お屠蘇ってなに?由来と意味と飲み方と家族で楽しむお正月の小さな儀式

[ 1月の記事 ]

はじめに…お屠蘇のひと口でスイッチが入る「新しい年のスタート」

年末が近づくと、家の中はいっきにお正月モードになりますよね。玄関にはしめ飾り、居間には鏡餅、台所ではおせち料理の仕込み……と、やることが山盛りで、気がつくと「そういえば、お屠蘇はどうしよう?」と直前になって慌てる、という方も多いかもしれません。

けれど本来、お屠蘇は「新しい一年の入口」にそっと灯りをともしてくれる大事な存在です。最初のひと口をゆっくり味わうことで、慌ただしかった年末から気持ちを切り替え、「さぁ、今年も家族みんなが元気で過ごせますように」と静かに願う、小さな儀式でもあるのです。

昔のお屠蘇は、ただの祝い酒ではなく、薬草を混ぜた「体を労わるお酒」として飲まれてきました。「無病息災」や「長寿」を願いながら盃を回す習慣には、病気や災いから大切な人を守りたいという先人たちの思いが込められています。その願いは、今を生きる私たちにも、すっと馴染む優しい祈りではないでしょうか。

とはいえ、現代のお正月はライフスタイルも家族構成も様々です。日本酒が苦手な方がいたり、子どもがいたり、高齢の家族がいたり……。「本格的なお屠蘇はハードルが高そう」「作法がよく分からない」と感じて、つい省略してしまうご家庭もあるかもしれません。

この文章では、お屠蘇の名前の意味や歴史、屠蘇散に使われる薬草のお話から、飲み方の順番、家族での盃の回し方まで、やさしく丁寧に辿っていきます。その上で、お酒が得意ではない方や小さなお子さんがいるご家庭でも取り入れやすい「我が家流の楽しみ方」も合わせてご紹介していきます。

読み終える頃には、「難しい作法の儀式」ではなく、「家族で笑顔を交わすお正月のワンシーン」として、お屠蘇を準備してみたくなるはずです。新しい一年のスタートに、ほんの少しだけ手間をかけて、心も体も温まるお屠蘇の時間を一緒に整えていきましょう。

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第1章…お屠蘇ってどんなお酒?名前の意味と歴史のおはなし

お正月になると、紅白のお飾りや立派な鏡餅と一緒に並べられることも多いお屠蘇。「何となく毎年の決まりで飲んでいるだけで、よく考えたことはないかも…」という方も案外多いのではないでしょうか。ここではまず、お屠蘇という言葉の意味や歴史を、ゆっくりほどいていきます。

「屠蘇」という漢字には、きちんとした願いが込められています。「屠」はほふる、やっつけるという意味、「蘇」は悪い鬼や、甦るという意味を持っています。まとめると、「悪いものを退治し、命を甦らせるお酒」というイメージの言葉になります。昔の人は、見えない病気や災いを「鬼」のような存在になぞらえ、その鬼を追い払う力をお屠蘇に託してきたのですね。

お屠蘇の風習は、元々、中国で生まれました。薬草をいくつか混ぜたお酒を、新しい年の始まりに飲むことで、「この一年、病気をしませんように」と祈ったのが始まりとされています。その後、日本には平安時代に伝わり、宮中や貴族の間で「年の初めの大切な儀式」として取り入れられました。やがて時代が下るにつれて武家や庶民にも広まり、今のように、家庭で楽しむお正月の風習として根付いていきます。

古いことわざのような言い回しに、「一人これを飲めば一家病なし、家族みんなで飲めば一里病なし」という表現があります。少し大袈裟にも感じますが、「せめてこのお正月ぐらいは、皆で揃って元気で迎えたい」という、素直で温かい願いがこもった言葉です。当時は今のような病院や薬が豊富にある時代ではありません。だからこそ、年の始まりに飲む一杯に、家族の健康や長生きを願う気持ちをギュッと込めたのでしょう。

また、お屠蘇はただの「お祝いの酒」ではなく、薬草を漬け込んだ「薬味のお酒」という一面も持っています。脂っこい物や甘いものが続きがちな年末年始の食卓で、体を温めたり、胃腸を労わったりする役割も期待されていました。今で例えるなら、「ハーブティーと日本酒の中間のような存在」と考えると、少しイメージしやすくなるかもしれません。

