高齢者のレクリエーション1月案内~遊び心で心と体をほぐす企画書~
目次
はじめに…1月の「遊び」が高齢者ケアを変える
1月は、一年の中でも特に「区切り」を意識しやすい月です。新しい年の始まりというだけでなく、利用者さんにとっては「昔のお正月の思い出」が一気に甦りやすい時期でもあります。お屠蘇やおせち料理、こたつ、こま回しや凧揚げ…そんな記憶の断片が、匂いや音、色合いと結びついて、1人1人の人生の物語をそっと引き出してくれます。
介護現場では、どうしても「訓練」「機能維持」という言葉が前に出やすくなりますが、1月くらいは思い切って「遊び心」を前面に出してみませんか。ここでいう遊びは、決して意味のない時間潰しではありません。笑ったり、声を出したり、手を動かしたり、誰かと勝負したり、思い出を語り合ったりするうちに、自然と心と体がほぐれていく、大切なケアの時間です。
この企画書では、高齢者のレクリエーションを「遊び×効果」という視点から整理し直してみます。ただ楽しいだけで終わらせず、「何を狙ってこの遊びを行うのか」「どんな変化を見ていくのか」というところまでを、優しい言葉で筋道立てて考えていきます。難しい専門用語や堅苦しい書き方はなるべく減らし、現場の職員さんがそのまま使えるイメージでまとめていきます。
また、昔ながらのお正月遊びだけでなく、壁画制作や簡単な工作、ミニバザーや三世代交流など、少しだけ発想を広げたアイデアもご紹介します。「これならうちの事業所でも出来そうだな」「この部分だけ取り入れてみようかな」と感じていただけるように、負担を掛け過ぎない工夫も意識しました。
1月のレクリエーションが、「ただ年が明けたから行う行事」ではなく、「その人らしさに光が当たる切っ掛けの日」になるように。この記事が、皆さんの企画作りのお供として、傍に置いていただける存在になれば嬉しいです。
[広告]第1章…高齢者のレクリエーション1月は「遊び×効果」を狙おう
1月の高齢者レクリエーションというと、多くの事業所で「お正月行事は一通りやっているし、後はいつもの体操でいいかな」と考えがちです。ところが、少し視点を変えると、1月ほど「遊び」を前面に出しやすい月はありません。昔ながらの遊びや、お正月ならではの縁起物を題材にしながら、しっかりと心と体の変化も狙っていくことが出来るからです。
ここでいう「遊び×効果」とは、まずは利用者さんが純粋に面白いと感じる活動を用意し、その中にさりげなく発声練習や嚥下の刺激、上肢の運動、バランス感覚、記憶の呼び起こしといった要素を織り込んでいくという考え方です。「訓練だから頑張りましょう」ではなく、「遊んでいたら、いつの間にか体と頭も動いていた」という状態を目指します。
例えば、大きな声で笑う場面が多い遊びは、それだけで呼吸が深くなり、胸やお腹の筋肉もよく動きます。笑いながら言葉を交わすうちに、自然と口の周りや舌も滑らかに動き、嚥下機能の刺激にも繋がっていきます。口腔体操だけを切り出して行うと負担に感じる方でも、「笑いの多い遊び」なら抵抗感が少なく、前向きに参加してもらいやすくなります。
また、勝ち負けのある遊びは、集中力や判断力を引き出す切っ掛けになります。こま回しやかるた、トランプ、サイコロを使った双六など、「どうしたら勝てるかな」と考えるだけで、頭の中では過去の経験やルールの記憶を引っ張り出しています。「昔は兄弟とよくやったなあ」「あの頃は負けず嫌いでね」といった昔話が出てくれば、それ自体が回想の時間となり、場の雰囲気も一段と温かくなります。
さらに1月ならではの取り組みとして、壁画制作や飾り作りを組み合わせる方法があります。大きな模造紙や布を用意し、「門松」「しめ飾り」「だるま」「鶴や亀」「梅の枝」など、お正月にちなんだモチーフを貼り絵や色紙、折り紙で表現していきます。ハサミが難しい方にはちぎり絵、座位が安定しない方には色を選んでもらう係、細かい作業が得意な方には仕上げの配置をお願いするなど、役割を細かく分けることで、様々な状態の利用者さんが同じ作品作りに参加できます。
完成した壁画は、単なる飾りではなく、「皆で作り上げた今月の作品」です。制作中の表情を写真に残したり、「ここを貼るのが難しかった」「この色が綺麗で気に入っている」といった感想を書き留めておいたりすると、目に見えにくい変化も拾いやすくなります。作品を眺めながら、「あの時は寒かったけれど、皆で頑張ったね」と振り返ることが出来れば、それもまた立派なレクリエーションの効果です。
