お正月の縁起菓子入門~手作りとお取り寄せで三箇日を彩るコツ~
目次
はじめに…歳神様と楽しむ甘い「口福タイム」のすすめ
お正月の食卓といえば、おせち料理やお雑煮が主役です。年末からコトコトと煮物を仕込んだ方もいれば、「今年は思いきって買ったおせちにしたよ」という方もおられるでしょう。どちらにしても、台所の担当者はすでにひと仕事どころか、ふた仕事も終えた後かもしれません。
そんな中で、つい後回しになりやすいのが、三箇日の間に家族で摘まむ「お菓子」の存在です。お茶請けが少しあるだけで、食卓の雰囲気はふんわり和みますし、遠方から帰省した家族やお孫さんとのおしゃべりも、グッと弾みやすくなります。「おせちもお雑煮も用意したけれど、甘い物までは気が回らなかった……」という方にこそ、ゆっくり読んでいただきたいお話です。
実は、お正月に特別な菓子を囲む習慣は、古いようでいて意外と自由度の高い文化です。おせちのように厳密な決まりがあるわけではなく、地域や家庭ごとに「こんなお菓子を用意すると楽しい」「この組み合わせはうちの定番」など、オリジナル色を出しやすいのが特徴です。だからこそ、少しだけ意識して選ぶと、同じリビング、同じこたつでも、グッと晴れやかでおめでたい空気に変わってくれます。
本記事では、具体的なレシピを細かく並べたり、個別の商品名をずらりと紹介したりはしません。その代わりに、和菓子屋さんで選びやすい縁起物の菓子の考え方や、三箇日でも台所を騒がせ難い「ひと手間おやつ」の工夫、そして年末から準備しておくと安心な取り寄せ菓子との付き合い方など、「どんな方向で用意すると暮らしに馴染むか」という視点でお話していきます。
第1章では、干支やお餅にちなんだ和の菓子が、どうしてお正月の雰囲気作りにピッタリなのかを、意味合いとともにお届けします。第2章では、栗や柿など日本らしい素材を使った縁起菓子の楽しみ方を、茶の時間のしつらえと合わせてご紹介します。第3章では、三箇日に無理をしないための、簡単で遊び心のある手作りアイデアを。第4章では、年末から準備しておく取り寄せ菓子との上手な付き合い方を、失敗しにくいタイミングや量の考え方と共にまとめていきます。
おせち料理が「歳神様といただく厳かなご飯」だとすれば、お正月のお菓子は「歳神様も思わず微笑む、甘いひと休み」です。大人も子どもも、高齢のご家族も、皆で「美味しいね」と笑顔になれる一時は、何よりの福招きになります。どうぞ肩の力を抜いて、今年の三箇日をどんなおやつで彩ろうか、一緒に想像しながら読み進めてみてくださいね。
[広告]第1章…お正月に縁起物のお菓子を並べる意味と楽しみ方
お正月の食卓は、黒豆や数の子、伊達巻など、おめでたい意味を持つ料理でいっぱいになりますが、そこにそっと彩りを添えてくれるのが「縁起物のお菓子」です。ご飯の時間とご飯の時間の間、こたつで一息つく時、テレビを眺めながら家族でおしゃべりする時。そんな「合間の時間」を、優しく繋いでくれる存在でもあります。
縁起物のお菓子というと、まず思い浮かぶのは和菓子屋さんの干支にちなんだ饅頭や、生菓子でしょう。ふっくらとした饅頭は、昔から祝い事の席に登場してきた歴史の長い食べ物で、「丸い形」には円満や調和の願いが込められています。葛餅やお餅を使った菓子は、お正月の主役であるお餅そのものに「力」や「長寿」の願いが重ねられてきた名残りとも言えます。干支の焼き印が入っていたり、紅白の色でまとめられていたりすると、それだけで新しい年を迎えた実感がグッと高まります。
形や色に込められた意味も、お正月のお菓子選びの楽しみどころです。赤と白の組み合わせは、魔避けと清らかさを表し、金色に輝く栗や柑橘は、豊かさや実りを連想させます。松竹梅や鶴亀、だるまや招き猫をモチーフにした落雁や砂糖菓子などは、1つ1つに「長生きして欲しい」「福が来てほしい」といった願いが込められていて、意味を知ってから味わうと、同じひと口でも温かさが増して感じられます。
