お正月に孫と二人きりになったら~高齢者が笑顔で過ごす室内遊び術~

[ 1月の記事 ]

はじめに…お正月の「孫と2人きり時間」を楽しむ心構え

お正月に、遠方や別世帯で暮らす息子さん一家が遊びに来てくれる。高齢の親にとって、こんなに嬉しい行事はなかなかありませんよね。特に、まだ3歳から6歳くらいの孫がちょこちょこ歩いて家の中を動き回る姿は、それだけでご馳走のような時間です。

一方で、その可愛い孫と1対1で過ごすとなると、少し不安もよぎります。体力は持つだろうか、どんな遊びなら安全に楽しませてあげられるだろうか、息子夫婦の子育ての邪魔にならないだろうか……と、嬉しさと同じくらい、緊張もあるかもしれません。

ここで、少し考え方を変えてみましょう。お正月の来訪は、「高齢者さんに会いに来てくれた日」であると同時に、「息子夫婦にひと休みしてもらえる日」でもあります。思い切って「孫は預かるから、二人で初詣でも買い物でも行っておいで」と背中を押してあげることで、親世代にもゆとりの時間をプレゼント出来るのです。

その代わり、高齢者さんと孫の側には、「どう過ごすか」という小さな作戦が必要になります。何となくテレビをつけて、何となく玩具を渡して……では、アッという間に飽きてしまい、お互いにぐったりしてしまうかもしれません。事前に、室内でどんな遊びを用意しておくか、どの時間帯に何をするか、ざっくりとでもイメージを持っておくと、1日がとても楽な流れになります。

ポイントは、孫が夢中になりやすく、高齢者さんの身体への負担は少なく、しかも「一緒にやっている」という実感が残ることです。例えば、自分が子どもの頃に遊んだ昔ながらの遊びを教えてみること。折り紙やお絵描きで形に残る作品を一緒に作ること。台所で簡単なおやつ作りをして、「二人の共同作品」を味わうこと。こうした過ごし方は、孫にとっても、高齢者さんにとっても、「特別なお正月の思い出」として心に残っていきます。

この文章では、息子夫婦を気持ちよく送り出すちょっとした声掛けから、室内での遊びの選び方、昔遊びの生かし方、思い出を形や味にして残す工夫まで、順番にお話していきます。お正月に孫と2人切りになった時、「どうしよう」ではなく「待ってました」と笑顔で迎えられるようなヒントになれば嬉しいです。

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第1章…息子夫婦を気持ちよく送り出す「預かり上手」な段取りと声掛け

お正月に息子さん一家がやって来たら、まず意識したいのは「今日は、孫とゆっくり遊べる特別な日」と考えてみることです。高齢者さんのところにわざわざ足を運んでくれるのは、それだけで大きな愛情の表れですし、その中で「孫を安心して預けられる存在」になれたら、親世代にとっても大きな支えになります

とくに3歳から6歳くらいの孫は、可愛さの塊のような存在です。その一方で、息子夫婦は毎日の子育てでクタクタになっていることも多いですよね。そこでお正月くらいは、祖父母が前に一歩出て「今日は〇時間くらいなら、こっちで見ているから、初詣でも買い物でも行っておいで」と、予め声を掛けておくと、とても喜ばれます。時間をはっきり伝えることで、息子夫婦も安心して外出しやすくなりますし、高齢者さんの体力的な負担も調整しやすくなります。

そのためには、少しだけ事前の準備が大切です。まず、転びやすそうな物は片付けておくこと。低い位置にあるガラス製品や、触られると危ない薬・道具は、前日までに高い棚や別の部屋に移しておきましょう。「ここで主に遊んでもらう場所」「ここから先は一緒に行く場所」というように、自分の中で線引きをしておくと、当日の声掛けもスムーズになります。

また、自分の体調も正直に伝えておくことが大切です。「午前中なら元気だから、その間はしっかり遊べるよ」「お昼ご飯の後に少し休憩をさせてもらえたら、午後も大丈夫」など、出来る範囲を先に話しておくと、息子夫婦も安心して時間を調整できます。我慢して無理をするより、「この時間なら任せて」という姿勢の方が、長い目で見て良い関係が続きます。

当日の声掛けは、明るく、具体的に、そして遠慮させない雰囲気がポイントです。「せっかく来たんだから、二人で出掛けておいでよ。こちらは〇時までは大丈夫だから」「ゆっくりお茶でも飲んで、たまには夫婦だけで話しておいで」と、少し背中を押すように伝えましょう。息子夫婦の「預けて良いのかな……」という申し訳なさを和らげてあげることで、「頼れる親」としての存在感が一層高まります。