このように、1月の高齢者レクリエーションでは、「お正月だし、たまには遊んでもいいか」ではなく、「お正月だからこそ、遊びを入り口にして心と体をほぐそう」という意識を持つことが大切です。楽しさを軸にしながら、その中にどんな良い変化をちりばめていくのか。次の章では、その考え方を企画書の形に落とし込む方法を、もう少し具体的に整理していきます。
第2章…「遊び」をケアの目的に落とし込む企画書づくり
高齢者のレクリエーションを「遊び」で組み立てる時、一番大切になるのが企画書の書き方です。現場の感覚としては「盛り上がれば成功でいいのでは?」と思いたくなりますが、介護保険サービスとして行う以上、「何故この遊びを選んだのか」「どんな良い変化を狙っているのか」を言葉にしておく必要があります。そこさえ押さえておけば、内容が遊びであっても、立派な専門職の取り組みとして胸を張ることが出来ます。
企画書作りの基本は、とてもシンプルです。大まかには、今の状態を知ること、目的を決めること、その目的に合った遊び方を選ぶこと、実施方法と役割分担を考えること、終わった後に様子を振り返ること、この流れを押さえれば十分です。特別な書式でなくても、日々の記録やカンファレンス用のメモに落とし込めていれば、後から根拠を説明しやすくなります。
ここでポイントになるのが、「遊びそのもの」を目的にしないことです。例えば「かるた大会を行う」という書き方で終えてしまうと、それは単なる行事の報告になってしまいます。そうではなく、「かるた大会を通して、大きな声で札を読む機会を増やし、発声と嚥下の働きを促す」「札を探す行動によって、視線の移動と上半身の動き、立ち座りの切っ掛けを増やす」といったように、遊びの中に含まれる動きを目的の形に言い替えていくことが大切です。
目的の立て方は、難しく考える必要はありません。大まかに分けると、体・心・繋がり、この3つの方向から考えると整理しやすくなります。体であれば、発声、嚥下、歩行、立ち座り、手先の細かい動き、姿勢保持など。心であれば、気分転換、不安の軽減、自信の回復、昔の記憶を思い出すことなど。繋がりであれば、他者との会話、笑顔の共有、新しい利用者さんとの距離を縮める切っ掛け作りなどが、一例として挙げられます。
例えば、輪投げやボール投げを行う時には、「上肢の挙上や体幹の捻りを無理なく引き出す」「命中した時の成功体験で自己肯定感を高める」「周りの方と得点を言い合う中で自然な会話を生む」といったように、遊びの中にある小さな動きや感情を拾い上げて目的欄に書いていきます。こうして整理しておくと、終わった後に「今日はどの利用者さんにどんな変化が見られたか」を職員同士で話し合いやすくなります。
お正月に多い、伝統的な遊びも同じです。かるた、百人一首、すごろく、福笑い、羽根つき、トランプ遊びなどは、どれも「昔はよくやったよ」と思い出に繋がりやすい活動です。そこで、「昔の記憶を引き出して、その人の人生の話題を広げる」「言葉遊びや読み札を通して、言葉への興味を呼び起こす」「札やコマを探す動作で、目と手を連動させる」といった目的を添えておきます。これだけで、同じ遊びでも、ただの行事から「その人らしさを大切にした時間」に変わっていきます。
もうひとつ大事なのは、「何を記録するか」を予め決めておくことです。全員分の細かい数値を取る必要はありませんが、「どのくらいの時間、集中して参加できたか」「自分から手を伸ばした回数は増えたか」「笑顔や発言の回数はどうだったか」といった観点を、職員同士で揃えておくと、次の企画作りにも生かしやすくなります。記録は長文でなくてもよく、「いつもより笑顔が多かった」「途中から自分から参加する姿が見られた」などの短いメモでも十分意味があります。
このように、「遊び」を企画書に落とし込む時のコツは、活動名よりも、「その遊びのどこを使って、どんな良い変化に繋げたいのか」を言葉にすることです。遊んでいる最中は、利用者さんにはあくまで「楽しい時間」として感じてもらい、裏側では職員がそっと目的と記録を支えている。そのバランスが取れていると、1月のレクリエーションは、現場にとっても利用者さんにとっても、特別な意味を持つ一時になっていきます。次の章では、具体的な遊びや制作の例を挙げながら、冬ならではのアイデアをもう少し細かく見ていきましょう。
