老人ホームの運動会は選手宣誓から種目や競技を安全に配慮して計画的に実践しよう!
1はじめに
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老人ホームや施設での運動会をどう企画しようと悩んでいる担当者さんへ。
今回はご参考としていただけるように、記事をご用意しました。
運動の秋ですから、入居者さん全員で楽しめる運動会にしたいですよね。
そこで車椅子の方も、認知症の方も楽しめる心躍る運動会にしてみませんか?(*^▽^*)
2老人ホームの運動会は選手宣誓など形を大事にしよう!
主役は利用者さんである高齢者さんです。
高齢者さんご自身の体験だけではなくて、お子さんやお孫さんの運動会にも参加されてきた経験がおありです。
そこはそれで、運動会のイメージをたくさんお持ちということです。
運動会を開催する時には、主役となる高齢者さんの『 運動会 』のイメージを尊重することが、とても大事なのです。
施設内で運動会を行う施設様も増えてきましたが、利用者さんのイメージは当然、屋外にあります。
施設の立地環境などで、広い庭がない場合は、近隣の小学校や中学校の運動場や市営の運動公園などをお借りする算段も重要だと思います。
運動会のイメージを固めよう
運動会のイメージとして、いくつかの例を挙げますと…。
□ 万国旗
□ ピストル合図
□ 開会挨拶
□ 国旗掲揚
□ 国歌校歌斉唱
□ 選手宣誓
□ 準備運動
□ 来賓挨拶
□ 各種の種目や競技
□ 応援合戦
□ 柔軟体操
□ 閉会挨拶
…といったところが、一般的ではないでしょうか?
堅苦しい?
そんな声が聞こえてきそうですけども、主役である高齢者さんのことを考えるとイメージや形式から入ることは、とても大事なことです。
そう主役は高齢者さん。
ここに大切な焦点を持っていきましょう。
時期や時間配分や予定を決めよう
高齢者さんが運動会に親しんだ昔の頃は当然、10月が定番になります。
体育の日が東京オリンピックにちなんで制定されたことは、皆様がご存じのところだと思います。
近年では、6月に運動会を開催される小学校や中学校が増えていますが、高齢者さんファーストで考えますと、10月第2月曜日が開催するのにベストな日になります。
時間的には忙しいのですが、9時~11時30分の2時間半で完遂するという流れに設定されてみてはいかがでしょうか?
運動して、お昼休憩をして、午後には多少のゆとりの後に、お風呂の時間を設けたいものです。
運動会を屋外で行うのであれば、汗もかきますし、埃も被りますので、尚更、さっぱりと気持ち良いお風呂は外せません。
施設の入居者さんの数にも寄りますが、一般的な100名規模程度の施設であれば、入浴の実施まで織り込んでも、きっとスケジュールは大丈夫です。
行事計画書は一人一人の利用者の顔写真リストを見ながら作る
運動会のイメージを固める時に、参加予定の高齢者さん全員の顔写真を眺めながら全体像を固めます。
寝たきりの方から、認知症の方、片麻痺など障害を抱えられる方、全員が何かしらの形で参加が出来るように企画することが大事です。
施設には、介護支援専門員さん、看護師さん、介護職員を主軸に理学療法士さん、作業療法士さん、言語聴覚士さん、お医者さんといった専門職もおられます。
専門的な意見を伺ったり、相談しながら情報を集約していきましょう。
もちろん、当日の朝のバイタルサインチェックは大事ですので、全員にしっかりとチェックを行い、十分な水分補給をしていただいて出陣するようにしましょう。
規模を決めて準備を入念にしましょう
運動会の日、体育の日は祝日です。
高齢者さんのご家族様には、招待状を予め発行して、参加いただけるように呼びかけましょう。
施設職員の家族にも来訪いただくことで、場がさらに盛り上がります。
忘れてはいけないのが、地域の公務員の方のご招待です。
市長や老人会会長、婦人会会長などの来賓も、一般的で重要ですが、公務員の取り分け、介護保険関連の課の課長さんや窓口の方を、特にご招待するようにしましょう。
常に介護保険で、お世話になっている分、立派な運動会を開催して見ていただくことで、日常的に頑張る皆様の大きなアピールポイントとなりますのでメリットを産むことができるかもしれません。
もちろん、来賓挨拶をしていただくのが目的です。
雛型の原稿まで作成して早めに招待状を添えることで、気軽に参加いただけるように工夫して依頼するようにしましょう。
高齢者さんは、こうした地域を支える立場の来客、来賓の方と世代も近いので、とても喜ばれる傾向があります。
3老人ホームの運動会の種目や競技を決めよう!
