ショートステイ拒否は我儘じゃない~家族が知るべき本当の理由~
目次
はじめに…行かせる話じゃなくて~まず「嫌がる心」を理解する話~
ショートステイの話になると、急に空気が「冬」になるご家庭、けっこう多いです。こちらはただ予定を組みたいだけなのに、本人は顔が曇って「嫌だ」「行かない」「何で急にそんな話をするんだ」と、まるで“未知の島に片道切符で送られる”みたいな反応。家族側としては、心の中でそっと叫びますよね。「お願い、数日だけ…!悪いことじゃないんだってば…!」と。
でも、この拒否にはちゃんと理由があります。しかもその理由は「我儘」ではなく、本人の頭や体が置かれている状況からすると、むしろ自然で、筋が通っていることが多いんです。認知症がある方なら、環境が変わるだけで世界がグラっと揺れます。身体介護が必要な方なら、知らない人に触れられること自体が強い抵抗になります。つまり、嫌がるのは“性格”より“条件反射”に近い。ここを押さえるだけで、家族の心がまず少し軽くなります。
この記事は、「どうにかして行かせる魔法の言葉」を集めたものではありません。むしろ逆で、「何故、嫌がるのか」をほどいて、本人の安心を減らさずに、家族の事情もちゃんと守るための道筋を一緒に作る記事です。言い換えるなら、力ずくでドアを押す話ではなく、鍵穴をちゃんと探す話。しかも鍵穴は、本人の心の中だけでなく、家族の伝え方や準備の仕方の中にも隠れています。
そして大事な前提を1つ。ショートステイは“家族がサボるためのもの”ではありません。介護は長距離走で、給水がないと倒れます。家族が元気でいることは、本人にとっても大きな安全装置です。だからこそ、罪悪感の代わりに「作戦会議」を持ちましょう。笑える場面は笑いながら、でも本人の尊厳はきっちり守りながら。そんなバランスで進めていきます。
では次の章から、認知症の方が「何故、ショートステイが怖いのか」を、本人目線での“なるほど”に変えていきましょう。ここが分かると、言葉も準備も、驚くほど変わります。
[広告]第1章…認知症の方にとって施設は「知らない世界」~不安は防衛本能~
認知症の方がショートステイを嫌がる時、家族側の体感としては「昨日は大丈夫って言ったのに、今日になったら全否定!」みたいなことが起きます。ここでつい、こちらの心が折れそうになるんですが、認知症の特性を踏まえると、本人の反応は割りと一貫しています。本人の中では、むしろ筋が通っていることが多いんです。
まず、認知症は「全部忘れる病気」というより、「新しい情報の整理と保存が苦手になる」「複雑なことほど繋がりが切れやすい」状態になりやすい、というのがポイントです。すると何が起きるか。ショートステイって、家族が思うより“新しい情報の塊”なんですよね。建物の中の形、部屋の位置、トイレの場所、いつ誰が来るのか、食事の時間、夜の物音、寝具の感触、ナースコールの仕組み、職員さんの顔と名前、隣の利用者さんの声。どれもこれも「初めまして」が連打されます。
家族が「そんなに大袈裟かな?」と思ってしまうのは、家族にとっては“介護サービスの一種”であり、説明すれば理解できる世界だからです。でも本人にとっては、説明の文章より先に体が反応してしまう。例えるなら、旅行の荷造りが得意な人と、地図を見ただけでお腹が痛くなる人くらい違います。本人の頭の中では、「分からない場所=危ないかもしれない場所」になりやすい。だから拒否は、我儘というより防衛本能です。守りに入っているだけなんです。
さらにややこしいのが、“昔の記憶は比較的しっかりしている”ケースがあることです。新しい顔は覚え難いのに、昔の家の間取りや若い頃の出来事はすらすら話せたりする。その状態で施設に入ると、本人の世界観はこうなります。「ここはどこだ。知らない人がいる。自分の家じゃない。家に帰らなきゃ」。本人の中では、正しい行動をしているつもりなんです。迷子の子を責めても迷子は治らないのと同じで、ここは“正しさ勝負”にしない方が上手くいきます。