第3章…お正月遊びと制作で頭と体を動かす冬のアイデア集
1月のレクリエーションは、「特別なお正月らしさ」と「いつもの日常」をどう混ぜるかがポイントになります。ここでは、昔ながらのお正月遊びと、冬ならではの制作活動を組み合わせながら、頭と体をじんわり動かしていくアイデアを具体的に見ていきましょう。どれも、道具や準備のハードルを出来るだけ下げつつ、介護現場で取り入れやすい形を意識しています。
昔ながらのお正月遊びをレクリエーションに変える
まずご紹介したいのが、昔から親しまれてきたお正月遊びを、そのままレクリエーションに生かす方法です。凧揚げや独楽回し、羽根つき、かるた、双六、福笑い、トランプ遊びなど、高齢の方にとっては懐かしさと共に思い出が詰まった遊びばかりです。「懐かしい」「小さい頃は良くやった」と感じてもらえるほど、会話も自然と増えていきます。
例えば、かるたや百人一首を使う場合、ただ取り札を取り合うだけでなく、「読み札を交代で読む係」「取り札を配る係」「勝敗を数える係」など、役割を細かく分けてみると参加の幅が広がります。読み上げる人は発声と滑舌の練習になり、札を探す人は目と手の連携が必要になります。椅子から軽く前かがみになって札を取ろうとする動きは、前屈のストレッチにもなり、姿勢を保つ練習にも繋がります。
福笑いも、単純でありながら奥が深い遊びです。目隠しをした利用者さんに、「もう少し右ですよ」「下にずらしてみてください」と周りが声をかけながらパーツを置いてもらうと、場には笑いが溢れます。その笑いの中で、言葉のやり取りや、相手を思いやる声掛けが自然と生まれます。目を瞑って手探りでパーツを動かす動作も、指先の感覚に意識を向ける良い機会になります。
屋外に出られる事業所であれば、天候を見ながら短時間の凧揚げや簡単なボール遊びを取り入れるのも良いでしょう。外気に触れて季節の寒さを実感すること自体が、気分転換になります。無理な長時間の活動ではなく、数分から始めて、「少し寒くなってきたね」と笑いながら室内に戻るくらいの軽さがちょうど良い場合もあります。
冬でも室内で安全に動ける遊びの工夫
「外は寒いし、転倒も心配」という現場では、室内で安全に体を動かせる工夫が重要になります。ここで役に立つのが、お正月の雰囲気をまとわせた室内遊びです。
例えば、新聞紙を丸めて作った「なんちゃって羽根」を使い、座ったままテーブル上で打ち合う遊びは、腕を上げる動きや、目で物を追う練習になります。点数制にしても良いですが、「何回続けられるか」「綺麗に打ち返せたら拍手」といったように、成功体験を細かく設定しておくと、失敗が続いた方も参加しやすくなります。
双六も、室内での移動を取り入れやすい遊びです。大きな紙にコマを作って床に広げても良いですし、ホワイトボードにマス目を書いて、コマをマグネットにしても使いやすくなります。「歌を一曲歌う」「隣の人に今年の抱負を話す」「手足ぶらぶら体操を10回」といった指示を書いたマス目を用意すれば、止まった場所ごとに小さな運動や交流が自然に生まれます。
歩行が難しい方が多い場合は、「手だけ双六」にする方法もあります。テーブル上に小さなマス目を描いた紙を置き、サイコロを振る人、コマを動かす人、マス目の指示を読む人を分担します。座位のままでも、腕の動きや視線の移動、言葉のやり取りが続いていきます。
壁画制作や小物作りで季節を形に残す
1月のレクリエーションでは、遊びだけでなく、「目に見える形が残る制作活動」を組み合わせると、達成感がグッと高まります。大きな作品でも小さな作品でも良いので、「この冬、皆で作ったもの」が施設の中に1つあるだけで、雰囲気がパッと明るくなります。
壁画制作では、背景に大きな門松や富士山、初日の出、だるま、干支の動物などを描き、そこに利用者さんが作ったパーツを貼っていく方法が取り組みやすいでしょう。折り紙で作った梅の花や鶴、色紙で切り抜いた和柄、ちぎり絵で作ったお餅や鏡もちなど、パーツは職員の準備だけでなく、活動の中で少しずつ制作していくと、より思い入れのある作品になっていきます。
指先の動きが難しい方には、糊をつけた場所にパーツを置いてもらう、好きな色を選んでもらう、完成作品の配置を一緒に考えてもらうなど、参加の仕方を柔らかく変えてみると良いでしょう。「ここに赤を入れると華やかになりますね」「このだるまは、どこに置きましょうか」と相談しながら作業する時間そのものが、会話と笑顔の切っ掛けになります。
