高齢者の1月レクリエーション大作戦!脳と体が目を覚ます福袋&縁起遊び

[ 1月の記事 ]

はじめに…お正月のワクワクを施設の1月レクリエーションに

お正月の1月は、利用者さんにとっても、ご家族にとっても、1年の始まりを感じる特別な季節です。そんな時期に、介護の現場では「今年はどんなレクリエーションにしようかな」と頭を悩ませる職員さんも多いのではないでしょうか。いつもの体操や脳の体操も大切だけれど、せっかくのお正月なら、もう一歩踏み込んで「心がフワッと温まる特別な体験」を用意してあげたくなりますよね。

ただ現実には、年末年始は人手も少なく、準備時間も限られがちです。自分の家庭行事を後回しにして仕事に出る職員さんも多く、「やってあげたい気持ち」と「時間や人手の不足」の間で揺れることもあると思います。それでも、せっかく出勤するからには、「今日は来て良かった」と職員自身も思えるような、ちょっと誇らしくなる1日を作りたいものです。

この文章では、1月のレクリエーションを「年明けの舞台」としてとらえ直し、利用者さんの目の輝きがいつもの何倍にもなるような企画を、ゆっくり丁寧にご紹介していきます。昔ながらのお正月遊びも大事にしつつ、「先が読めない楽しさ」や「皆で分かち合う喜び」を組み合わせて、脳にも体にも、そして心にも刺激になる時間を目指します。

特に後半では、福袋をテーマにしたレクリエーションのアイデアを中心に、準備の進め方や当日の流れ、ご家族への案内方法までを1つの企画書のような形でまとめていきます。利用者さんの安全面に配慮しながらも、「ドキドキ」「ワクワク」「思わず笑顔になる瞬間」をどう作るかを一緒に考えていきましょう。

12月のうちに読み進めていただくと、材料の準備やご家族への案内も落ち着いて進めやすくなります。忙しい現場の中でも、少しでも手順がイメージしやすくなるように工夫してお届けしますので、どうぞ肩の力を抜いて、気になるところから読み進めてみてくださいね。

[広告]

第1章…高齢者の1月レクリエーションを“年明けの舞台”に変える発想

お正月の出勤は、介護職にとって少し特別な気持ちになります。家では家族と過ごす時間を削って現場に向かうわけですから、「せっかくなら、今日来て良かった」と自分自身も思える1日にしたくなりますよね。同時に、利用者さんにとっても「ここで迎えるお正月」が、ただの通所日・ただの入所日ではなく、記憶に残る1ページになって欲しいところです。ここでの発想のカギは、1月のレクリエーションを「消化する行事」ではなく、「年明けの舞台」として組み立てることにあります。

舞台という言葉には、「準備」「配役」「衣装」「照明」「見せ場」といったイメージが付いてきます。同じ体操をしても、同じ歌を歌っても、「取り敢えず今日もやりました」と淡々と進めるのか、「今日は年明けスペシャル版です」と位置付けて照明や飾り、声掛けを少し変えてみるのかで、利用者さんの表情は大きく変わります。介護職員は司会であり演出家であり、時に舞台の共演者でもあります。そう考えると、1月のレクリエーションは「職員が本気を出してもいい日」と言い換えても良いかもしれません。

もちろん現実には、人員配置や時間の制約があります。大掛かりな企画はしたいけれど、職員の人数が足りない、準備に掛ける時間も限られている、そのジレンマは多くの事業所に共通です。そこでポイントになるのが、「現場職員だけで抱え込まない」という視点です。経営者さんや事務職さん、ケアマネジャーさんを巻き込み、「今年は施設全体で年明けの舞台を作りましょう」と早めに声を掛けておくことで、準備の負担はグッと軽くなります。飾り付けが得意な人、買い出しが得意な人、文章や案内状作りが得意な人、それぞれの得意を少しずつ出し合ってもらうイメージです。