大枠はテンプレートで固定的に、後は段取り次第で実施できます。
次に種目や競技を決めていくわけですが…。
種目や競技
種目や競技は定番を揃えてみよう!
以下の7つが定番ではないでしょうか?
この定番の種目は老人ホームの高齢者さんに、直接、一般的なイメージで実施してもらうのは、困難な場合があります。
しかし、うまく実施できた時の充実感や満足感など、高齢者さんに寄与する効果は、とても高いものになります。
□ 大玉転がし
□ 百足競争
□ 二人三脚
□ リレー
□ 借り物競争
□ 障害物競争
□ 綱引き
定番7種目の実施のコツ
□ 大玉転がし
大きな玉が転がる様は圧巻です。
平均台などの道具で、ガタ―を設けて、種目にされてみてはいかがでしょう?
大玉幅には大人3人が添うことができますので、左右に職員が付き、1名の職員が玉の運営、1名が利用者さんの転倒防止に付き添います。
残る1名は事故防止対応です。
直線を転がして終了になります。
線上の始発スタート地点と到着点であるゴールに、チームを二分して配置することで一定の人数が参加して楽しむことができます。
客席からはボールが左右に行き来するように見える配置です。
玉は早く転がさずに、緩やかに職員がセーブすることがコツです。
車椅子で片足が蹴れる方には、大玉を蹴っていただくことでの参加も見込めます。
この場合は高齢者さんには、車椅子を漕ぎながら蹴るのではなくて蹴ることに専念してもらい、車椅子を制御して介助する職員をもう1名、余分に配置して安全性を最優先に設定します。
もちろん、蹴った足が地面とステップに挟まる、前方へ転落するなどといった事故がないように、オーバーキャリー( ウイリーですね ) を含め、操縦者は十分な配慮をします。
※間違ってもコーナー設置などグレードアップを図る場合にはシミュレーションをして事故防止に注意しましょう。
□ 百足競争
3人程度を一組としまして、前後を職員が挟む形で行います。
スピードを競わず、道程は大玉転がしと同じく直線片道で終了します。
□ リレー
これは、職員や地域ボランティアによるチーム対抗戦としてみてはいかがでしょう?
高齢者さんには、応援に専念いただくことになりますが、応援が過熱するように応援団や曲、太鼓などで工夫することが大事です。
事前のご案内も大切ですけど、
□ 市役所チーム
□ 地域包括支援センターチーム
□ 介護職チーム
□ 看護師チーム
□ 専門職チーム
□ 名誉職チーム
という具合に数チームを作り、
鉢巻などで4~5色程度に色分けしておきますと、高齢者さんもいずれかの自分のチームの色を応援しやすくなります。
楽器やマイク、旗などを用意しておくと、さらに応援が白熱していきます。
日頃、職員の方々は体を使っていますけども、競技では使う筋力が異なるので、参加される方々には、怪我がないように準備運動を念入りに実施していただくようにしましょう。
障害物競走やハードル走などへの昇華は見送った方が良く、変化をつけるならば200m・400m・800mとメドレーリレーにする方が職員の方々の事故率が少なくなります。
□ 借り物競争
これは事前に、いくつかのプラカードと品物を用意して会場に仕込み配置します。