小物作りとしては、折り紙のぽち袋、正月飾りのミニリース、和柄のしおり、色紙サイズの「今年の目標」カードなども人気があります。「今年やってみたいこと」や「好きなこと」を一言書いてもらい、それを飾りとして廊下やフロアに掲示しておくと、職員や家族との会話のタネにもなります。書くのが難しい方には、職員が代筆しても構いませんし、絵や印だけで表現しても立派な作品になります。
完成した作品は、ぜひ写真に撮っておきましょう。作品そのものだけでなく、作っている時の表情や、周りで見守っている方の笑顔も一緒に残しておくと、次回のレクリエーションのヒントになります。「この時は皆さん、集中して取り組んでいた」「あの利用者さんは、意外と色合わせが得意だった」といった気づきが、また新しい企画に繋がっていきます。
このように、3つの切り口でお正月遊びと制作活動を組み合わせていくと、頭も体も、そして心も自然と動き出します。ただ「お正月らしいことをする」のではなく、「遊びの中で、その人の力と魅力がフッと顔を出す瞬間を増やす」という視点で考えると、1月のレクリエーションはグッと奥行きのある時間になっていきます。次の章では、これらの活動を切っ掛けに地域や他世代との交流へ広げていくアイデアを見ていきましょう。
第4章…バザーと三世代交流で広がる1月レクリエーション
一月のレクリエーションを、施設の中だけで完結させるのではなく、「外へ広げる切っ掛け」にしてみるのも一つの方法です。これまでの章で作ってきたお正月の飾りや玩具、壁画などを土台にして、小さなバザーや三世代交流の場をつくると、利用者さんの活躍の場が一気に広がります。「作って終わり」ではなく、「誰かに見てもらう」「誰かに手に取ってもらう」という体験が加わることで、やる気や満足感も大きく変わってきます。
小さなバザーが利用者さんの活躍の舞台になる
バザーというと大掛かりな催しを想像しがちですが、規模はとても小さくて大丈夫です。デイルームの一角に机を並べて、こまやお手玉、折り紙細工、干支の飾り、ぽち袋など、利用者さんが関わって作った作品を並べてみましょう。値段は職員が予め決めても良いですし、「このぐらいならどうでしょう」と利用者さんと一緒に考える時間を作っても構いません。
ここで大切なのは、「内職」や「仕事」ではなく、あくまで楽しみの延長であることをはっきりさせておくことです。作る量も、無理のない範囲に留めます。「今日は一つ仕上げてみようか」「この色を選んでみませんか」と、その日の体調や気分に合わせて関わり方を変えられるようにしておくと安心です。
バザー当日は、可能な範囲で利用者さんにも店番を手伝っていただきます。「いらっしゃいませ」と声を掛ける係、お金を受け取る係、品物を袋に入れる係、座って笑顔でお客さんを迎える係など、役割を細かく分けると、たくさんの方が参加しやすくなります。人前に立つのが苦手な方には、値札を書いたり、飾り付けを考えたりする裏方の役割をお願いするのも良いでしょう。
売り上げが出た場合には、必ず事務方と相談し、透明性のある扱い方を決めておくことが重要です。例えば、経営者の懐…ゲフンゲフン…「皆さんで食べるおやつ代に充てる」「次回の制作のための材料費に使う」など、利用者さん自身にとって納得感のある使い道を一緒に考えます。「自分たちが作ったもので、また次の楽しみに繋がっていく」と実感できると、次の制作への意欲も自然と高まっていきます。
三世代交流で「先生」になれる一日を作る
バザーと組み合わせやすいのが、地域や家族を招いた三世代交流です。例えば、「親子で作ろう お正月のおもちゃ」「お爺ちゃん・お婆ちゃんに教わる昔あそびの会」といったテーマで、半日ほどの小さなイベントを企画してみます。近隣の保育園やこども園、小学生の孫世代にあたるご家族など、無理のない範囲で声を掛けていきます。
この時、利用者さんを「教わる側」ではなく、「教える側」「見本を見せる側」として位置付けることがポイントです。昔ながらのコマの回し方やお手玉の投げ方、紙風船の膨らませ方など、「若い人より上手に出来ること」はたくさんあります。職員が事前に聞き取りをし、「〇〇さんはお手玉が得意」「△△さんは折り紙が上手」など、その人の得意分野を拾い上げておくと、当日に自信を持って役割をお願いできます。