こうして歴史を振り返ってみると、お屠蘇は単なる伝統行事ではなく、「年の始まりに、健康と幸せを願うための小さな薬酒」として育まれてきたことが分かります。おせち料理やお年玉と同じように、お屠蘇にも先人たちの知恵と祈りがギッシリ詰まっています。意味を知れば知るほど、「今年もちゃんと用意してみようかな」と、少し大事にしたくなる存在ではないでしょうか。


第2章…屠蘇散の中身と香りを楽しむ―薬草と縁起のひみつ

お屠蘇の正体は「屠蘇散(とそさん)」と呼ばれる薬草の粉を、お酒やみりんにひと晩浸したものです。見た目は小さな紙パックだったり、袋状になっていたりしますが、中には昔から体を労わるために使われてきた植物がギュッと詰め込まれています。

代表的なものとしてよく挙げられるのが、山椒(さんしょう)、桔梗(ききょう)、肉桂(にっけい)、白朮(びゃくじゅつ)、防風(ぼうふう)といった生薬です。山椒は、ピリッとした香りでお馴染みの香辛料ですが、古くから胃腸を元気にする働きがあるとされてきました。桔梗は、青紫の花で知られる植物で、乾燥させた根の部分が使われます。喉や呼吸器をいたわる役割が期待されてきた、頼もしい存在です。肉桂は、シナモンとしてお菓子にも登場するおなじみの香りで、体を温めてくれるイメージが強い生薬です。白朮はキク科の植物の根を乾燥させたもので、胃腸を整え、体の中の「巡り」を意識した時に登場することの多い生薬です。防風はセリ科の植物の根を加工したもので、その名の通り「風を防ぐ」、つまり風邪などから身を守る力を期待されてきました。

こう書くと、少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに「お正月に体調を崩さないように」「冷えや食べ過ぎのダメージをやわらげるように」という願いが、それぞれの薬草に託されているのです。脂の多い料理や甘いものが増えがちな年末年始の食卓で、少しだけ薬草の力を借りて、体を内側から整えようという先人たちの工夫でもあります。

屠蘇散をお酒やみりんに浸すタイミングは、大晦日の夜が基本とされています。年が明けてから慌てて用意するのではなく、「今年もよろしくお願いします」という気持ちを込めながら、ひと足早く仕込んでおくわけです。ひと晩かけてゆっくりと薬草の香りや成分がしみ出し、元日の朝には、柔らかな香りをまとったお屠蘇が出来上がります。この「待つ時間」もまた、年越しならではの楽しみと言えるかもしれません。

地域や時代によっては、元旦、2日、3日と、日ごとに違う名前をつけて飲み分ける風習もありました。1日目は屠蘇散、2日目は白散(びゃくさん)、3日目は度嶂散(どしょうさん)と呼ばれ、それぞれ配合される生薬や役割が少しずつ変わるとされてきました。まるで「元旦は一年のスタート」「2日目はその助走」「3日目は本格的な日常への準備」といった具合に、三が日の間に心と体をゆっくり整えていくようなイメージです。

最近では、薬局やスーパーなどで、予め調合された屠蘇散が手軽に手に入るようになりました。中には日本酒だけでなく、味醂や甘酒で楽しめるタイプもあり、お酒に強くない方や、香りを中心に楽しみたい方にも取り入れやすくなっています。さらに、神社やお寺で祈祷された屠蘇散を授与しているところもあり、「今年一年の無病息災をお願いしました」というストーリーが添えられるのも魅力の1つです。

もし素材に拘りたいご家庭なら、白ごまや黒ごま、生姜、柚子などを少しだけ加えて「我が家流」の香りを楽しむという工夫もあります。ただし、どんな生薬や香味を使う場合でも、「たくさん入れれば効果も倍増」というわけではありません。味が強くなり過ぎると飲みにくくなりますし、体への負担も心配ですから、「ほんのり香るくらい」を目安にするのがおすすめです。

お屠蘇の中身を知ると、それは単なる「お正月だから飲む特別なお酒」ではなく、薬草の力と先人の知恵を借りながら、新しい一年の健康をそっと応援してくれる一杯だと分かります。次の章では、そんなお屠蘇を家族でどうやって分かち合うのか、飲み方の順番や作法について見ていきましょう。