また、お正月のお菓子は「誰が食べるか」を意識して選ぶと、さらに喜ばれます。小さなお子さんがいるご家庭なら、ひと口サイズで食べやすい瓢箪型の干菓子や、干支の顔が描かれた最中など、見ているだけで笑顔になれるものがおすすめです。歯や顎に不安がある高齢のご家族が多い場合は、やわらかな羊羹や、口どけの良いきんとん、ゼリー寄せのようななめらかな食感のものを用意しておくと安心です。同じ「おめでたいお菓子」でも、家族構成に合わせて少しずつ顔触れを変えてあげると、心遣いが伝わります。
お菓子と切り離せないのが、一緒に楽しむ飲み物です。福茶のように梅や昆布を浮かべたお茶はもちろん、香ばしいほうじ茶や、スッキリとした緑茶、香り高い紅茶、深煎りのコーヒーなど、家族の好みに合わせて数種類ずつ揃えておくと、「次は何を合わせようかな」と選ぶ時間そのものが楽しみになってきます。身体を温めたい時には、生姜入りの飲み物や、柚子の皮を使った飲み物、優しいトロミの葛湯なども喜ばれます。ひと皿の菓子と一杯の飲み物の組み合わせが、そのまま「小さなご馳走」になる感覚です。
並べ方にも、ちょっとした工夫ができます。干支をテーマにした和菓子を中央に置き、周りを紅白の飴やあられで囲んでみたり、栗・柿・みかんなど黄色や橙色の菓子をまとめて「金運コーナー」として盛り付けてみたり。三方や漆器のお盆、きれいな豆皿などを使うだけでも、同じ菓子がグッと改まった表情になります。「これは健康運」「これは長寿祈願」などと話題にしながら盛り付ければ、食べる前から会話が弾むでしょう。
お正月の縁起物のお菓子は、「こうしなければならない」という決まりが殆どありません。だからこそ、基本の意味合いを少しだけ押さえた上で、「うちの家族ならこれが楽しい」「高齢の利用者さんにはこうすると安心」と、自由に組み立てて大丈夫です。新しい年のスタートに相応しい甘い一時を、是非、自分たちなりのスタイルでしつらえてみてくださいね。
第2章…和の縁起菓子図鑑~栗・柿・干支モチーフで華やぐ茶の間~
お正月らしい和の甘味と言えば、まず思い浮かぶのが「栗」を使ったお菓子かもしれません。栗きんとんはおせちの一品として有名ですが、和菓子屋さんには、栗そのものの形をした生菓子や、黄金色の粒がたっぷり入った羊羹、上品な甘さの栗蒸しようかんなど、実にたくさんのバリエーションがあります。栗は「勝ち栗」に通じることから、昔から縁起の良い食材とされてきました。新しい年をしっかり歩んでいきたいと願う気持ちを込めて、温かいお茶と一緒にゆっくり味わいたい存在です。
次におすすめしたいのが「柿」を使ったお菓子です。干し柿はそのままでも立派なご馳走ですが、最近は干し柿で餡やバターを巻いたり、ナッツを合わせたりした手の込んだ和菓子も増えてきました。橙色に近い明るい色合いは、それだけで茶の間をパッと華やかにしてくれます。柿は「嘉来」に通じるとされ、「良いことが訪れますように」という願いを託す果物でもあります。甘さが優しく、軟らかい食感の物が多いので、高齢のご家族にも食べやすく、お茶請けに向いた存在です。
見た目の楽しさで言えば、やはり干支モチーフのお菓子は外せません。その年の干支の顔がふっくらと描かれた饅頭や、小さな練り切り、最中の皮に干支の姿が浮き上がっている物など、1つの皿に並べるだけで「今年も新しい年が始まったんだな」と実感させてくれます。ご家族で囲む時には、「私はこの子の顔が好き」「あなたはこっちの表情が似ているね」と話題にしながら選ぶと、味わう前から笑顔がこぼれます。施設などでは、トレイにちょこんと干支の和菓子が乗っているだけで、その日の行事がグッとお正月らしく感じられるはずです。
昔ながらの「最中」も、お正月らしさを演出しやすいお菓子です。紅白の色合いや、鶴亀、松竹梅などがあしらわれた意匠のものは、手に取るだけでしみじみとしたおめでたさがあります。中に入る餡も、こし餡、粒餡、白餡に抹茶風味など様々あり、家族それぞれの好みに合わせて選ぶ楽しみがあります。高齢の方には、小ぶりで皮が薄めのものを選ぶと、口の中でほどけやすく安心です。逆に若い世代には、アイスやクリームを挟んだアレンジ最中を用意すると、「和」と「洋」が出会う面白さも一緒に味わえます。