この競技でのポイントは、来訪いただいた市長さんや老人会会長などのトップクラスの方に品物を持つ役割を担っていただくことです。
とても盛り上がります。
さて利用者さんは歩ける方から車椅子の方、寝たきりの方まで幅広く参加いただくことが出来ます。
ただ寝たきりの方の介助を行う職員さんは、歩行程度のスピードを越えないことと、車椅子への振動に十分な配慮をすることが大切です。
ですから、散歩の感覚で借り物競争を行うことが大事です。
□ 障害物競争
障害物のあり方と競争のあり方をどうするかが課題です。
もちろん利用者さん1名につき、職員は1名以上で付き添います。
障害物の用意のコツは介助者の分だけ幅を採ることです。
□ 巨大トンネル
□ 忍者のように回転壁をくぐるようなダンボールの部分迷路
□ 平均台 … 二本を並べ職員が介助をして車椅子を通すことも可能です。
( ※ただし、脱輪防止のガタ―を設けたり、事前に入念な準備が必要です。 )
高齢者さんには、けっして恐怖心を抱かせないように、高齢者さんと介助者のチームワークも大事なポイントです。
□ 巨大ビニールシートくぐり…。
これは6人くらいで巨大なレジャーシートを50cm以上で持ち上げ、下を競技者である高齢者さんに潜り抜けていただきます。
車椅子の利用者さんの場合、リクライニング式車いすで行い、頭頂部に陽射し除けの強固な板を固定しておくことで、頭部にシートが擦過することを防ぐことが大事なポイントです。
そこまでしなくても、もう1名の職員が車椅子に先行して、押し上げてくぐるようにしても解消することができます。
コツは、シートを持つ人員と別にシート内に人を配置することとシート内を観覧側から見えないようにすることで、観客の盛り上がりを誘うことが出来ます。
□ 綱引き
高齢者さんにも、ご参加いただきますが、前後に職員が付き添うようにして介助に専念することで安全性が向上します。
じつは…本気で頑張る参加者は、高齢者さんと来賓の方々になります。
職員は綱の揺れと引きずられて、事故が起こらないように配慮する側に、演技力と共に回ることが肝要です。
高齢者さんの前後を固め、安全性の向上を図ることも大切です。
また綱の最後尾に5人ずつ程度の職員を配置しておくこともコツです。
急な綱の引き合いや流され方が、事故の要因になるので、セーブ役を設けるためです。
当日朝~1日の流れ
祝砲
場所取り6時~7時
誘導8時~9時
☆ 開会式 … 9:00~9:15
□ 開会挨拶 … 施設長の挨拶
□ 国旗掲揚 … 国旗を揚げます。
□ 国歌校歌斉唱 … 君が代を斉唱します。
□ 選手宣誓 … 利用者さん代表男女1名ずつによる合同宣誓方式。
□ 準備運動 … ラジオ体操で十分です。
□ 来賓挨拶 … 市長、老人会会長など地位の高い方から依頼をして実施いただきます。競技開始~終了 … 9:15~11:15
☆ 閉会式 … 11:15~11:30
□ 閉会挨拶
□ 国旗仕舞う
□ 盆踊り
□ 解散…運動会の間に1時間置きに10分~15分程度の適度な休憩を挟みましょう。
1つの競技につき、準備~終了まで15分を企画し、1時間に3つ~4つですので競技種目は7つか8つあると午前中に終了できます。
昼食11:30~13:00
そのまま野外でのバーベキューやランチに突入してみてはいかがでしょう?