第3章…お屠蘇の飲み方・順番・作法~家族でまわす盃のマナー~

屠蘇散を仕込んで、いい香りのお屠蘇が出来上がったら、いよいよ元日の朝の出番です。ここからは「どのタイミングで、どんな順番で飲むのか」「最低限おさえておきたい作法」を、出来るだけやさしく整理していきます。かしこまった作法書のように堅くなり過ぎず、家庭で実際に使える目線で見ていきましょう。

お屠蘇をいただくタイミングは、昔から「おせち料理を食べる前」が基本とされています。新しい一年を迎えた朝、まだ何も口にしていないうちにお屠蘇を一口いただき、体と心を清めるというイメージです。年末の慌ただしさをひと呼吸おいて、新しい年に向けて気持ちを整える時間でもあります。朝がバタバタしてしまうご家庭なら、「家族が揃う時間帯に合わせて、最初にお屠蘇、その後でおせち」と、少し緩めに考えても大丈夫です。

お屠蘇を注ぐ道具としてよく使われるのが、屠蘇器と呼ばれるセットです。大・中・小と重ねられる盃と、それを載せる盃台、そしてお屠蘇を注ぐための銚子が、1つのお盆にまとめられています。漆塗りの華やかなものから、シンプルな陶器やガラス製のものまで、素材やデザインは様々です。もちろん、屠蘇器が必須というわけではなく、手持ちの盃やお猪口を使っても構いませんが、「一年の始まり」という特別感を演出してくれる道具として、用意しておくと気分がグッと高まります。

次に気になるのが、家族の中での「飲む順番」です。昔からよく言われるのは、「小さい盃を使い、年少者から年長者へと順に回していく」という流れです。例えば、一番若い子どもからスタートし、順番に盃を回しながら、最後は家の代表である年長者へと続けていきます。盃の大きさも、小・中・大と三段階に分かれている場合は、最初の一巡目は小さな盃、二巡目は中くらい、三巡目は大きな盃、と少しずつサイズを変えていく飲み方もあります。量はあくまで「ひと口、ふた口程度」で十分です。香りを楽しみ、気持ちを整えるのが目的ですから、たくさん飲む必要はまったくありません。

一方で、地域や家のしきたりによっては、「年長者から飲み始める」流れを大切にしているところもあります。家を守ってきた人、家族の長にあたる人から盃をつけてもらい、そのあとを子や孫が続く、という考え方です。どちらが正解というより、「我が家ではこの順番にしてみよう」と話し合い、世代を超えて共有しておくことが何よりのポイントです。毎年同じ順番で盃を回していると、それ自体が家族の思い出になり、子どもたちにとっても「我が家らしいお正月」として記憶に残っていきます。

作法というと難しく感じますが、押さえておきたいのはごく簡単なことばかりです。盃を受け取る時には、両手を揃えて丁寧に受け、注いでもらったら感謝の気持ちをこめて軽く会釈をします。飲み終えた後も、音を立てずにそっと盃を置き、次の人に回す時には「あけましておめでとうございます」「今年もよろしくお願いします」と、ひと言添えると、場の空気がやわらかくなります。難しい言い回しを覚える必要はありません。いつもは照れくさい挨拶も、お屠蘇の席なら自然に口に出来るかもしれません。

忘れてはいけないのは、お屠蘇も日本酒を使ったお酒だということです。味わいはやさしくても、度数はしっかりありますから、飲み過ぎは禁物です。未成年の子どもには、ほうじ茶や白湯に少しだけ屠蘇散の香りを移した「ノンアルコール風お屠蘇」にしたり、元気に「かんぱい」だけ参加してもらったりと、体調や年齢に合わせた工夫が必要です。また、薬を服用している方や、お酒に弱い方、車の運転を予定している方は、口をつける真似だけにしておく、または最初から福茶など別の飲み物に切り替えるのも立派な選択です。

