お正月の書き初めで心を整える!日程・由来・言葉選びから現代の楽しみ方まで

[ 1月の記事 ]

はじめに…白い半紙と共に迎えるお正月の朝

お正月の静かな朝、まだ冷たい空気の中で、真っ白な半紙を目の前に広げる時間。子どもの頃は「冬休みの宿題」として半ば義務的に向き合っていた書き初めも、大人になってみると、じつはとても贅沢で贅沢な一時だったのではないか…そんなことを考えるようになります。

「書き初めって、いつやるのが正しいの?」「本来の意味や由来って、ちゃんと知らないまま書いていたかも」「そもそも、何を書けばいいのか毎年迷う…」。そう感じたことのある方は少なくないはずです。気づけば筆から遠ざかり、ボールペンとキーボードばかりに頼る暮らしの中で、墨の香りや筆の感触に触れる機会はグッと減ってしまいました。

それでも、1年の始まりに一度だけ、姿勢を正して「言葉」と向き合う時間を作ると、不思議と心の中もすっと整っていきます。家族でワイワイ楽しみながらでも良し、お一人様で静かに心を見つめる時間にしても良し。ご家庭でも、高齢者施設やデイサービスでも、半紙と筆さえあれば、世代を越えて共有できるお正月の小さな行事になります。

この記事では、まず「書き初めはいつやるのが良いのか」という日程の話から、平安の宮中行事として始まったとされる由来、そして、今年どんな言葉を選び、どう楽しむかという実践的なヒントまで、順番に辿っていきます。昔ながらの作法を大切にしつつも、現代らしいアレンジや遊び心も交えながら、「また来年も書いてみようかな」と思える書き初めの時間をご一緒に作っていきましょう。

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第1章…書き初めはいつやる?お正月のスケジュールと意味

「書き初めはいつするのが正しいのか」という問いには、昔ながらの答えがあります。もっとも有名なのは、1月2日の朝。新年最初の仕事に取りかかる「事始め」の日であり、この日に筆を取ると字も心もグンと伸びると考えられてきました。

平安の昔から、年の初めは「始まり」に相応しい日程が決められていました。1月1日は歳神様をお迎えし、家族で新年の挨拶を交わす特別な日。そこからひと晩明けた1月2日は、いよいよ新しい年の行いをスタートさせる区切りの日でした。仕事や芸事の稽古、そして文字を書くことも、この日に始めると上達すると信じられていたのです。

一方で、現代のお正月は少し事情が変わってきました。元日を含めて家族が揃うのは、実質2~3日だけというご家庭も多くなりましたし、親族の集まりや初売り、初詣など、スケジュールはギュウギュウに詰まりがちです。「1月2日に必ず書かなきゃ」と身構えてしまうと、それだけでハードルが上がってしまいます。

そこで、現代的な考え方としては、「お正月の中で、心と時間に余裕のある日」を書き初めの日と決めてしまうのも一案です。例えば、1月2日は朝から出かける予定が多いなら、敢えて夕方の静かな時間を選ぶ。元日はゆっくり過ごして、2日の午前中に家族で一斉に書いてみる。あるいは三が日が忙しいご家庭なら、1月4日や5日に「我が家の書き初めデー」として時間を確保するのも良いでしょう。

高齢者施設やデイサービスの場合は、利用者さんの体調や送迎の時間も考えながら「仕事始めの週」に合わせて行うところも少なくありません。1月2日に拘らず、1週目から2週目辺りの穏やかな日を選んで、書き初めをレクリエーションの1つとして取り入れると、スタッフにとっても無理のない行事になります。「今日が今年最初の書道の日ですよ」と声を掛けるだけで、日常の一コマも特別な一時に変わります。

また、昔の人は「初夢」と書き初めをさりげなく結びつけていました。1月2日の朝は、ちょうど初夢から目覚めたタイミング。見た夢の情景や、夢の中で印象に残った言葉を半紙に写し取ると、その年の願い事や心の状態が素直に表れてきます。夢を忘れてしまったとしても、「こんな1年にしたいな」と感じたことを素直な言葉にして書いてみる。そんな始め方も、現代人にピッタリの書き初めと言えるでしょう。

大切なのは、「この時間は自分と向き合う特別な一時」と決めて、少しだけ背筋を伸ばして筆を取ることです。昔ながらの作法を大切にしつつも、暮らしに合った日程で緩やかに続けていく。そんな柔らかい姿勢で、お正月の予定の中に書き初めを組み込んでみてください。年が明けるたびに「今年は何を書こうかな」と考える時間が、やがて自分なりの小さな伝統になっていきます。