一方で、何でもかんでも引き受ける必要はありません。持病があって長時間は難しい場合や、どうしても不安が残る場合は、「〇時間くらいなら安心して見ていられるよ」「この遊びまでなら得意だから、後は皆が揃ってからにしようね」と、自分の限界を優しく伝えることも立派な判断です。無理をして体調を崩してしまっては、次から「預けるのは心配」となってしまい、本末転倒になってしまいます。

こうして「預かり上手」になると、お正月の訪問が、単に顔を見に来る日から、「毎年恒例の、孫と祖父母の特別な時間」に変わっていきます。息子夫婦には休息と二人時間をプレゼントし、孫には安心できる居場所と遊び相手を提供し、自分自身も心温まる思い出を増やしていく。その土台作りが、この第1章でお伝えしたい「段取り」と「声かけ」の役割なのです。


第2章…3~6歳の孫と高齢者が安心して遊べる室内遊びの選び方

3歳から6歳くらいの孫は、とにかく元気で、好奇心の塊です。ちょっとした物にもすぐ興味を示し、走り回ったり、しゃべり続けたり、1つの遊びに長く集中できる日もあれば、すぐに別のことをしたくなる日もあります。そんな時期の子どもと高齢者さんが無理なく向き合うためには、「安全」「程良い距離感」「お互いが座って楽しめる」という3つの視点で遊びを選ぶことが大切です。

冬のお正月は、外に出ると風が冷たく、道が滑りやすいこともあります。孫に付き合って外を走り回るのは、高齢者さんにとっては転倒の危険や疲労の心配が付き纏いますよね。そこで基本は室内遊びにして、「どうしても外に行きたい」と言われた時には、息子さん夫婦が在宅の時間帯に任せる、もしくは短時間だけ玄関先やベランダで空気を吸う程度に留めるなど、無理のない範囲で調整していきましょう。遊びの主戦場を室内に決めておくだけでも、心に少し余裕が生まれます。

とはいえ、室内でも全力で走り回られてしまうと、やはり高齢者さんの体力はすぐに削られてしまいます。ここで意識したいのが、「座って楽しめる遊び」を中心に据えるという発想です。たとえば、ちゃぶ台やローテーブルを1つ決めて、「このテーブルのまわりが今日のひみつ基地だよ」と伝えると、その周りで完結する遊びに流れを誘導しやすくなります。折り紙、お絵かき、人形を並べるごっこ遊び、かるたやトランプなども、座った姿勢からあまり動かずに楽しめるので、高齢者さんには心強い味方になります。

さらに、孫の年齢に合わせて「難しすぎない」「飽きたらすぐ切り替えられる」ものを選ぶことも大切です。3歳に近い年齢なら、ルールが複雑な遊びよりも、色や形を楽しむシンプルな遊びの方が向いていますし、5歳や6歳なら、少しだけ勝ち負けのある遊びや、手先を使う工作遊びを取り入れると喜ばれます。同じ遊びでも、年齢に合わせて「説明の仕方」と「難しさ」を変えてあげるだけで、孫の満足度はグッと変わってきます。

家にある物を活かす視点も忘れたくありません。わざわざ特別なおもちゃを買い足さなくても、座布団を並べて「ここから落ちたら池だよ」とイメージ遊びをしたり、古いカレンダーの裏を使って大きな紙を広げ、2人でお絵描きをしたり、靴下を丸めて「的あてゲーム」をしたりと、工夫しだいで遊び場はいくらでも生まれます。孫に「お婆ちゃん(お爺ちゃん)の家には、こんな遊び方があるんだ」と思ってもらえると、それ自体が立派な思い出になります。

もう1つ大事なのが、時間のリズムを作ることです。最初に少し体を動かす遊びをして、その後に座って出来る遊びに切り替え、途中でおやつタイムを挟んで、最後は静かなお話しや絵本タイムで締め括る。こんな風に、ざっくりとした流れを頭の中で描いておくだけで、「次は何をしよう」と慌てる場面が減ります。孫にとっても、「遊ぶ時間」「食べる時間」「ゆっくりする時間」が交互に来ることで、気持ちの切り替えがしやすくなります。

室内遊びの選び方で一番大切なのは、高齢者さんが「自分も楽しい」と感じられるかどうかです。無理に若い世代の遊びに合わせようとするのではなく、自分の得意な昔遊びや、好きだった遊び方を少し現代風にしながら共有していく。そうすることで、「孫のために頑張った1日」ではなく、「孫と一緒に笑った1日」という感覚が残りやすくなります。その基礎を作るのが、この室内遊びの選び方なのです。


