まほうのかぼちゃとやさしいおばけ~はじめてのハロウィン~
目次
はじめに…10月にやってくるハロウィンってなぁに?~お家でも保育園でも~
10月になると、街がオレンジ色に染まって、かぼちゃの灯りがキラキラします。子どもたちはドキドキ、隣の大人もニコニコ。けれど、「どう説明したらいいの?」と迷うこと、ありますよね。
このお話は、保育園の子どもたちにも伝わる言葉で、「ハロウィンって楽しい!」が、じんわり育つようにまとめたガイドです。難しい歴史はやさしく言い換えて、怖さは“変身”の力で小さくして、灯りの意味は温かく紹介します。
テーマは「変身・灯り・ありがとう」。好きななりきりで少しだけ勇気を出し、かぼちゃの灯りでお部屋をやさしく照らし、もらったやさしさには「ありがとう」を返す——そんな心の準備を、とびきりやさしい言葉づかいでお届けします。
お家でも、保育園でも、今日からすぐに使える声かけやミニ工夫を散りばめました。読み終わる頃には、あなたの周りのハロウィンが、もっと明るく、もっとやさしく見えてきます。
[広告]第1章…むかしむかし~ケルトの「サウィン」から始まったお祭り~
ハロウィンの種は、むかしむかし。今のアイルランドやスコットランド辺りに住んでいた「ケルトの人々」の年中行事から生まれました。難しく聞こえるけれど、要するに「家族を守り、自然に『ありがとう』を伝える大切な日」だったのです。
ケルトの暦では、10月31日が1年の一番最後、11月1日が新しいスタート。年の変わり目を「サウィン(Samhain)」と呼び、秋の恵に感謝する気持ちと一緒にお祝いしました。季節が冬へと替わるこの時、暮らしを守る知恵がたくさん詰め込まれていたのです。
サウィンの夜は、「あの世」と「この世」のドアが少しだけ開く――そんなふうに信じられていました。だから火を焚き、仮面や外套で変身して、いたずら好きな者達に見つからないよう身を守ります。怖い気持ちを小さくするための“心のおまじない”でもあり、家や村の皆で協力して行う行事でした。
そのあと時代が進み、キリスト教の習わしと出会います。11月1日は「全ての聖人を讃える日(All Saints’ Day)」、その前の夜は「All Hallows’ Eve」。この言い方がつまって「Halloween(ハロウィン)」と呼ばれるようになりました。昔の知恵が、新しい文化の言葉と手をつないだ、というわけです。
やがてアイルランドの人達が海を渡ってアメリカへ。そこでは蕪の灯りよりも、たくさん採れる大きなかぼちゃが大活躍。くりぬいて灯りを灯す飾りは、後の「ジャック・オー・ランタン」へつながっていきます。オレンジに光る明かりは、「怖い」をやさしく照らしてくれる合図になりました。
こうして、ハロウィンは「怖いだけ」ではなく「楽しい」へと表情を替えながら世界へ広がっていきます。次の章では、変身の意味――怖さを小さくする“心の魔法”を、子どもたちにも伝わる言葉でお話いたします。
第2章…どうして変身するの?~怖さをやっつける心の魔法~
ハロウィンのよるは、昔の人たちにとって「怖い者がウロウロしているかも…」と感じる時でした。そこで考えついたのが、皆で変身してしまう知恵。魔法使いやお化けのフリをすると、「私たちは味方だよ」と合図を出せるのです。怖い気持ちをそのままにしないで、遊びに変える——それが“心の魔法”でした。
子どもたちにとっての変身は、心のお稽古。少しドキドキする相手に扮してみると、知らない気持ちが分かるようになります。「怖い」の正体を観察して、名前をつけて、笑顔で手なずける。なりきることで、ただの不安だったものが「おもしろい物語」に変わっていきます。
お面やマントには、見えない力も宿ります。普段はシャイなお友達も、マントを羽織ると勇気が膨らみます。声の出し方、歩き方、挨拶の仕方まで、変身の力で少しずつ変わります。そうして生まれる「できた!」の気持ちは、明日の自信にちゃんとつながります。