縁起菓子を選ぶ時、色の組み合わせを意識すると、テーブル全体の印象がグッとまとまります。例えば、赤と白を中心にした菓子は、お正月らしい華やかさと清らかさを同時に表現してくれます。そこに金色に近い黄色の栗や、橙色のみかん、深い緑色の抹茶を使ったお菓子が加わると、まるで門松や鏡餅を眺めているような「日本のお正月の色」が、ひと皿の上にギュッと詰まります。同じ和菓子でも、器を変えたり、色の並べ方を工夫したりするだけで、印象が大きく変わるので、余裕があれば好みの豆皿やお盆も一緒に用意してみると楽しいでしょう。
忘れてはいけないのが「香り」の役割です。柚子の皮や抹茶、焙じたお茶の香りは、それだけで冬の空気をやわらかくしてくれます。栗や柿の甘い香りと、お茶や珈琲の香ばしさが混ざり合うと、リビング全体が「くつろぎの空間」に変わっていきます。お正月の縁起菓子は、味や見た目だけでなく、香りや音、手に持ったときの感触まで含めた、五感で楽しむ小さな行事です。
こうして眺めてみると、和の縁起菓子は、決して特別な老舗に行かなければ手に入らないものばかりではありません。地元の和菓子屋さんやスーパーの和菓子コーナーでも、栗と柿、干支モチーフ、紅白や金色の色合いを意識して選ぶだけで、「私たちの家らしいお正月のおやつコーナー」が出来上がります。次の章では、こうした和の縁起菓子をベースにしながらも、三箇日の台所事情に配慮した、簡単な手作りアイデアについてご紹介していきます。
第3章…三箇日も台所を騒がせない簡単手作りおやつの工夫
お正月の三箇日は、本来「台所の火をあまり使わず、歳神様とゆっくり過ごす日」とされてきました。おせち料理には、そんな昔の暮らしの知恵がギュッと詰まっています。せっかくなら、おやつも同じ考え方で、「がっつり調理」ではなく「並べる」「少しだけ手を加える」程度で楽しみたいところです。とはいえ、ただ市販のお菓子を袋から出すだけだと、どこか物足りない……。そんな時に役立つのが、「ほとんど準備いらず、でもちょっと楽しい」手作りおやつの工夫です。
例えば、元の記事でもご紹介していた、最中の皮を使った「驚き最中」は、お正月にぴったりの簡単おやつです。事前に最中の皮だけを取り寄せておき、年末のうちに果物やフルーツ缶を買っておきます。みかん、桃、パイン、洋梨など、やわらかくて甘みのあるものがおすすめです。果物をひと口大に切り分けたら、そのうちの一部だけをサイダーに浸し、冷蔵庫でしばらく休ませます。サイダーの泡がほどよく抜けて、甘みと香りが果物に馴染んできたら、液体をよく切ってから最中の皮に挟みます。この「汁気をきちんと切る」ひと手間が、とても大事なポイントです。
蓋を閉じて並べてしまえば、見た目はごく普通の最中。でも、1つ1つ味が違うので、食べる人にとってはちょっとした「くじ引き」や「神経衰弱」のような感覚になります。「この最中は酸味があるタイプかな」「これはサイダー入りでシュワっとするかも」などと想像しながら選ぶ時間も、既に遊びになっています。お子さんがいるご家庭なら、「当たりはこれだよ」と、1つだけ特別な組み合わせを仕込んでおくのも楽しいでしょう。高齢の方が多い場合は、出来るだけ酸味の柔らかい果物を選び、皮を小さめにしてひと口で食べられるサイズにすると安心です。
この「驚き最中」の良いところは、本格的な加熱調理が殆どいらないことです。火を使うのは、せいぜいお茶を沸かす程度。果物を切って挟むだけなので、台所に長時間立ちっ放しにならずに済みます。果物の準備だけ年末のうちに済ませておき、三箇日は「挟むだけ」にしておくと、風習にも優しく、作る人の身体にも優しいおやつになります。最中の皮は湿気に弱いので、食べる直前に組み立てるのがコツです。
もう1つの工夫として、「おせちやお餅の名脇役を、おやつ側に少しだけ連れてくる」という方法があります。たとえば、少し固くなりかけたお餅を小さなサイコロ状に切り、事前に油でカリッと揚げておいたものを用意しておきます。塩を軽く振れば香ばしいおかき風になりますし、ぜんざいやお汁粉にひと摘まみ添えると、食感のアクセントにもなります。揚げる作業そのものは年末に済ませておき、三箇日は温め直して出すだけにすれば、「新しい年は、こんな食べ方もいいね」と話題作りにもなります。