第2章…平安から現代まで~書き初めの由来と広がり~

書き初めの歴史を辿ると、グッと時代は遡って平安時代に行きつきます。まだ文字が書ける人は限られていた頃、宮中では年の初めに、今年最初の手紙や和歌を書く行事がありました。これが「吉書初(きっしょはじめ)」と呼ばれ、書き初めの原型だと言われています。

当時は、文字を書くことそのものが特別な教養であり、仕事の道具でもありました。今でいう「パソコンのスキル」や「ビジネスメール」のようなもので、書く力がある人ほど重宝されていたのです。だからこそ、新しい年の1枚目はとても大切にされました。「今年1年、良い文が書けますように」「仕事が上手く運びますように」という願いをこめて、慎重に筆を運んだことでしょう。

やがて時代が下って江戸時代になると、寺子屋の広がりと共に、文字を学ぶ子どもや町人が増えていきます。そこで、宮中だけの行事だった吉書初が、少しずつ庶民の年中行事としても親しまれるようになりました。お正月の松が取れる頃に、子どもたちが習字の腕前を披露する。上手く書けた作品は、床の間や柱に貼ってもらう。それが何よりの誇りであり、家族にとっても喜びだったと言われています。

昔の作法では、その年の「恵方」とされる方角に向かって座り、姿勢を正して書くと良いとされてきました。半紙や筆、墨だけでなく、心の準備も含めて「整えてから書く」ことが重んじられていたのですね。たとえ形だけでも、「では、今年最初の一文字を書きます」と一呼吸おいてから筆を取ると、自然と背筋が伸びる感覚が分かるのではないでしょうか。

現代に目を向けると、書き初めはさらに幅広い楽しみ方へと進化しています。お正月のニュースでは、大きな会場に子どもたちが集まり、一斉に書き初めをする様子がよく映し出されます。体育館や大広間いっぱいに並ぶ半紙と、真剣な表情で筆を握る子どもたち。書き終えた後のホッとした笑顔を見ると、「文字を書く」という行為が、今も生きている文化なのだと感じさせられます。

もう一つ、近年とても注目されているのが「パフォーマンス書道」と呼ばれるスタイルです。大きな紙を床に広げ、何人もの高校生や若者が音楽に合わせて一枚の作品を仕上げていく姿は、まるでダンスと書道の融合のようです。和装や制服に身を包み、体全体を使って豪快に筆を振るう姿は、従来の静かな書道とはまた違う迫力があります。「書はじっと座って黙々とやるもの」というイメージをひっくり返し、多くの人に書道の新しい魅力を伝えていると言えるでしょう。

こうした流れの中で、書き初めは「上手に書くためのもの」から、「自分の気持ちや願いを形にする時間」へと意味が広がってきました。例えば、高齢者施設では、かしこまった四字熟語だけでなく、「ありがとう」「元気」など、短くて素直なことばを選ぶ方も多くいます。震える手で一文字ずつゆっくりなぞりながら、「この年まで生きてこられてありがたいね」と笑顔を見せてくださる姿は、達筆かどうかを超えた深い味わいがあります。

子どもたちにとっても、書き初めはただの宿題ではなく「1年のスタートを感じる行事」に変えてあげることが出来ます。「うまく書けなかったらどうしよう」ではなく、「どんな1年にしたい?じゃあ、それに合う言葉を選んでみよう」と声を掛けるだけでも、書くことへの印象が和らぎます。

このように、書き初めの歴史を眺めてみると、時代ごとに形は変わりながらも、「新しい年の最初に、言葉と向き合う」という核心の部分はずっと受け継がれてきたことが分かります。平安の宮中から現代の学校や高齢者施設まで、場所も人も変わっても、「今年も頑張ろう」「こんな年にしたい」という思いを、白い紙の上にそっと置いてみる。その小さな一歩を支えてきたのが、書き初めという文化なのかもしれません。


第3章…今年は何を書く?言葉選びと願いの込め方

いざ半紙を目の前にすると、「さて、何を書こうかな……」と手が止まってしまうことがあります。子どもの頃は学校で決められたお手本を真似していましたが、大人になると自由度が高すぎて、却って迷ってしまうものです。せっかく年の初めに筆を取るなら、その年をそっと後押ししてくれるような言葉を選びたいところです。

まず、昔ながらの定番としては、四字熟語があります。「飛躍」「健康長寿」「家内安全」「無病息災」など、願い事をギュッと短くまとめた熟語は、書き初めにもぴったりです。じっくり練習してバランス良く書けた時の達成感も大きく、飾った時の見栄えも良いので、ご家庭でも施設でも取り入れやすい定番だと言えるでしょう。