準備は12月から少しずつ始めると、心にも体にもゆとりが生まれます。クリスマスの飾り付けの延長で新年の装飾を考えたり、利用者さんと一緒に来年の干支をテーマにした作品作りをしたりと、「作りながら気持ちも年越しモードに切り替えていく」ような時間を重ねていきます。こうした下準備そのものが、既に立派なレクリエーションであり、回想や手指の運動にも繋がるのが介護現場の良いところです。

そして当日を「舞台」とするなら、主役は誰なのかという視点も大切です。もちろん中心は利用者さんですが、その後ろにはご家族や地域の人たちの思いも重なっています。「ここで迎えるお正月なら、安心して任せられる」「写真やエピソードを持ち帰ってもらえるなら嬉しい」といった、ご家族の気持ちも意識しながら企画を考えていくと、レクリエーションの意味合いはグッと深まります。後の章でご紹介する福袋を使った企画は、その象徴のようなアイデアです。

この章でお伝えしたいのは、「特別なことをしよう」と力み過ぎる必要はないけれど、「いつも通り」の延長線上に、少しだけ演出と物語性を加えてみよう、という発想です。普段の体操も、お正月バージョンの音楽や掛け声に変えるだけで雰囲気は変わりますし、作品作りも「年明けの舞台の小道具」と位置付けて準備すると、職員も利用者さんも自然と気持ちが高まってきます。次の章では、そんな「下拵え」としての定番遊びの活かし方を、1月ならではの視点で整理していきます。


第2章…定番遊びをひと工夫!脳も体も動くお正月レクの下拵え

お正月のレクリエーションと言えば、凧揚げ、コマ回し、かるた、福笑いなど、昔ながらの遊びがたくさん思い浮かびますよね。どれも高齢の方にとっては「懐かしさ」と「得意だった記憶」を引き出しやすい力を持っています。その一方で、職員側からすると「毎年なんとなく同じことをしているだけ」「盛り上がり方に差がある」と感じる場面もあるかもしれません。ここでは、こうした定番遊びをそのまま終わらせず、「この後、登場する福袋レクへの下拵え」として活かす視点を整理していきます。

まず意識したいのは、「体を動かす」「脳を使う」「気持ちを温める」の3つをセットで考えることです。例えば、かるたなら、座ったままでも上半身の前後運動や腕の伸ばしを取り入れることが出来ますし、読み札の内容をアレンジして、その年の干支や季節の話題を織り交ぜることで、自然と会話が生まれます。コマ回しやお手玉も、ただ技を競うだけでなく、「昔はどんな遊び方をしていましたか?」とインタビューすることで、回想とコミュニケーションの時間に変わります。遊びの形そのものは定番でも、狙いと声かけを工夫することで、レクリエーションの厚みはグッと変わっていきます。

次に、作品作りの要素を少し足してみましょう。壁面飾りや手作りの飾り物を、利用者さんと一緒にコツコツ仕上げていく時間は、指先の運動や集中力の維持に役立つだけでなく、「自分が作った物が当日の舞台を彩る」という誇りにも繋がります。例えば、福笑いの顔パーツを大きな紙に描いて切り抜いてもらったり、コマや凧に名前や願いごとを書き込んでもらったりと、「自分の手が加わったもの」を増やしていくイメージです。完成した作品は、後日写真に撮ってご家族にお渡しすれば、話題作りの切っ掛けにもなります。

ここでひと工夫としておすすめしたいのが、「お正月遊びスタンプカード」のような仕掛けです。紙にマス目を作り、「かるたに参加」「福笑いで大笑い」「今年の抱負をひと言話した」など、小さなミッションを書いておきます。参加出来たらスタンプやシールを貼っていき、カードが埋まる頃には自然と様々な活動に関わっている、という仕組みです。スタンプを集めた枚数や、貯まったマスの数が、この後、登場する福袋レクの「ささやかな特典」に結び付くようにしておくと、利用者さんの意欲はさらに高まりやすくなります。