じゃあ、どうすれば良いのか。答えは意外とシンプルで、本人が一番落ち着く場所、つまり自宅の「安心のタネ」を見つけることです。拒否が強いほど、裏返せば「家が安心の聖地」になっている可能性が高い。テレビの位置、いつもの座る椅子、時計の音、湯のみ、毛布、匂い、決まったお菓子、寝る前の流れ。本人はそれを言葉で説明できないことが多いですが、体は覚えています。
ここで家族がやりがちな失敗が、「説得の長期戦」です。理屈を積み上げて、正論で押して、最後は気合いで…となると、家の中が“落ち着けない空間”になってしまう。本人はますます身構えます。大事なのは、説得よりも「安心の再現」。本人が落ち着く要素を、ショートステイ側に少しだけ移植してあげるイメージです。もちろん全部は無理です。でも“1つでも持ち込める安心”があると、拒否は少し緩みます。
家族が先に知っておくと楽になる考え方
認知症の方の拒否は、「嫌がる理由を理解してもらえるまで続く」のではなく、「安心できる材料が積み重なるまで続く」と考える方が現実に合います。つまり、初回から大成功を狙わなくていい。最初は“下見”みたいなものです。本人が落ち着ける要素が増えれば増えるほど、拒否は薄くなっていきます。
そしてもう1つ。本人が不安を言葉に出来ない時、代わりに出るのは怒りっぽさや頑固さだったりします。これ、家族からすると刺さるんですが、本人の中では「怖い」を別の形で出しているだけのことも多いんです。だから家族が自分を責め過ぎないこと。家族が疲れ切ると、本人の安心も揺れます。
次の章では、認知症とは少し違うタイプの拒否、つまり寝たきりなど身体介護が必要な方がショートステイを嫌がる理由を見ていきます。同じ「行きたくない」でも、心の中身がけっこう違います。ここを分けて考えると、打ち手がちゃんと見えてきます。
第2章…身体介護が必要な方の拒否は「プライドと照れ」—他人に任せる壁
認知症の方の拒否が「知らない世界怖い!」だとしたら、身体介護が必要な方の拒否は、もう少し静かで、でも根が深いことが多いです。言葉としては「嫌だ」「行かない」と短く出るのに、心の中ではちゃんと理由が渦巻いている。しかもその理由は、我儘ではなく、年齢を重ねた人ほど大切にしてきた“自分らしさ”に関わってきます。
寝たきりに近い方や、移動・排泄・入浴などで手助けが必要な方は、家の中では家族の介助を受けながら何とか暮らせています。ここがポイントで、家族だと「申し訳ない」気持ちはありつつも、長年の関係性の中で“頼み方”が出来てしまうんです。気まずさがゼロとは言いませんが、「家族だから、まぁ…」という逃げ道がある。ところがショートステイは、そこがまるっと無くなります。介助者が他人になります。ここで出てくるのが、羞恥心と遠慮、そしてプライドです。
特に壁になるのは、入浴と排泄。これって若い人でも「初対面の人に全部お任せします」はキツいですよね。ましてや、歳を重ねてきた方ほど「人に迷惑をかけたくない」「みっともない姿は見せたくない」という感覚を強く持っています。本人が言葉にしなくても、心の中では“恥ずかしさ”が大きい。だから「たった数日だよ」と言われても、本人の中では「その数日が濃い!」となるわけです。
さらに、身体介護が必要な方は「自分のペース」を守ることで、日々の安心を作っていることが多いです。トイレのタイミング、体位交換の感覚、寝具の当たり方、声を掛けられる距離感、触れられ方。これは毎日積み重ねた“生活の職人技”です。家族はその職人技に慣れているから、言葉が少なくても通じやすい。でも施設では、スタッフさんが丁寧にやってくれても、やり方やテンポが違う。本人は「雑にされた」と感じてしまうことすらあります。実際に雑かどうかではなく、本人の基準とズレた時点で、心が警戒モードに入るんです。
ここで大事な視点が1つあります。身体介護の拒否は、必ずしも「人が嫌い」ではありません。むしろ「人に迷惑をかけたくない」からこそ拒否する方もいます。つまり拒否の中身は、自己中心ではなく、ある意味で“気遣い”だったりもする。ここを家族が理解していると、言葉の選び方が優しくなります。