第3章…昔ながらの遊びを今風にアレンジ~ゲーム性で一緒に盛り上がるコツ~

3~6歳くらいの孫と高齢者さんが一緒に遊ぶ時、大きな味方になってくれるのが「昔ながらの遊び」です。コマ、かるた、トランプ、福笑い、お手玉、おはじき、折り紙などは、世代を問わず楽しめる上に、座ったままで遊べるものが多く、高齢者さんの体にもやさしい遊びです。しかも、道具そのものはシンプルなのに、ちょっとした工夫で何通りもの遊び方に変化させられる柔らかさがあります。

ただ、昔遊びをただ並べるだけでは、現代っ子の孫からすると少し物足りなく感じることもあります。そこで大切になるのが「ゲーム性」を少しだけ足してあげることです。勝ち負けがはっきりする対戦にしてみたり、制限時間を決めて挑戦してみたり、点数を数えてランキングをつけてみたりと、ちょっとしたスパイスを加えるだけで、孫の目の輝きが変わってきます。

例えば、かるたなら、読み札を読む役を高齢者さんが担当し、取り札を取る役を孫が担当する、という役割分担が出来ます。最初は「ゆっくり、はっきり」読み聞かせのように読んであげて、慣れてきたら少しテンポを上げてみると、それだけで自然とゲームらしさが増していきます。枚数が多くて難しければ、数枚だけを選んで「今日はこの中で遊ぼうね」と、コンパクトにするのもコツです。最後に「何枚取れたかな」「今日はここまで覚えたね」と振り返ると、遊びながら学びの要素も育ちます。

トランプなら、昔ながらのババ抜きや神経衰弱がおすすめです。神経衰弱は記憶力が試される遊びであり、高齢者さんにとっても良い頭の体操になります。孫と同じ目線で本気でカードをめくり、「さっきここに似たマークがあった気がするんだけどなあ」と首をかしげながら探す姿は、それだけで楽しいコミュニケーションになります。もし高齢者さんが負け続けてしまっても、「あれ、お婆ちゃんの方が記憶力いいはずなんだけどね」と笑いに変えれば、勝敗以上のやり取りが生まれます。

福笑いは、お正月らしさを演出しやすい遊びです。目隠しをしてパーツを並べる本来の遊び方はもちろんですが、小さな孫には、最初は目隠しなしで「変な顔コンテスト」にしてしまうのも1つの手です。わざと眉を高い位置に貼ってみたり、口を横にずらして貼ってみたりして、二人で「これは笑うしかないね」と大笑いする時間は、写真に撮っておくと後から何度でも楽しめます。慣れてきたら今度は高齢者さんが目隠しをして、孫が「もうちょっと右だよ」「ああ、行き過ぎた」とナビゲート役になると、役割が逆転してまた新しい盛り上がりが生まれます。

折り紙やお手玉、おはじきなども、少し工夫するだけで立派なゲームになります。折り紙なら、「今日は鶴を何羽折れるか挑戦してみよう」「同じ色で揃えて飾ってみよう」など、目標を決めるだけで競い合いの要素が生まれます。お手玉は、高齢者さんが手本を見せてから、回数を数えてみるだけで立派なチャレンジになります。上手く出来なくても「さっきより1回多く出来たね」と、前回との比較を楽しむようにすれば、孫にとっても励みになります。

ここで大事なのは、高齢者さんが「本気で楽しむ」姿を見せることです。あまりにも手加減し過ぎると、孫の方が物足りなく感じてしまいますし、逆に大人げなく勝ち続けると、悔しさだけが残ってしまうかもしれません。理想は、「勝ったり負けたり」を自然に繰り返すことです。時には本気で勝ち、時にはわざとほんの少し手を抜いて接戦にして、「最後は1枚差で負けちゃった、悔しいなあ」と、あくまで楽しそうな雰囲気を崩さないことが、孫の心に残る時間に繋がります。

また、ゲーム性を高めると言っても、難しいルールをたくさん覚えさせる必要はありません。「先に3枚揃えた方の勝ちね」「今日は2回戦までにしよう」など、シンプルで分かりやすい決まりを1つ足すだけで十分です。遊んでいる途中で孫が飽きてきたら、「次はルールをちょっと変えてみようか」と提案して、孫の意見も聞きながら一緒に新しい遊び方を考えるのも良いでしょう。「自分たちでルールを作った遊び」というだけで、その時間は特別なものになります。