また、1月のレクリエーションを考える時に忘れたくないのが、「準備そのものも立派なレク」という視点です。年末から少しずつ、飾りや小物を利用者さんと一緒に準備しておくことで、手指の運動、立ち座り、移動といった身体活動が自然に増えますし、「今年も年末が来たね」「もうすぐお正月だね」という会話も生まれやすくなります。準備の段階で、「この飾りは、当日の福袋コーナーの背景に使いましょう」「この文字は写真撮影の時に持ってもらいましょう」と未来の場面をイメージしながら作業を進めると、利用者さんの表情にも期待感が滲みます。

定番遊びをただの「行事の消化」としてではなく、「この後、登場する大イベントを楽しむためのウォーミングアップ」として位置付けることで、同じ内容でも印象は変わります。「今日は、これから行う福袋レクに向けて、体と頭の準備運動をしているんですよ」と、さりげなく声をかけておくのも良いでしょう。そうすることで、職員にとっても、利用者さんにとっても、1月のレクリエーション全体が1つの物語のように繋がっていきます。

次の章では、いよいよその「メインイベント」となる福袋レクリエーションの具体的な流れや、当日を安全に、そして盛り上がる場にするための工夫をご紹介していきます。定番遊びで温まった心と体を、そのまま福袋のワクワクへと繋げていきましょう。


第3章…福袋レクリエーション大公開!歩いて選んで分かち合う体験作り

いよいよここからが、お正月レクリエーションの「メインイベント」です。主役になるのは、昔からお馴染みの福袋。その福袋を、ただ配るのではなく、「歩いて選んで、皆で分け合う」体験に変えていきます。年明けの特別感と、ちょっとしたドキドキ感を同時に味わえるので、高齢者施設でもデイサービスでも、1月ならではの企画として取り入れやすい内容です。

福袋レクリエーションの基本の流れ

まずは、会場全体のイメージから押さえておきましょう。大きめのテーブル、もしくは長机をいくつか並べ、その上に利用者さんの人数分の福袋を置きます。中身が見えないように紙袋や箱に入れ、転倒防止を兼ねて、箱同士を丈夫な紐で軽く結んでおくと安心です。袋や箱の外側には、大きな番号や干支のイラストなどを貼り付けておくと、見やすくて雰囲気も出ます。

利用者さんには、テーブルの周りをグルリと一周できるように席を配置します。立位で歩ける方は、職員と一緒にゆっくり歩きながら周回し、座位中心の方や車椅子の方は、その場で手拍子や上半身の体操で参加します。歩いて回る人と座って参加する人が同じ空間で一体感を持てるよう、円や四角の「回るコース」と「座る場所」を事前に職員同士で共有しておきましょう。

ここに音楽を合わせます。お正月らしい曲や、利用者さんの世代に馴染みのある歌を数曲用意し、順番に流していきます。音楽が流れている間は、職員の掛け声に合わせて行進したり、手拍子をしたり、簡単な振り付けを入れたりして、体を動かしながら会場の空気を温めます。その間に、別の職員がテーブルの周りを逆回りに歩き、袋を静かに入れ替えたり、向きを変えたりして、「どの袋がどこへ行ったのか分からない状態」を作っていきます。

音楽が止まった瞬間が、1つ目の盛り上がりポイントです。「ストップ!」の合図で動きを止めてもらい、職員が予め配っておいた名札付きのカラーボールを手に持ってもらいます。自分の目の前にある袋に向かって、そっとボールを投げ入れてもらい、その袋が「自分の福袋」ということにします。投げるのが難しい方には、職員が一緒にそっと入れてあげれば大丈夫です。ボールを入れ終わったら、全員で着席し、福袋を手元に運んで次のワクワクに繋げます。

この時、時間に余裕があれば、音楽とボール投げを数回繰り返し、「どの袋が自分のところに来るか分からない」要素を増やすのも楽しい方法です。毎回ボールの色を変えたり、「今度は右回りだけ」「今度は手拍子だけ」とルールを少し変えたりすると、集中力が自然と高まり、脳の体操にもなります。