お屠蘇は、正しいかどうかだけを競う儀式ではありません。大切なのは、「新しい一年を、皆で元気に迎えられますように」という気持ちを共有することです。盃を回す順番や、挨拶のひと言ひと言は、その気持ちを形にしてくれる小さな道具に過ぎません。家族の顔触れや生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で取り入れながら、毎年少しずつ「我が家らしいお屠蘇の作法」を育てていけると良いですね。

次の章では、お酒が苦手な方や小さなお子さんがいるご家庭でも、お屠蘇の雰囲気を楽しめる工夫やアレンジについて考えていきます。


第4章…お屠蘇をわが家流に楽しむ―お酒が苦手な人への工夫とアレンジ

お屠蘇というと、「日本酒に薬草を浸した大人のお酒」というイメージが強くて、つい「お酒が苦手な人や子どもはどうしたらいいのだろう」と心配になってしまいますよね。家族の中には、体質的にお酒が合わない方や、持病やお薬の関係でアルコールを控えた方が良い方もいますし、小さな子どもや高校生くらいの年代もいるかもしれません。それでも、「皆で同じ席につき、同じ方向を向いて新年を祝う」というお屠蘇の楽しさは、できれば全員で分かち合いたいものです。この章では、お酒を飲まない人も一緒に参加できるような、我が家流のお屠蘇アレンジを考えてみましょう。

まず、忘れてはいけないのは、お屠蘇の一番大切な部分は「アルコールそのもの」ではなく、「新しい一年の健康と幸せを願う気持ち」だということです。例えば、大人の一部は日本酒で仕込んだお屠蘇をいただきつつ、子どもたちには甘酒やほうじ茶、白湯などを「お屠蘇代わり」にして、同じタイミングで「乾杯」するという方法があります。大人用の屠蘇器と並べて、子どもたちにも小さな湯のみやグラスを用意してあげるだけで、「自分もちゃんとお正月の儀式に参加している」という特別感が生まれます。盃を回す順番も、飲み物の中身は違っても同じように参加してもらえば、年齢に関係なく「家族の一員」として迎え入れられていることが自然と伝わっていきます。

屠蘇散そのものを活かしながら、アルコールを控えたい時には、香りだけをほんの少し移すという方法もあります。例えば、屠蘇散をそのままお茶に浸すのではなく、いったん日本酒やみりんに浸したものを少量だけ取り分けて、熱いお湯や甘酒と混ぜて香り付けに使うなど、濃さをしっかり調整しながら楽しむことも出来ます。あるいは、屠蘇散の袋を開けずに、お茶のポットの傍にしばらく置いて香りだけを楽しむ、といった「ほぼノンアルコール」の付き合い方も考えられます。どの方法を選ぶにしても、「体調やお薬との相性を第一に考え、無理をしないこと」が基本です。

高齢の家族がいる場合は、無理にお酒を勧めないことも大切なマナーです。若い頃はお屠蘇を楽しんでいた方でも、年齢を重ねるにつれて、お酒が体にこたえるようになることは珍しくありません。そんな時は、湯のみ茶碗に温かい番茶やほうじ茶を用意し、「今日はお茶でお屠蘇の替わりにしようね」と声をかけてあげると、気持ちよく参加してもらえることが多いでしょう。盃ではなく湯のみであっても、「家族と同じタイミングで一口いただく」という流れがあれば、それは立派なお屠蘇の儀式です。

また、お酒をまったく飲まない家庭であれば、発想を切り替えて「福茶のお屠蘇風」にしてしまうのも1つです。昆布や梅干し、黒豆など、おめでたい食材を浮かべたお茶を用意し、「今年も元気で過ごせますように」と言いながら最初のひと口を分かち合えば、意味としてはお屠蘇と同じように「無病息災」を願う儀式になります。年々、アルコールを控える人が増えている今の時代だからこそ、こうした柔らかいアレンジは、むしろ現代的な楽しみ方と言えるかもしれません。

忙しいご家庭の場合は、「毎年、必ず本格的にやらなければいけない」と気負い過ぎないことも大事です。屠蘇散を用意できなかった年は、温かいお茶や甘酒だけでも構いませんし、屠蘇器がなくても、食器棚に眠っているお気に入りのグラスやお猪口を使えば、それだけで特別な雰囲気が出てきます。「今年はこんな形でやってみよう」と、その年ごとの状況に合わせて柔軟に変えていけるのが、家庭のお屠蘇の良さでもあります。大切なのは、完璧な形を守ることより、「今年も一年、家族みんなで笑って過ごそうね」という言葉を交わす時間を確保することです。