保育園での“変身タイム”は、安心が一番の土台です。まずは深呼吸を1つ。先生が「今から物語の中に入るよ」と合図を出したら、子どもたちは自分のキャラクター名をそっと名乗って出発します。途中で怖くなったら、胸に手を当てて「一端休憩」のサイン。その間は先生の隣で、やさしい音楽と灯りのもと、心が落ち着くのを待ちます。
変身の目的は、誰かを驚かすことではなく、皆の心を守ること。だから“いたずら”は、言葉の遊びやポーズの真似っこなど、笑顔で終われるものにします。「脅かすより、笑わせる」を合言葉にすると、教室がいっそう温かくなります。
そして、変身を解くときには「ただいま、私」。マントを畳み、鏡に向かってニッコリすると、体の中のドキドキが穏やかになります。おしまいの一言は「ありがとう」。一緒に遊んでくれた友達、見守ってくれた先生、そして勇気をくれた自分の心に、ゆっくりお礼を伝えましょう。
次の章では、かぼちゃの灯りが働く不思議な力——「ジャック・オー・ランタン」の物語へ進みます。オレンジの光りがどのように“心の魔法”を助けてくれるのか、一緒にのぞいてみましょう。
第3章…かぼちゃの灯り~ジャック・オー・ランタンの不思議~
オレンジ色に光るかぼちゃの灯りは、ハロウィンの主役。にっこり顔でも、ちょっぴり怖い顔でも、暗い夜道を「こっちは安心だよ」と教えてくれる合図です。昔アイルランドでは蕪をくりぬいて明かりをともしていましたが、海を渡った先のアメリカでは大きくて手に入りやすいかぼちゃが大活躍。だから、今の姿になったのです。
この灯りには、小さな物語が潜んでいます。いたずら好きのジャックという男の人が、真っくらな夜を歩くために小さな火をランタンに入れて持ち歩いた――そんな昔ばなしが伝わって、「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれるようになりました。物語は国や地域で少しずつ違いますが、「灯りは人を導くもの」というやさしい気持ちは同じ。子どもたちにも、「暗いところで誰かを照らすと、安心が1つ増えるんだよ」とそっと伝えたくなります。
お家や保育園で作る時は、かぼちゃの表情を一緒に決める時間から楽しみましょう。眉毛を上げると元気な顔、三角の目にするといたずら顔、口をにっこりさせるとやさしい顔。顔の形には正解がなくて、作った人の気持ちがそのまま出てきます。できあがったら、名前をつけてあげるのもお勧め。「今日は『ピカりん』が入口で皆をお出迎え」なんて、毎日挨拶したくなる仲間になります。
灯りを灯す時は、火の替わりにLEDライトを使うと安心です。カーテンや紙からは少し離して置くと、眩しさもふんわり。もし本物のろうそくを使うなら、大人が近くで見守り、風が通らない場所にそっと置きます。消す時は「今日も守ってくれてありがとう」と声を掛け、フゥッとひと息。あかりの時間が、心の中にやさしい終わり方を残してくれます。
かぼちゃが手に入らない日でも大丈夫。オレンジ色の紙コップに黒い色紙で目と口を貼り、底にLEDティーライトを入れると、小さなジャック・オー・ランタンが誕生します。教室の窓際に並べると、放課後の廊下まで仄かなオレンジが流れて、いつもの景色がゆっくり変身。灯りは、怖さをやさしさに変える“心のスイッチ”なのだと、子どもたちは体で覚えていきます。
次の章では、挨拶の言葉とやさしいマナーのお話へ。合言葉の言い方、ドアの前での立ち方、そして「ありがとう」を気持ちよく届けるコツを、やわらかな言葉で続けます。
第4章…トリックオアトリートとハッピーハロウィンのやさしいマナー
ドアの前で深呼吸を1つ。にっこり笑って「Trick or Treat!」。答えは「Happy Halloween!」。この2つは、合図と挨拶が一緒になった“魔法の言葉”です。大き過ぎない声で、はっきり、ゆっくり。もらえたやさしさには「ありがとう」をそっと重ねると、かぼちゃの灯りが、さらに温かく見えてきます。