安全面と楽しさを両立させる工夫

福袋レクリエーションは、どうしても動きが多い企画になります。その分、転倒や衝突を防ぐ工夫がとても大切です。歩行が不安定な方には必ず職員か家族が付き添い、車椅子の方は外側のレーンにゆっくり回るコースを作るなど、安全第一のルールを最初に決めておきます。足元にはコードや余計な荷物を置かない、床の滑りやすさを事前に確認するなど、準備段階での点検も忘れないようにしましょう。

また、音楽の時間を長く取り過ぎると疲れやすくなりますので、実際に動く時間は1曲につき2~3分程度が目安です。曲と曲の間に必ず小休止を入れ、「ここでひと息入れましょう」「水分を飲みましょう」と声を掛けることで、体力に不安がある方でも安心して参加しやすくなります。水分補給やトイレ誘導は、レクリエーションの最初と途中にしっかり挟んでおくと、事故の予防にも繋がります。

職員の声掛けも、盛り上がりを左右する大事なポイントです。「どの袋が当たるかな?」「さっき見ていた袋はどこに行ったかな?」と、ちょっとした言葉を添えるだけで、利用者さんの表情はグッと変わります。難しい説明は不要で、「今は歩く時間です」「今は座る時間です」「今はボールの時間です」と、今から何をするかを短く分かりやすく伝えることを心掛けると、認知症のある方も安心して参加しやすくなります。

開封の時間は「見せ場」と「分かち合い」の時間

全員が自分の福袋を手にしたら、いよいよ開封の時間です。ここは、写真撮影の大チャンスでもあります。全員で「せーの」で袋を開けてもらい、「オォー」という歓声や笑い声が自然と零れる瞬間を逃さないよう、職員同士で役割分担しておくと良いでしょう。1人ずつ、目立つ品物を手に持って記念撮影する時間を設ければ、ご家族へのお便りや壁面のアルバム作りにも活用できます。

中身の品物は、お菓子、小物、日用品、ちょっとした玩具や縁起物など、いくつかのジャンルがバランス良く入っていると、お互いに見せ合う楽しさが出てきます。「そのお菓子いいね」「その色のタオルが欲しい」といった会話が自然と生まれ、利用者さん同士で「交換してみましょうか」と交渉が始まれば、それだけで立派なコミュニケーションの場になります。交換が苦手な方や、拘りが強い方には、「そのままお持ち帰りでも大丈夫です」と事前に伝えておくと安心です。

最後に、品物を並べて1人ずつ写真を撮ったり、「今日一番嬉しかった物」を順番に話してもらったりすると、レクリエーションの締め括りが温かい雰囲気になります。福袋を切っ掛けに、その人の好みや生活振りが見えてくることも多く、ケアの参考になる情報がさりげなく得られることもあります。「甘い物が好きなんだな」「手先を使う遊びに興味がありそうだな」など、次の支援に繋がるヒントとしてスタッフ同士で共有しておくのもおすすめです。

福袋レクリエーションは、単なる「物の配布」ではなく、歩くこと、座ること、投げること、選ぶこと、分かち合うことがギュッと詰まった総合的な体験です。体の動きと心の動きが同時に引き出されるので、1月の特別な1日を演出するにはピッタリの企画と言えるでしょう。次の章では、この福袋作りを通して、ご家族や地域との繋がりをどう広げていくか、そのための準備やアンケートの工夫についてお話していきます。


第4章…家族と地域と繋がる福袋作りと安心の工夫あれこれ

福袋レクリエーションを1月の「特別な舞台」に育てていくためには、当日の盛り上がりだけでなく、そこに至るまでの準備の過程も大切なポイントになります。特に、家族や地域の人たちをどこまで巻き込めるかによって、同じ内容でも深みが変わってきます。ここでは、家族との連携、地域との繋がり、お金の取り扱いへの配慮という3つの視点から、現場で実践しやすい工夫を整理していきます。