甘い物ばかりでは飽きてしまうので、できれば「甘い系」と「しょっぱい系」をひと皿ずつ用意しておくと、家族それぞれの好みにも対応しやすくなります。甘い方には、前章で登場した栗や柿、干支モチーフの和菓子を。しょっぱい方には、少量のあられや昆布、おせちの田作りを少しだけ盛りつけて、「お茶のおとも皿」として出すイメージです。「甘いものを食べたらしょっぱいものが欲しくなる」「しょっぱいものを食べたら、また甘いものに戻る」という、あの無限ループが、お正月の長い午後を緩やかに繋いでくれます。
大切なのは、「頑張り過ぎない」ことです。三箇日まできっちり手作りを続けようとすると、せっかくの晴れの日が「台所当番の日」になってしまいます。最中の皮やお餅の下拵えのように、年末のうちに済ませておける作業と、食べる直前に必要なひと手間を分けて考えると、気持ちがグッと楽になります。「これは昨年思いついた我が家の新定番なんだよ」と笑いながら出せるくらいの、緩やかな手作りおやつが、三箇日の疲れを癒やしてくれるはずです。
次の章では、こうした「ちょい手作り」とうまくバランスを取りながら楽しみたい、お取り寄せのお菓子との付き合い方についてご紹介していきます。年末の慌ただしい時期にどのくらい用意しておくと安心なのか、どんな視点で選ぶと失敗しにくいのか、一緒に整理していきましょう。
第4章…とっておきのお取り寄せ菓子との上手な付き合い方
和菓子屋さんやスーパーだけでなく、近年はお取り寄せで楽しめるお正月向けのお菓子も本当に豊富になってきました。遠くの老舗の味や、地元では見かけない専門店の詰め合わせが、自宅の玄関まで届くのは、まさに現代ならではの「口福」です。忙しい年末に、台所の負担を少しだけ軽くしてくれる存在でもあり、「一年頑張った自分や家族へのご褒美」として用意しておくのにもピッタリです。
とはいえ、お取り寄せのお菓子は、思いついたその日にすぐ届くとは限りません。年末年始は配送も混み合いますし、人気店のお正月用詰め合わせは、早い段階で予約が埋まってしまうことも珍しくありません。確実に元日に間に合わせたい場合は、少なくとも11月下旬から12月の初め頃までには候補を決め、余裕を持って申し込んでおくのが安心です。「こんな感じの詰め合わせがあればいいな」と、大まかな方向性だけでも早めに考えておくと、慌ただしい時期に迷わず選びやすくなります。
お取り寄せを選ぶ時に大切なのが、「どのくらいの日持ちがあれば、無理なく食べ切れるか」をイメージしておくことです。羊羹や焼き菓子、あられなど、比較的日持ちするものは、年末に届いても三箇日の間中、少しずつ楽しめます。一方、生ケーキや生クリームたっぷりのロールケーキなどは、お正月よりも、クリスマスから年末にかけての「前祝い」として味わう方が、落ち着いて楽しめるかもしれません。「これは年越し用」「これは三箇日用」と役割を分けるだけでも、食べるタイミングの工夫になります。
家族構成や人数を踏まえて、量を調整することも大事なポイントです。大人数で集まるご家庭や、高齢者施設などでは、個包装になっている詰め合わせが活躍します。好きなタイミングで配りやすく、衛生面でも安心ですし、食べ切れなかった分も各自のペースで楽しめます。逆に少人数のご家庭なら、小ぶりな詰め合わせを2種類用意して、「和風セット」と「洋風セット」のようにテーマを分けるのも一案です。同じ価格帯でも、量より「見た目の華やかさ」「箱を開けた時のワクワク感」を重視して選ぶと、テーブルに並べた時の満足度が高くなります。
もう1つ心に留めておきたいのは、「配送トラブルはどうしても起こり得る」という現実です。天候や交通事情によって、予定より1日、2日と到着が遅れてしまうこともあります。そんな時のために、地元で手に入る和菓子や乾き物を少しだけ用意しておくと、「もし届かなかったらどうしよう」という不安を抱えずに済みます。年末に届いたお取り寄せが無事に間に合えばそれで良し、万が一遅れたら「松の内まで楽しめるおやつ」としてゆっくり味わう、というくらいの気持ちで構えていると、心が随分と楽になります。