ご家族もおられますし、立食形式でも良いでしょう。
利用者さんには長机やテーブルを用意するようにしましょう。
誘導と静養13:00~14:00
お風呂と談話などリラクゼーション14:00~17:00
夕食18:00
4老人ホームの運動会の種目や競技も含む全般の運営工夫
運動会のコツは、応援が白熱して熱狂できることが第一です。
また格式を重んじることで、市役所や市長、老人会などの権威階層を巻き込むことも大切です。
何より高齢者さんとご家族さんの絆を、着実に深めていただくことに最大の魅力があります。
後片付けは雨露を避けられる場所へ一斉に集めまして、翌日に行うとだいぶ楽な作業になります。
午後のお風呂もありますので、そちらに介護職員さんの体力を向けるようにしましょう。
運動会の意義は大事です
運動会は単に運動する会なのですが、老人ホームなど施設で行う場合や権威を巻き込むには、意義が大事です。
無意味では、実施する価値を損ないますので、出来るだけたくさんの意義を持って運営することが大事です。
多くの意義を持たせる
□ 屋外の風に当たる。
□ 屋外で運動する。
□ 声援を受けることで普段以上の運動効果が見込める。
□ 声援を贈ることで嚥下能力を高める効果がある。
□ 様々な種目それぞれに身体能力の〇〇の筋力に作用がある。
□ 半日を屋外で過ごすことで、臥床時間を軽減し、持久力向上の効果がある。
□ 来客を見込むことで、利用者や職員のモチベーションの向上に繋がる。
□ 来客、来賓の一丸性を重視して運用することで地域福祉の向上に繋がる。
など、運動会1つの行事に注力して上手く達成することで、多くの意義や理由を見出すことが出来ます。
これら意義をまとめて
そう…これら運動会のレクリエーションの意義には価値があります。
価値は2つ。
1つは高齢者さんの日々のモチベーションと運動能力の向上に繋げることです。
派生して、職員への適度な範囲でのプレッシャーにもなりますが、企画通りに達成した時の職員の充実感は、お仕事として最高峰のものが得られます。
2つめは利用者さんの家族さんや地域社会と連携する価値です。
それだけ大きくて多くの意義ある活動に参加するという、地域社会の意識を改革することにも繋がります。
転じて高齢者さんと地域コミュニティーの輪が施設を介して再び円滑に回っていくことを意味しています。
意義を意識して行うことで、実施する価値が生まれ、人が集まることで大きな発展に繋がるのです。
5まとめ
運動会の競技自体は昔からあるものを選んで記事にしましたが、お子様を育児中の方から最新の小学校や保育園の行事の様子を伺い、取り入れてみてもアレンジになります。
他にもメディアで人気のある、かるたや百人一首を巨大化してめくる競技にしてみたり、ゲートボールからパターゴルフのように競技にしても楽しいかもしれません。
もちろん当日のために、たくさんの時間をレクリェーションなどで、工作して作成していく過程もありますので、高齢者さんと共に計画的に楽しみながら工作して準備してみてください。
介護支援専門員をしておりますと、よく『 運動会の日はお風呂は無いからデイサービスに行かない 』と、連絡をいただきますけど…。
これは、ふつうに誰が聞いても、絶対に施設側のさぼり…にしか映りません。
だって…汗かいてお風呂に入れない日…自分だったらゾッとします。
それを他人様に強要するのは…ちょっと…。
運動会の行事だからと、職員の手間が先行するような発想は、施設イメージを損なってしまいかねません。
今日の記事で、午前中だけの実施にしたのは、お風呂を午後に行う観点からの設計です。
来訪されたご家族様に髪の毛を乾かしてもらったり、浴後の水分補給やおやつをご一緒いただいてもらうのも、心温まる良き時間になります。
これは親族間の絆を深める重要な発想の1つですから、思考を優先させても構いません。
もちろん介護を介護職員に任せっぱなしは、ご家族の引け目・怠慢と感じられてしまう事柄ですから、状況は注視していなくてはなりません。
そこへ一時の介護的交流を挟むことで、介護職員もご家族も良質の時間を共有する素地が誕生するというものです。
その人なりの全力で、感じられる運動会…。
施設側とご家族、そして地域社会が一丸となって運営されてみてはいかがでしょうか?
※競技種目から玉入れだけは外しました。
意義深いのですが、どうしても怪我の原因になってしまうと思ったので…。
工夫して達成できた施設は凄いかもしれません。
あるいは来賓のお子様に実施していただく、という手もあります。
あと大事なのは過熱し過ぎた場合のクールダウンです。
リラックスタイムは和やかに、寛げるように十分に配慮しましょう。
誠にありがとうございました。
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