施設側の関わりで拒否が軽くなる時の共通点
身体介護の拒否が強い方に対しては、馴れ馴れしさが逆効果になることがあります。もちろん、明るい声掛けや笑顔は大事です。ただ、「距離を縮めよう!」と前のめりになると、本人が引いてしまうことがあるんです。ここで効きやすいのは、むしろ“丁寧なプロ感”です。言い方を変えると、親戚のおばちゃんではなく、ホテルのスタッフさんのような安心感。礼儀があって、説明が短く分かりやすくて、触れる前に一言がある。これだけで本人は「この人は信用できる」と感じやすくなります。
家族として出来ることは、施設へ「本人の拘りポイント」を伝えることです。例えば、声掛けのトーンが低めの方が落ち着く、介助は急がれると怖い、トイレはこのタイミングが多い、体位交換はこの順が楽、など。ここは家族しか知らない宝の地図です。スタッフさんがその地図を持てると、本人の不安は減りやすい。結果として「嫌だ」が「まぁ…お願いするか」に変わっていきます。
そして、もう1つ。本人が「嫌だ」と言う時、そこには「恥ずかしい」「迷惑かけたくない」「自分のやり方がある」のどれか、または全部が混ざっていることが多いです。だから説得で勝つのではなく、「恥ずかしさを減らす」「迷惑ではないと伝える」「ペースを守れる工夫をする」方向に舵を切る。これが、身体介護が必要な方の拒否をほどく王道になります。
次の章では、本人の気持ちを理解した上で、それでも家族がショートステイを頼りたい場面――つまり家族側の“切実な理由”に焦点を当てていきます。ここを丁寧に整えると、家族の罪悪感が薄まり、本人への伝え方も驚くほど上手になります。
第3章…それでも家族が頼りたい日がある~罪悪感を抱えない作戦会議~
本人の拒否には理由がある。これはここまでで、だいぶ見えてきました。では次に、家族側の本音も机の上に出してしまいましょう。家族がショートステイをお願いしたいのは、「楽をしたいから」ではなく、「これ以上、倒れたら全員が詰むから」です。ここ、声を大にして良いところです。介護って、頑張れば頑張るほど“頑張った人が消耗していく”仕組みになりやすい。なのに、消耗した姿を見せると本人に罪悪感を与えそうで、さらに隠してしまう。結果、家族が静かに削れていく。これは介護あるあるの、一番切ないタイプのあるあるです。
家族が「数日だけお願いしたい」と思う日には、ちゃんとした事情があります。例えば、家族の通院や手術、仕事の繁忙期、冠婚葬祭、出産の手伝い、身内の看病、介護者自身の体調不良、そして、ただただ疲れが限界に近い時。こういう事情は、本人にとっても“理解できること”です。問題は、伝え方とタイミングと、空気の作り方。家族が焦って「だから行って!」と詰めるほど、本人は「なんか知らんけど追い出される!」と受け取ってしまうことがあるんです。
ここで一度、視点を変える提案をします。ショートステイは「本人をどこかへ預ける」ではなく、「家族が元気で戻ってくるための準備期間」です。家族の回復は、本人の安全にも直結します。介護者が寝不足でフラフラの状態で移乗介助をするのと、しっかり休めた状態で介助をするのとでは、転倒や事故のリスクが違います。だからショートステイは、本人のためでもある。ここが腹落ちすると、家族の言葉が変わります。言葉が変わると、本人の受け取り方も変わります。不思議なくらい。
ただし、絶対に避けたいのが「心を鬼にして無理やり連行」パターンです。これは短期的には実現できても、あとが大変です。本人の中に「家族は信用できない」「連れていかれる」という記憶が残ると、次回以降の話が地獄の難易度になります。さらに家族関係にもヒビが入りやすい。なので、この章のテーマは“作戦会議”です。気合いで押すのではなく、設計で勝つ。勝つ相手は本人ではなく、拒否の原因です。
家族がやりがちな「伝え方の落とし穴」