こうして工夫してみると、お屠蘇は「お酒が飲める人だけのもの」ではなく、「家族の形に合わせて変化してくれる懐の深い風習」だと見えてきます。アルコールを控える人も、まだ飲めない子どもも、仕事柄お酒を避けたい人も、それぞれ無理のない形で席につき、同じ方向を向いて新年のスタートを祝う。その光景こそが、先人たちが願ってきた「一人飲めば一家病なし、家族みんなで飲めば一里病なし」という言葉の、現代版の姿なのかもしれません。

次の「まとめ」では、お屠蘇とのほど良い付き合い方を振り返りながら、日々の暮らしにささやかな祈りを取り入れていくヒントを改めて見つめていきましょう。

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まとめ…一年の「無病息災」を願って―お屠蘇とほどよいお酒との付き合い方

お屠蘇は、華やかな器に入った「お正月らしいお酒」というだけでなく、古くから人々が病気や災いを遠ざけたいと願い、その思いを託してきた小さな儀式でもあります。屠蘇散に使われる薬草には、胃腸を労わったり、体を温めたりしてくれる力が期待されてきました。年末年始で乱れがちな食生活や生活リズムを、そっと整えてくれる心強い存在だったわけです。「一人これを飲めば一家病なし、家族で飲めば一里病なし」という言い回しの背景には、大切な人たちに元気でいて欲しいという、素朴でまっすぐな願いが込められています。

飲み方や作法の決まりごとは、確かにいくつかありますが、大事なのは「形」そのものよりも、その場で交わされる言葉や気持ちの方です。年少者から順に盃を回すのか、年長者から始めるのか、屠蘇器を用意するのか、手持ちの器で代用するのか──どれも「我が家のやり方」として選んだ瞬間に、その家ならではの伝統になっていきます。毎年同じ順番で盃を回し、毎年同じような挨拶を交わしていると、子どもたちにとっても「これをすると新しい年が始まるんだ」という合図として、心に刻まれていくでしょう。

そして現代のお屠蘇は、「お酒が飲める人だけのもの」ではなくなっています。アルコールが苦手な人や、持病やお薬の都合で控えたい人、小さな子ども、高齢の家族……それぞれ事情が違って当たり前です。そんなときは、甘酒やお茶、白湯などをお屠蘇代わりにしたり、屠蘇散の香りだけをほんの少し移したりして、無理のない形で席に同席してもらえば十分です。同じタイミングで「今年もよろしくね」と杯や湯のみを合わせることができれば、それだけで立派な「お屠蘇の時間」になります。

また、お屠蘇は「たくさん飲んだ人がえらい」お酒ではありません。むしろ、ひと口ふた口を大事に味わうからこそ意味があるお酒です。元日の朝から飲み過ぎてしまっては、その後のご挨拶や来客の対応、おせち料理を囲む一時に支障が出てしまいます。新しい一年のスタートだからこそ、「ほどほど」を合言葉にして、自分の体調や予定と相談しながら楽しむ姿勢が何より大切です。

お屠蘇の材料は、市販の屠蘇散を使っても良いですし、拘るなら白ごまや黒ごま、しょうがなどを少しだけ加えて、我が家らしい香りを作ることもできます。どんな方法を選ぶにしても、「入れ過ぎず、効かせ過ぎず、ほんのり」を意識すると、やさしい風味に仕上がります。台所で屠蘇散を日本酒や味醂にそっと浸しながら、「今年はどんな一年になるだろう」と思いを巡らせる時間も、実はお正月ならではの贅沢な一時かもしれません。

一年の始まりに、家族や大切な人たちと一緒に盃を交わし、「どうか皆が健やかでありますように」と静かに願う。お屠蘇は、そのための切っ掛けをくれる道具に過ぎません。完璧な作法に拘り過ぎず、自分たちの暮らしに合ったスタイルで取り入れながら、「我が家流のお屠蘇時間」を少しずつ育ててみてください。来年の元日、再来年の元日と、同じように盃を合わせるたびに、その時間がきっと掛け替えのない宝物になっていきます。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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