子どもたちにとっても、「教えてくれるお爺ちゃん・お婆ちゃん」は特別な存在です。「これ、どうやるの?」「難しいね」「上手だね」といった会話が生まれることで、世代を超えた温かな繋がりが育ちます。会の終わりに、子どもたちから「今日、教えてくれてありがとうございました」と一言でも伝えてもらえると、利用者さんの表情はグッと和らぎます。
直接集まることが難しい場合には、作品だけを預かって近隣の園や学校に飾ってもらい、後日、お礼のメッセージや写真をいただくという形も可能です。壁画や飾りを背景に撮影された子どもたちの写真を掲示すれば、「自分たちが作った物が、ここでこうして喜ばれている」という実感に繋がります。オンラインでの交流ができる環境であれば、画面越しに作品を見せ合ったり、昔あそびの実演をしたりする方法も考えられます。
このように、バザーや三世代交流の場を一月のレクリエーションに組み込むことで、制作や遊びの時間が「誰かの役に立った」「自分の得意なことを生かせた」という体験へと変わっていきます。それは、利用者さんの自己肯定感を支える大切な要素となり、日々の生活にも前向きな影響をもたらします。次のまとめでは、1月のレクリエーション全体を振り返りながら、「遊び」を通してその人らしさが光る企画作りの視点を改めて整理していきます。
[広告]まとめ…「遊び」を通じてその人らしさが光る1月の1日を
ここまで見てきたように、1月の高齢者レクリエーションは「お正月だから何かする月」ではなく、「遊びを入り口に、その人らしさが一番自然に顔を出す月」として考えることが出来ます。懐かしい遊びや、季節の飾り、制作活動を通して、利用者さんの中に眠っていた記憶や得意分野が、フッと表に表れる瞬間がたくさん用意できるからです。
第1章では、「遊び×効果」という視点から、1月のレクリエーションを捉え直しました。ただ楽しいだけの時間ではなく、大きな声で笑うこと、体を前に倒したり手を伸ばしたりすること、勝ち負けを意識して頭を働かせることなど、遊びの中に含まれている動きや感情を丁寧に拾い上げる大切さを確認しました。
第2章では、その考え方を企画書に落とし込むコツを整理しました。活動名だけを書くのではなく、「体」「心」「繋がり」という三つの方向から目的を言葉にすることで、同じ遊びでも意味合いが大きく変わることをお伝えしました。事前に「どこを見ていくか」を決めておくことで、終わった後の振り返りや記録がグッとしやすくなることも、現場での安心感に繋がっていきます。
第3章では、具体的なお正月遊びと制作のアイデアを取り上げました。かるた、福笑い、双六、室内での軽い運動、そして壁画制作や小物作りなど、特別な道具がなくても始めやすいものばかりです。「参加が難しい方には役割や関わり方を変えてお願いする」「作品作りの過程も写真に残しておく」といった工夫を添えることで、より多くの利用者さんが同じ場を共有しやすくなります。
第4章では、バザーや三世代交流へと発展させるアイデアをご紹介しました。小さな手作り品を並べたバザー、子どもたちに昔遊びを教える会、作品を地域に飾ってもらう取り組みなどは、利用者さんにとって「自分が誰かの役に立てた」「先生になれた」という実感に繋がります。それは自己肯定感を支え、「また次も何かやってみよう」という前向きな気持ちを育てる大切な切っ掛けになります。
こうして振り返ってみると、1月のレクリエーションは、特別なイベントを無理に増やすことよりも、「いつもの活動にお正月らしさと遊び心を少し足していく」ことが鍵だと分かります。そして、その裏側で職員がそっと目的や記録の視点を支えておけば、現場としても安心して取り組めます。利用者さんはただ「楽しかった」と感じてくれていて、その影で体と心の変化をしっかり受け止めていく――その関係が築けると、1月の1日はとても豊かなものになっていきます。
この記事の中から、1つでも「やってみようかな」と思えるアイデアが見つかったら、是非、次の企画書に取り入れてみてください。大掛かりでなくて構いません。小さな遊びの1つが、利用者さんの笑顔や、自分らしさが光る瞬間に繋がれば、それだけで1月のレクリエーションは大成功と言えるはずです
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
[ 応援リンク ]
[ ゲーム ]
作者のitch.io(作品一覧)
[ 広告 ]
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。