まず意識したいのが、「福袋は施設だけの企画ではなく、家族にも参加してもらう行事にする」という考え方です。福袋を有料で用意する場合はなおさら、事前の説明と同意が欠かせません。12月上旬を目安に、お便りやアンケート用紙で、次のようなことを丁寧な言葉で伝えていきます。「1月〇日に福袋を使ったお楽しみ会を行う予定であること」「福袋は希望制であること」「金額の目安と、中身のジャンル」「交換が難しい方には、そのままお持ち帰りいただけること」などを、誤解のないように説明します。その上で、「参加を希望されない場合は、当日は別メニューで過ごしていただく」「時間をずらした送迎を行う」など、選択肢も用意しておくと安心です。

金額については、施設の雰囲気や地域の物価にもよりますが、目安としては1人あたり3000円~5000円くらいが現実的なラインとして考えやすいところです。あまりに低過ぎると中身のバリエーションが限られてしまい、「それなら普通のおやつで良かったかも」という印象になりかねません。逆に高額にし過ぎると負担感が増してしまいますので、「この金額なら年に1回のお楽しみとして納得しやすい」という感覚を、家族の立場になって想像してみることが大切です。アンケートには「このくらいの金額なら参加しやすい」「中身に入っていたら嬉しい物」など、自由記入欄を設けておくと、次回以降の参考にもなります。

次に、中身の準備を通して地域と繋がる工夫を考えてみましょう。福袋の魅力は「何が出てくるか分からないワクワク感」と「いつもは手にしない物との出会い」です。その半面、全てを通常価格で揃えようとすると予算オーバーになりがちです。そこで、近隣の商店街や小さな専門店に事情を説明し、「高齢者施設の新年会で使う福袋用に、少しお値引きいただけませんか」と丁寧に相談してみる方法があります。老舗のお店ほど、「お年寄りのお楽しみになるなら」と快く協力してくれることも少なくありません。

この時のポイントは、無理な値下げ交渉をしないことと、感謝の気持ちをきちんと伝えることです。もし提供を受けられたら、「〇〇市の△△商店さまご提供」などと、当日の会場内に小さく掲示する形でお礼を示すと、お店側にとっても良いPRになります。また、福祉用具の事業所や地域の企業が配布しているカレンダー、ポケットティッシュ、メモ帳などのノベルティも、福袋の中身として活用しやすいアイテムです。「宣伝の小物でもよければ、福袋に入れさせていただきます」とお話すると、案外たくさん提供してもらえることもあります。

一方で、お金のやり取りが発生する以上、施設としてのルール作りも欠かせません。どのように集金するのか、当日欠席になった場合はどうするのか、領収書はどのように保管するのか、といった事務的な部分を、予め管理者や事務職員と相談しておきましょう。現場の職員だけの判断で進めてしまうと、後から「誰がいくら払ったのか分からなくなった」「家族への説明が不十分だった」といった行き違いが起きやすくなります。お金の管理は出来るだけ事務方に任せ、介護職員は企画と当日の運営に集中できる体制を整えることが理想的です。

また、福袋の中身については、安全面と個別性の両方に目を向ける必要があります。食べ物の場合は、アレルギーや嚥下機能に配慮し、硬い物や誤嚥リスクの高い物は避ける、賞味期限を必ず確認するなど、基本的な注意を徹底します。お菓子だけではなく、靴下やハンカチ、入浴剤、飾り物など、生活の中で長く使える物を混ぜると、「一度で終わらない楽しみ」が生まれます。好みが分かれそうな物は、「交換コーナー」で自由に入れ替えられるようにしておけば、「欲しい人の手に渡る仕組み」が自然と出来上がります。

そして最後に、福袋作りと家族との交流を1つの物語にしてしまうのも、とても素敵な形です。例えば、アンケート用紙と一緒に、「おうちの方から、〇〇さんに一言メッセージを書いてください」と小さな欄を作っておきます。当日、そのメッセージを印刷したカードを福袋の中にそっと忍ばせておけば、開封の瞬間にちょっとしたサプライズが生まれます。「いつもありがとう」「今年も元気でいてね」という一文だけでも、利用者さんにとっては何よりの贈り物になるはずです。