昔ながらの遊びに、少しのゲーム性と柔らかい発想を加えることで、「ただ暇を潰す時間」が「一緒に熱中して笑った時間」に変わります。高齢者さんが子どもの頃に味わったワクワクを、そのまま今の孫と共有できるように、どうアレンジしたら面白くなるかを一緒に考えてみることが、この章のテーマです。


第4章…折り紙・お絵描き・台所仕事~思い出を形と味で残す工夫~

お正月に孫と2人切りで過ごす時間を、ただの「その場限りの遊び」で終わらせず、後から振り返って微笑める思い出に変えてくれるのが、「形」と「味」を残す工夫です。目に見える作品と、口の中に残る美味しい記憶。この2つがあるだけで、その日が特別な1日に格上げされます。ここでは、折り紙やお絵描き、台所仕事を通して、孫と高齢者さんが一緒に作れる小さな思い出作りのヒントをお話しします。

まず取り入れやすいのは折り紙です。折り紙は、用意する物が少なく、場所も取らず、座った姿勢で楽しめるところが魅力です。お正月なら、鶴や扇、だるま、羽子板、門松など、季節感のある作品がぴったりです。高齢者さんが折り方をゆっくり見せてあげて、孫が真似をして折ってみる。上手く折れないところは少しだけ手を添えてあげて、「ここまで自分で出来たね」と言葉を掛けると、それだけで孫の自信に繋がります。

折った作品は、そのまま机の上に並べておくだけでは勿体ないので、1枚の台紙にまとめて貼ってみましょう。少し厚めの紙や、いらなくなったカレンダーの裏などを使えば、立派な作品になります。作品を貼る場所を孫と一緒に決めながら、「これはお爺ちゃんが折った鶴だね」「これは〇〇ちゃんが作った門松だね」と話しかけると、その紙1枚が、その日の物語を写したアルバムのような役割を果たしてくれます。端の方に日付と、「お正月にお婆ちゃんの家で作ったよ」という一言を書いておけば、後から見返した時に、その日の空気まで思い出しやすくなります。

おえかきも、思い出作りにぴったりの遊びです。白い紙を数枚用意して、「今日のことを1枚の絵にしてみようか」と声を掛けてみましょう。例えば、「さっき折った折り紙の周りに、富士山や初日の出を描いてみる?」「これから食べるお汁粉の絵を描いてみる?」など、具体的なテーマを提案すると、孫もイメージしやすくなります。高齢者さんも横で同じテーマの絵を描いて、「どっちの富士山が立派かな」と笑い合えば、それだけで共同作品のような一体感が生まれます。

絵が描き上がったら、折り紙と同じように壁や柱に貼って、「今日のギャラリー」を作るのもおすすめです。息子夫婦が外出から戻ってきた時に、「こんなことをして遊んでいたんだね」と一目で分かり、会話の切っ掛けにもなります。「お爺ちゃんがこんな上手に描いたの?」と驚いてもらえれば、高齢者さんの内心も嬉しくなりますし、「また来年も一緒に描こうね」という約束にも繋がっていきます。

そして、お正月らしさを一層深めてくれるのが、台所仕事を通じた思い出作りです。本格的な料理を作る必要はありません。むしろ、少ない手順で一緒に出来る、温かいおやつ作りが向いています。例えば、お汁粉なら、鍋に水とあんこを入れて、ゆっくり温めるだけでも立派な「共同作業」です。孫には、木べらやお玉で優しく混ぜる役をお願いして、「ぐるぐる係」を任せてあげると、目を輝かせて手伝ってくれるでしょう。

お餅を使う時は、安全のために小さく切って、軟らかく煮ることを忘れないようにします。高齢者さん自身も、喉に詰まりやすい年代ですから、「今日はお餅を小さくして、よく噛んで食べようね」と、孫と一緒に気を付ける姿勢を見せることが大切です。食べている間は、テレビなどに気を取られないようにしながら、「美味しいね」「温まるね」と声を掛け合う時間そのものが、掛け替えのない一時になります。

お汁粉の他にも、少量のご飯で一口サイズのおにぎりを作ったり、海苔や細く切った野菜で顔を作って「お正月のおにぎりさん」にしてみるなど、ちょっとした工夫で台所が遊び場に変わります。孫にラップの上からギュッと握ってもらい、高齢者さんは具材を用意する役、出来上がったおにぎりに名前をつける役、といった具合に役割を分けると、無理なく参加できます。「これは富士山おにぎり」「これは招き猫おにぎり」などと名前をつけると、食べる前から笑いがこぼれます。

