、テーブルクロスを真っ赤にしなくても大丈夫です。
白いテーブルに緑のランチョンマットを敷き、そこに赤い器や木のプレートを組み合わせると、一気にクリスマスらしくなります。色が濃くても面積が小さければ、和食器とも喧嘩しません。例えばその日の汁ものをクラムチャウダー風にしてみたり、サラダにブロッコリーとトマトを多めにしたりすると、料理と飾りが同じテーマでまとまります。
「いつもの器+冬だけの差し色」くらいが、日本の家庭にはちょうど良いバランスです。

もう1つ日本らしい工夫として、行事が重なる時期に“次の行事に繋ぐ”飾り方もあります。
12月の半ばからはクリスマス、26日を過ぎたらお正月、と一気に模様替えをすると疲れてしまいますよね。そこで、リースは緑と赤をベースにしておき、クリスマスが終わったら松や水引を足すだけにしておくと、飾りを総入れ替えしなくて済みます。元々、リースは輪の形で縁起がいいので、年末年始の玄関にもピッタリです。
「意味がある飾りは長く飾っていい」という考え方にしておくと、忙しい年末でも心に余裕が生まれます。
そして忘れたくないのが、飾る理由を家族に一言、伝えることです。
「このリースはね、冬でも葉を落とさない木を使ってるから、元気で過ごせますようにってことなんだよ」
「このライトは、暗い季節に光を連れてくるおまじないなんだよ」
といった具合に、短い説明を添えておくと、飾りがただの装飾で終わらなくなります。子どもやお年寄りにも伝わりやすくなり、来年も同じように飾ろうという気持ちが生まれます。

このように、意味を知った上で日本の素材や暮らし方に合わせていけば、クリスマスの世界観は無理なく和室にも溶け込ませることができます。
「豪華にしなければならない」ではなく「光と常緑と小さな赤をどこかに入れる」。これを合言葉にしておくと、どんなお家でも優しい12月のしつらえが出来ますよ。

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まとめ…大切な人に物語を添えて灯す12月の夜

ここまで見てきたように、12月の飾りやご馳走は、どれも「冬を無事に越したい」「家族と繋がっていたい」「光を招きたい」という、とても人間らしい願いから生まれています。
丸いリースには終わらない繋がりが、常緑のツリーには命の強さが、星やベルには導きと悦びが、そしてテーブルに並ぶ料理には「皆で分けあって食べよう」という気持ちが込められていました。

日本の暮らしの中に入れる時は、その願いの芯を残したまま、素材や色を少し和風に変えれば大丈夫です。玄関に小さなリースを1つ掛けるだけでもいいですし、夕食に白いシチューを出して赤と緑の野菜を載せるだけでも、部屋の空気がクリスマスになります。大事なのは“意味を知った上で飾る・食べる”ということです。そうすると、同じ飾りでも子どもに語れますし、写真に残した時にも「この星はね…」と説明できて、思い出の質が上がります。

また、日本で広まったプレゼントの習慣のように、海外から来たものを自分たちなりに育てていくのは、とても日本らしい楽しみ方です。ことさら宗教的に重たく考えなくても、「寒い季節に温かさを分け合おう」という気持ちで飾れば、クリスマスは誰の家でも祝えるはずです。

今年の12月は、飾る前にひと呼吸おいて「これは何を願っていた飾りだっけ」と思い出してみてください。
物語を知った飾りは、ただの飾りよりもずっと長く家族の記憶に残ってくれますよ。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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