福袋レクリエーションは、物を配る企画であると同時に、「家族と地域と施設が一緒に新年を祝う場」を作る取り組みでもあります。準備の段階から家族・地域・職員が少しずつ関わることで、当日の数時間だけでなく、その前後に広がる時間も含めて豊かなものになっていきます。次のまとめでは、ここまでのアイデアを振り返りながら、「たまには本気の福を集めてみる」ことの意味を一緒に考えていきましょう。

[広告]


まとめ…たまには本気の“福集め”で心のエネルギー補給を

1月のお正月レクリエーションは、「いつも通りの体操やゲーム」を少しだけステップアップさせて、利用者さんも職員さんも一緒にワクワク出来る時間へと育てていく大きなチャンスです。年明け最初の1日は、その年の空気を決める入口でもあります。「ここで迎えるお正月も悪くないな」と利用者さんが感じてくれること、「この場を作れて良かった」と職員自身が思えること、その両方が満たされると、1年のスタートがグッと明るいものになります。

今回ご紹介してきた内容は、特別な道具や高価な機械がなくても始められるものばかりです。第1章でお話ししたように、「年明けの舞台」という視点を持ち、飾り付けや声掛けのひと工夫で雰囲気を変える。第2章では、かるたや福笑いといった定番の遊びを、体と脳のウォーミングアップとして丁寧に活かす。第3章では、福袋レクリエーションを通して、歩く・投げる・選ぶ・見せ合うという体験をギュッと詰め込む。そして第4章では、家族や地域のお店、福祉用具事業所などを巻き込みながら、「皆で新年を祝う仕組み」に育てていく。どれも単独でも使えますが、組み合わせることで物語性が生まれ、1月の1日が特別なイベントとして記憶に残りやすくなります。

福袋を有料で用意する形は、確かにいつもより一歩踏み込んだ企画です。その分、事前の説明やアンケート、金額の設定、安全面への配慮など、気を付ける点も増えます。しかし、だからこそ「年に一度の本気の楽しみ」としての価値が生まれます。ご家族にとっては、「ただ預けている場所」ではなく、「一緒に喜びを作るパートナー」として施設を見てもらう切っ掛けにもなりますし、地域のお店にとっても、「お年寄りの笑顔を支える一員」として関わってもらえる機会になります。

また、このようなイベントは、その場だけで終わらせず、写真やひと言メモ、家族からのメッセージカードなどを残しておくことで、後から振り返る材料にもなります。「あの年の福袋で、こんな物が当たった」「あの時は皆で大笑いしたね」といった会話は、回想の時間としても大きな意味を持ちます。職員にとっても、「この利用者さんはこういう物が好き」「こういう場面で目が輝く」といった発見に繋がり、普段のケアのヒントになっていきます。

たまには、準備も当日も本気で力を入れたレクリエーションを用意することは、決して無駄なことではありません。むしろ、日常のこまやかな支援を続けていくための、心のエネルギー補給になるはずです。利用者さんにとっても、家族にとっても、職員にとっても、「今年もここで笑えて良かった」と思える1月の1日を作る。そのための1つのヒントとして、福袋レクリエーションとお正月遊びのアイデアを、是非、自分の事業所らしくアレンジしながら取り入れてみてください。

目に見えない「福」や「ご縁」は、一度集めてみると、想像以上にあちこちに転がっているものです。今回の企画が、そうした小さな福を拾い集める切っ掛けになれば嬉しいですし、来年の1月には、また新しい工夫を加えた「我が施設流の福袋レク」が生まれているかもしれませんね。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


[ 応援リンク ]


人気ブログランキングでフォロー

福彩心 - にほんブログ村

[ ゲーム ]

作者のitch.io(作品一覧)


[ 広告 ]
  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。