とはいえ、四字熟語に拘る必要は全くありません。むしろ、自分の心にスッと入ってくる、短い日本語の方がその人らしさが出ます。「ありがとう」「笑顔」「感謝」「挑戦」「一歩」など、一〜二文字の漢字や、ひらがなの柔らかな言葉でも構いません。「今年大事にしたい気持ちは何か」を考えながら、口に出してしっくりくる言葉を選んでみてください。

初夢を大切にする方なら、夢から言葉を拾ってくるのも素敵な方法です。印象的だった場面や登場人物、色や空気感を思い出し、そのイメージに合う言葉を一つ決めてみましょう。例えば、広い空が印象に残ったなら「青空」や「自由」、家族が揃って笑っていたなら「団欒」や「家族」。夢の内容がはっきり思い出せなくても、「こんな一年になれば良いな」と感じる情景を想像し、それを言葉にして書き初めにするだけで、自分だけのお守りのような一枚になります。

高齢者施設やデイサービスで取り組む場合は、難しい熟語よりも、読みやすく親しみやすいことばを中心にすると安心です。普段よく口にする好きな言葉、出身地や好きな花の名前、亡くなったご家族の名前から一文字を取るなど、その方の人生に寄り添った題材があると、自然と会話も弾みます。「どうしてこの字を選ばれたんですか?」とお聞きすると、思い出話や人生のエピソードが次々と語られていくことも多く、書き初めがそのまま回想の時間にもつながっていきます。

お子さんと一緒に楽しむなら、将来の夢や好きな遊びから選ぶのもおすすめです。「忍者」「電車」「お菓子」「仲良し」など、書きやすくてイメージしやすい題材にすると、筆を持つこと自体が遊びの一つになります。上手く書けなくても、「この一枚には、こんな気持ちがこもっているんだね」と気持ちに着目して褒めてあげると、「また来年も書きたい」という前向きな気持ちに繋がります。

言葉選びに迷った時は、次のような流れで考えてみてください。まず、昨年をそっと振り返り、「上手くいったこと」「もう少しこうなったら良かったな」と感じる点を書き出してみます。次に、「一年後の自分がどうなっていたら嬉しいか」を想像し、そのイメージに近い言葉を数個挙げてみます。その中から、今の自分に一番しっくりくるものを一つだけ選んで、丁寧に半紙にしたためてみるのです。たった一枚の紙ですが、その一文字、一行に、これからの一年を生きる自分へのメッセージを込めることが出来ます。

書き初めは、上手か下手かを競う場ではなく、「今年も頑張ろう」と自分に声をかける時間です。他人に見せることを意識し過ぎず、自分自身が見た時に少し元気になれる言葉を選んでみてください。読み返すたびに、その時の気持ちや願いが甦ってくる一枚になれば、それが何よりの書き初めの成功と言えるのではないでしょうか。


第4章…大人も子どもも楽しむ現代の書き初めアレンジ

書き初めというと、「半紙に黒い墨で、きちんとした四字熟語を書かなければいけない」というイメージを持ちがちですが、現代のお正月なら、もっと自由で柔らかな楽しみ方があっても良い頃です。大切なのは、形を完璧に整えることよりも、「書いてみて楽しかった」「今年の気持ちを素直に出せた」と感じられること。昔ながらの作法に敬意を払いながらも、暮らしに合わせてアレンジしていくと、大人も子どもも参加しやすくなります。

例えば、おうちで楽しむなら、本格的な硯や固形墨にこだわらず、市販の墨汁や筆ペンでも十分です。半紙が無ければ、少し厚めの白い紙や色画用紙でも構いません。「正統派の書道道具がないから出来ない」と思うより、今ある道具で気軽に始めてみる方が、続けやすい書き初めになります。黒一色ではなく、朱色や淡い色の墨をアクセントに使って、好きな絵と言葉を組み合わせると、小さなアート作品のような一枚に仕上がります。

家族で取り組む場合は、「全員同じお手本を書く」のではなく、「テーマだけ決めて、それぞれ好きな言葉を書く」というスタイルもおすすめです。テーマを「今年大事にしたいこと」「うちの家族を表す一文字」などにしておくと、小さなお子さんから大人まで、それぞれの感性で言葉を選べます。書き上がった作品をリビングの一角に並べて飾ると、「この字を選んだ理由はね……」と自然に会話が生まれ、お正月ならではの団欒の時間が深まっていきます。

高齢者施設やデイサービスでの書き初めでは、手が震えやすい方や、長時間の着座が難しい方にも参加してもらえる工夫がポイントになります。大きな筆ではなく持ちやすい中筆を用意したり、椅子や車椅子の高さに合わせてテーブルの位置を調整したり、筆の代わりに太めのサインペンを使う日を設けるのも一案です。「毛筆でなくてはだめ」という枠を緩めることで、参加できる人がグッと増えます。仕上がった文字は上手さを競うのではなく、その方らしい味わいを褒めて、廊下や食堂の壁に季節の飾りと一緒に掲示すれば、小さな作品展のような華やかさが生まれます。