家族は近い関係だからこそ、説明が唐突になりがちです。「来週から行くよ」「明日お泊りだよ」と、いきなり本題だけ投げる。本人はびっくりして拒否します。さらに家族は「前にも言ったじゃん!」となる。でも本人は覚えていない、または覚えていても不安が勝っている。ここで家族の声が大きくなると、家の空気が険しくなり、本人の警戒は上がります。結果として、話題に出した瞬間から揉める、という流れが完成してしまいます。
だから、説明は“短く、優しく、順番に”が鉄則です。しかも一回で終わらせようとしない。何回かに分けて、同じ方向の話を繰り返す。本人は「説得された」と感じると反発しやすいですが、「自然にそういう流れになった」と感じると受け入れやすい。ここが、人の心の面白いところです。家族の会話に、ちょっとした“下拵え”を入れるだけで、現場の揉めごとが減ります。
ショートステイの話は「お願い」より「役割」で伝える
本人に伝える時、効果が出やすい考え方があります。それは、本人を“される側”に置かないことです。例えば、「行ってきて」だと本人は受け身で、追い出された感が出やすい。でも「この数日、安心して過ごしていてね」「私たちが用事を済ませて、元気に戻ってくるから待っててね」だと、本人は“家族を支える役割”に立てます。役割があると、人は強くなります。高齢になっても、それは変わりません。
もちろん、言葉だけで全てが解決するわけではありません。でも、家族の理由を丁寧に整えて、本人に役割を渡し、空気を温かくしておく。これだけで、拒否は「ゼロ」にならなくても「爆発しない」状態に近づきます。
次の章では、いよいよ実践編です。説得テクニックではなく、本人の安心を増やす「雰囲気作り」と「自宅の安心を持ち込む工夫」を、家族が無理なく出来る範囲でまとめます。ここが整うと、ショートステイの話題が“事件”ではなく“予定”になります。ここまで来たら勝ち筋が見えてきますよ。
第4章…説得よりも「安心の演出」~自宅の安心を持ち込むコツ~
ショートステイの話題って、家族側が「説明しなきゃ!」と頑張るほど、何故か空気が硬くなりがちです。けれど、ここまで読んでくださった方ならもう気づいているはず。本人が嫌がる理由は、理屈の不足というより「安心材料の不足」です。だから4章は、説得術ではなく“安心の演出”に振り切ります。演出といっても大袈裟な舞台装置は不要で、要するに「自宅の安心を、ほんの少しだけ施設へ持っていく」工夫です。
認知症の方の場合は、「ここがどこか分からない」「知らない人が怖い」という防衛本能が動きやすい。身体介護が必要な方の場合は、「恥ずかしい」「迷惑をかけたくない」「自分のペースがある」という壁が立ちやすい。どちらにも共通するのは、“見通しが持てないと不安が膨らむ”ということです。ならばやることは1つ。見通しと安心を、先に渡しておく。これが出来ると、拒否が「全面戦争」から「小競り合い」くらいまで落ち着きます。小競り合いなら勝てます。家族の心が。
本人の安心の導入は「物」「流れ」「人」で作れる
安心のスイッチは、だいたい3種類に分かれます。1つは“物”。いつものタオル、いつもの湯のみ、いつもの毛布、いつものクッション。これらは本人にとって「ここは知らない場所じゃない」と脳に教える目印になります。持ち込みの可否は施設のルールによりますが、許される範囲で“安心の象徴”を1つでも持っていけると強いです。
2つめは“流れ”。家では、起きてから寝るまでに本人なりの順番があることが多いです。朝はこの飲み物、昼はこのテレビ、夕方はこの時間にトイレ、寝る前はこの一言、みたいな小さな習慣。施設では完全に同じには出来ませんが、「本人は急かされると怖い」「トイレはこのタイミングが多い」「声掛けは短い方が落ち着く」など、流れの特徴を伝えるだけで、スタッフさんの対応がグッと合いやすくなります。