訪ねるお家には目印があります。例えばジャック・オー・ランタンや、オレンジと紫の飾り。こうした合図がない場所や、灯りが消えていて静かなお家はスキップして大丈夫。呼び鈴は1回だけにして、返事がなかったら次へ進みます。玄関では並んで立ち、通る人の道を空けると、皆が気持ちよく過ごせます。
合言葉はゲームではなく、やさしい交流です。お菓子をいただけなくても、「今日はご挨拶だけ、またね!」と笑顔で手を振れば、心のランタンがふわっと明るくなります。もし小さなお友達がドキドキして言葉が出ないときは、隣で一緒に口を動かしてお手伝い。成功したら小さく拍手をして、勇気にリボンを結びましょう。
安全も、楽しい時間の大切な仲間です。仮装のマスクは目の周りがよく見えるサイズにして、歩く時は外すと安心。長いマントや裾は少し短めにして、階段は大人と手をつなぎます。道を歩く時は、暗い色の衣装でも見つけてもらえるよう、キラッと光る反射シールを1つ。ポケットにはハンカチと小さなビニール袋を入れて、ゴミはお持ち帰りにします。
お菓子は、いただいた瞬間から小さな宝物。すぐに食べたくなっても、開けるのはお家に帰ってから。先生やお家の人と一緒にチェックして、アレルギーのある子がいたら「これとチェンジしようか」と楽しく交換します。たくさんもらえた日は“今日の分”を決めて、残りは明日の楽しみにとっておくと、ワクワクが長生きします。
写真の思い出は、ひと言の合図から。「しゃしん、とってもいいですか?」とお願いして、OKならにっこり。たくさん撮れたら、「素敵に撮れたよ、ありがとう」とお礼を添えます。場所やお家の名前が写っているものは、見るだけにしてそっとアルバムへ。心の中では、ちゃんと光っています。
さいごは“おしまいのセレモニー”。帰ったら手を洗ってうがいをして、今日出会ったやさしさを思い出します。ジャック・オー・ランタンに向かって「守ってくれてありがとう」。衣装をたたんで「また来年ね」と囁くと、楽しい時間が静かにポケットへしまわれ、次の季節へ気持ちよく歩き出せます。
[広告]まとめ…今日からできるやさしいハロウィン
ハロウィンは、昔の知恵と今の笑顔が手をつなぐ日でした。怖さを小さくするために変身し、導くために灯りをともし、もらったやさしさには「ありがとう」を返す——その3つが、こどもたちの心に小さな勇気を灯します。
お家でも、保育園でも、今日からできることはとてもシンプルです。お気に入りのマントや帽子を用意して、「どんな性格のキャラクターかな?」と想像を膨らませ、ジャック・オー・ランタンや紙コップのミニあかりを一緒に作る。あかりが灯ったら、部屋の電気を少しだけ落として、「Trick or Treat!」の練習をゆっくり。声の大きさ、立ち方、目の合図まで、遊びの中でやさしく身につきます。
楽しい時間を守るコツは、「笑わせる」を合言葉にすること。脅かすより、笑顔を咲かせる工夫を1つ足すだけで、仮装も挨拶も、ぐっと温かい交流に変わります。灯りを消す前には、「守ってくれてありがとう」とひと言添えて、マントをたたみ、「また来年ね」とそっと囁きましょう。
そして、ハロウィンはゴールではなくスタートです。変身で育った想像力、灯りで育ったやさしさ、ありがとうで育った人とのつながり——その3つは、明日の教室や公園でもきっと役に立ちます。
オレンジ色の夜が終わる頃、子どもたちの胸には、仄かに光るランタンが1つ増えています。来年の10月、またそのランタンに火をともして、やさしい「Halloween」を一緒に迎えましょう。
⭐ 今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m 💖
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