お取り寄せ菓子は、「全てをそれで賄うためのもの」というより、「手作りや身近な和菓子に、少しだけ特別感を足してくれる存在」と考えると、程良い距離感で付き合えます。第3章でご紹介したような、最中の皮や果物を使った簡単おやつに、上品な羊羹や焼き菓子を一緒に盛り合わせると、「我が家印」と「プロの仕事」が一枚の盆の上で出会う、贅沢なひと皿が生まれます。作り手の技に敬意を払いながら、それを自分たちの暮らしにどう溶け込ませるか工夫すること自体も、1つの楽しみです。
そして何より、お取り寄せのお菓子は、「誰かの顔を思い浮かべながら選ぶ」ことで、一層と価値を増します。甘党のお爺ちゃんには上品な餡の詰め合わせを、小さなお孫さんには干支の形をした可愛いお菓子を、自分には前から気になっていた専門店のクッキー缶を、といった具合に、贈る相手や一緒に食べる顔触れを思い描く時間そのものが、既にお正月の楽しみの一部です。
次の「まとめ」では、ここまでに登場した和の縁起菓子、三箇日向けの簡単おやつ、お取り寄せの活用法を振り返りながら、「甘い時間でお正月を整える」というテーマで、全体をもう一度整理していきます。
[広告]まとめ…家族全員で味わう甘いお正月の締め括り
お正月というと、まず思い浮かぶのはおせち料理やお雑煮のような伝統的なお料理ですが、その合間にそっと登場するお菓子たちも、実は新しい年の雰囲気を作る大事な主役の一人です。少し甘いものを摘まみながらお茶を飲み、家族や仲間と「今年もよろしくね」と笑い合う時間は、それだけで福を呼び込んでいるような、温かな一時と言えるでしょう。
第1章では、干支モチーフの饅頭や葛餅、最中など、縁起物のお菓子が持つ意味や、色・形に込められた願いについてふり返りました。紅白や金色、松竹梅、鶴亀といったモチーフは、1つ1つに「健やかであって欲しい」「長く穏やかに過ごして欲しい」という祈りが隠れています。意味を知った上で和菓子を選ぶと、ただ甘いだけでなく、「今年一年が良い年になりますように」という気持ちを味わいながらいただけるようになります。
第2章では、栗や柿、柑橘類など、日本らしい素材を使った和の甘味が、茶の間をどれだけ華やかにしてくれるかを見てきました。色合いや香り、器との組み合わせを少し意識するだけで、身近なお菓子が「お正月の特別な一皿」に変わります。小さなお孫さんには見た目の楽しい干支菓子を、高齢のご家族には軟らかく口溶けの良い物を、といった配慮1つで、同じお盆の上に世代の違う笑顔が並ぶのも、お正月ならではの風景です。
第3章では、三箇日に台所を騒がせ過ぎないための、緩やかな手作りおやつの工夫をご紹介しました。果物とサイダーを使った驚き最中のように、「切って挟むだけ」「年末のうちに下拵えしておける」といったアイデアは、作る人の負担を軽くしながらも、食べる人には小さなサプライズを届けてくれます。頑張り過ぎない手作りは、台所を預かる人自身が「お正月を楽しむ側」に回るための大切な知恵でもあります。
第4章では、とっておきのお取り寄せ菓子との付き合い方を整理しました。日持ちや量、家族構成を意識しながら、「これは年越し用」「これは三箇日用」と役割を分けて選ぶことで、慌ただしい年末にも心の余裕を持ちやすくなります。遠くの老舗の味も、地元の和菓子も、ささやかな手作りも、それぞれが「自分たちの暮らしのペース」で仲良く並んでいることが、一番の贅沢なのかもしれません。
お正月のお菓子には、決まった正解はありません。大切なのは、「この顔触れで、この場所で、この一時を一緒に味わいたい」と思えるかどうかです。家族と、親族と、施設の利用者さんと、あるいはお一人の静かな時間と。どんな形のお正月であっても、湯気の立つお茶と、ひと口の甘いものがあれば、心は少しだけほぐれてくれます。
どうぞ今年のお正月は、縁起物の和菓子や、緩やかな手作りおやつ、とっておきのお取り寄せを上手に組み合わせて、「我が家らしい甘い三箇日」を作ってみてください。最後のひと片を食べ終える頃には、「また来年も、こんな風に笑って過ごせますように」と、自然と願いたくなるような時間になっているはずです。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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