こうして作った作品や料理は、是非「見せる」「話題にする」ことも意識してみてください。息子夫婦が帰ってきたら、壁に貼った折り紙や絵を一緒に見ながら、「この鶴はね、途中で失敗して笑っちゃったんだよ」「このお汁粉は、〇〇ちゃんがたくさん混ぜてくれたんだよ」とエピソードを添えて紹介すると、その場にいなかった人にも、時間の流れが伝わります。写真を撮っておけば、孫が大きくなった時に「あの時、こんなことをして遊んだね」と振り返る材料にもなります。

折り紙やお絵描き、台所仕事は、どれも特別な道具がなくても始められる、身近な遊びです。しかし、そこに「一緒に作る」「後から見返せる」「味わいながら思い出せる」という要素を意識して加えることで、お正月の1日は、ただ過ぎていく時間から、「心に残る物語の1章」に変わっていきます。高齢者さんの手と、孫の小さな手が同じ作品を作り、同じ湯気の立つお椀を囲む。その光景こそが、何よりの宝物なのかもしれません。

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まとめ…「また来たい」と言われるお正月の1日を作るために

お正月に息子さん一家が顔を見せてくれるのは、高齢者さんにとって大きな楽しみです。そして、孫と2人きりで過ごす時間は、少し緊張も伴うけれど、とても貴重な一時でもあります。何となく流されるままに1日を終えるか、「楽しかったね、また来たいね」と言ってもらえる1日にするかは、高齢者さんのちょっとした心掛けと準備次第で、意外なほど変わってきます。

第1章では、まず息子夫婦を気持ちよく送り出す「預かり上手」の考え方をお伝えしました。自分の体力や持病を正直に伝えつつ、「この時間なら任せて」と範囲を決めて引き受ける。わずか数時間でも、子育て中の夫婦にとっては大きな息抜きになりますし、「安心して子どもを任せられる親がいる」という心強さにも繋がります。

第2章では、3歳から6歳の孫と高齢者さんが、無理なく遊べる室内遊びの選び方を考えました。転倒や寒さのリスクを避けつつ、卓袱台やローテーブルを中心に「座って楽しめる遊び」を用意しておくこと。年齢に合わせて、難し過ぎないルールと、飽きたらすぐ切り替えられる柔らかさを持たせること。家にある物を上手く活かせば、特別な玩具がなくても、室内は立派な遊び場になります。

第3章では、昔ながらの遊びに少しだけゲーム性を足して、孫と一緒に熱中できる時間に変えるコツをお話ししました。コマ、かるた、トランプ、福笑い、折り紙……どれも高齢者さんにとっては懐かしく、孫にとっては新鮮な遊びです。勝ち負けを取り入れてみたり、制限時間を設けてみたり、時にはルールそのものを2人で作り替えてみたりすることで、「ただの遊び」が「2人だけの特別なゲーム」へと変わっていきます。

第4章では、折り紙やお絵描き、台所仕事を通して、「形」と「味」に残る思い出作りを提案しました。折った作品や描いた絵を1枚の台紙や壁にまとめて貼ると、その日一緒に過ごした物語が目に見える形で残ります。簡単なお汁粉作りや一口おにぎり作りも、作っている時間そのものが楽しい共同作業ですし、湯気の立つお椀を囲む光景は、孫の記憶にも深く刻まれていきます。

こうして振り返ってみると、お正月の「孫と2人きり時間」を豊かにする鍵は、特別な場所や高価な玩具ではなく、「高齢者さん自身の経験」と「少しの工夫」です。昔遊びの知恵、台所での手仕事、ゆっくりとした会話の時間――孫は、その1つ1つから、家とは違う温もりを感じ取っています。「お婆ちゃんの家に行くと、こんな風に遊んでくれる」「お爺ちゃんのところでは、毎年こんなことをする」という記憶が積み重なれば、それがそのまま家族の小さな伝統になっていきます。

そして何より大切なのは、高齢者さん自身が「大変だから仕方なく預かる」のではなく、「せっかくの機会だから、一緒に楽しもう」という気持ちでこの時間を迎えることです。上手くいかない日があっても構いません。予定通りに遊べなかったとしても、「今年はこうだったね」「来年はこんな風にしてみようか」と笑って振り返れば、それもまた1つの思い出になります。

お正月に孫と2人きりになった時、「どうしよう」と身構えるよりも、「今年はどんな遊びを教えてあげようかな」と少しワクワクしながら待てるように。この記事が、その一歩を踏み出すお手伝いになれば嬉しいです。「また来たい」と言われるお正月の1日を、どうぞゆっくり育てていってください。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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