また、最近は写真や動画と組み合わせて楽しむ方も増えています。書き初めをしている様子を家族がそっと写真に撮り、作品と本人の笑顔を一緒にアルバムに残すだけで、その年の思い出として長く楽しめます。離れて暮らす家族に、作品の写真を送るのも良いでしょう。「今年はこんな字を書いたよ」と伝えることで、年賀状とはまた違った、温かな交流が生まれます。

さらに、少し元気な若い世代が集まる場なら、音楽を掛けながら大きな模造紙に皆で一文字ずつ書き足していく「合同作品作り」も盛り上がります。1人1人が違う色や太さの筆を持ち、「夢」「笑」「和」などの言葉を書き込んでいくと、最後には一枚の大きな作品に。完成した時の達成感はもちろん、「自分の一文字も、この作品の一部なんだ」と実感できるのも魅力です。

そして何より忘れたくないのは、「無理にやらない」という選択も含めて自由でいて良い、ということです。体調が優れない年は、眺めるだけでも構いませんし、代わりに家族やスタッフがその方の好きな文字を書いて、名前をそっと添えても良いでしょう。半紙に向かう時間を、義務や負担ではなく、「一年の始まりに、少しだけ心を整える時間」として用意できたなら、それだけで書き初めの役目は果たされていると言えます。

伝統を知りつつ、暮らしに合う形へと優しく変えていくこと。それが、現代の書き初めを長く続けるための一番のコツです。大人も子どもも、高齢の方も、立場や世代を超えて参加できる行事として、自分たちなりのスタイルを見つけてみてください。毎年少しずつ工夫を重ねていくうちに、「我が家の書き初め」「我が施設の書き初め」という、掛け替えのない小さな伝統が育っていきます。

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まとめ…一年のはじまりに“書く時間”を贈ろう

気がつけば、筆と半紙に向き合う機会は、子どもの頃の冬休み以来ほとんど無い、という方も多いかもしれません。けれども、改めて書き初めの由来や意味を辿ってみると、「新しい年の初めに、言葉と自分自身を整える時間」という、今の時代にも通じる大切な要素がたくさん隠れていることが見えてきます。

本来は、1月2日の「事始め」の日に行うのが昔ながらの作法とされてきましたが、現代の暮らしの中では、三が日の中で心と時間にゆとりのある日を選び、「ここを我が家の書き初めの日にしよう」と決める柔らかさも大事です。大切なのは日付そのものよりも、「一年のスタートに、少しだけ背筋を伸ばして文字を書く」という行為に意味を見出すことではないでしょうか。

平安時代の吉書初から、寺子屋の子どもたち、そして現代の学校や高齢者施設での作品展やパフォーマンス書道まで。時代が進むほど、書き初めは「上手さを競う場」から、「自分の気持ちや願いを表現する場」へと広がってきました。一文字だけの書でも、短いひらがなの言葉でも、そこに込められた思いがあれば、その作品は世界に1つだけの一枚になります。

言葉選びに迷った時は、四字熟語だけに拘らず、「感謝」「笑顔」「一歩」など、今年の自分をそっと支えてくれそうな言葉を選んでみてください。初夢のイメージや、家族との思い出、叶えたい小さな目標から拾ってくるのも素敵です。高齢の方であれば、若い頃から大切にしてきた座右の銘や、忘れられない人の名前から一文字を取るだけでも、その人らしさが滲み出る一枚になります。

道具や作法も、「完璧でなければいけない」と思う必要はありません。毛筆が難しければ筆ペンでも良いですし、半紙がなければ白い紙や色画用紙でも構いません。家族みんなで一ヶ所に飾ったり、施設の廊下に並べて小さな作品展にしてみたり、写真に撮って離れて暮らす家族に送ったりと、暮らしに合った形で楽しめばそれで十分です。

そして何よりも忘れたくないのは、「無理やりやらされる書き初めは、心に残りにくい」ということです。やってみたい人が、やってみたいタイミングで、楽しめるスタイルを選ぶこと。指導する側も、「上手に書かせる」より、「その人の気持ちやエピソードを引き出す」ことを意識して関わると、書き初めの時間そのものが温かなコミュニケーションの場に変わっていきます。

白い半紙は、今年の自分に向けた手紙のようなものです。そこに書かれた一文字一行は、一年後に見返した時、「あの時、こんな気持ちでスタートしたんだな」と教えてくれます。特別な準備はいりませんので、是非、このお正月、いつもの行事に「書き初めの一時」をそっと足してみてください。一年の始まりに、「書く時間」という小さな贈り物を、自分や大切な人に届けてみませんか?

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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