3つめは“人”。これは「相性」の話ではなく、「顔馴染みの気配」を作る話です。初回から全員が顔馴染みになるのは無理です。でも、担当の相談員さんや送迎の職員さん、ケアに入るスタッフさんのうち、1人でも「この人は安全」と感じられると、本人の警戒はほどけやすい。家族が出来ることは、初回の受け入れの時に「本人が不安になりやすいポイント」を短く共有して、スタッフさんが“やりやすい形”に整えることです。相手がやりやすいと、丁寧さが出やすい。丁寧さが出ると、本人が落ち着く。ここは綺麗な連鎖が起きやすいところです。
家族の声かけは「説明」より「予告」と「安心」で
本人に言う時、長い説明は逆効果になりやすいです。理由を積み上げるほど、本人の頭の中では「何か重大なことが起きるらしい」と勝手に膨らむことがあります。そこでおすすめなのが、予告を短くして、安心を多めにする言い方です。ポイントは「いつ」「どこで」「どれくらい」「誰が迎えに来るか」を、短い言葉で繰り返すこと。そして必ず「戻ってくる」をセットにすることです。
また、感情の波がある方には“前日の勝負”にしないのがコツです。前日に詰めるほど、当日の揉めが増えます。できれば数日前から、サラっと小出しにして、本人の頭の中で「そういう予定らしい」が育つ時間を作る。育つと強いです。芽が出ると引っこ抜き難いですからね。良い意味で。
デイサービスとの連携は「近道」になりやすい
もし本人がデイサービスに通っていて、同じ系列や近い雰囲気の場所でショートステイが出来るなら、これはかなりの近道です。本人の中で「一回行ったことがある場所」のカテゴリに入るだけで、不安が少し下がることがあります。スタッフが完全に同じでなくても、「あの建物っぽい」「あの感じっぽい」というだけで、心は落ち着きやすい。人間、思っている以上に“雰囲気”で生きています。
それでも拒否が強い時の現実的な考え方
正直に言うと、どれだけ工夫しても、初回は拒否が出ることがあります。これは失敗ではなく、確認作業です。本人は「ここは安全か」をチェックしています。チェックが終われば、次から軽くなることも多い。だから家族は「一発で成功させなきゃ」と背負い過ぎないでください。むしろ、初回は“下見”。本人が安心できる材料を拾う回だと思うと、心が折れ難いです。
そして最後に、家族の大事な仕事を1つ。施設に任せた日は、罪悪感で自分を責める日ではありません。休む日です。用事を済ませる日です。寝る日です。体を整える日です。そこで回復した家族が戻ってくることが、本人にとっても一番の安心材料になります。これ、割りと真面目な話です。介護は根性では続きません。続けるための仕組みが必要なんです。
次はいよいよ「まとめ」です。デイサービスとの繋げ方、雰囲気作りの具体例、家族が揉めずに着地するコツを、最後に気持ちよく回収して終わりましょう。
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ショートステイを嫌がるのは、本人が意地悪だからでも、家族を困らせたいからでもありません。認知症の方なら「知らない世界が怖い」という防衛本能が働きやすく、身体介護が必要な方なら「恥ずかしい」「迷惑を掛けたくない」「自分のペースがある」という、長年の人生で培った大事な感覚が顔を出します。つまり拒否の正体は、性格の問題ではなく“安心の不足”であることが多い。ここを押さえるだけで、家族の心は少し軽くなりますし、伝え方も変わってきます。
家族として一番避けたいのは、力ずくで連れていく形です。短期的には成立しても、本人の中に「また連れていかれる」という記憶が残り、次回以降がもっと苦しくなります。家族関係にヒビが入り、介護がますます辛いものになりやすい。だからこそ、勝負は説得ではなく準備です。本人の安心を増やす方に力を注ぐと、拒否はゼロにならなくても、爆発し難くなります。
特に効くのは「自宅の安心を少しだけ持ち込む」ことでした。いつもの物、いつもの流れ、そして“顔馴染みの気配”。施設側に伝えるのは長い説明ではなく、本人が不安になりやすいポイントを短く共有すること。家族の声掛けも同じで、理屈の長話より「いつ」「どこで」「どれくらい」「迎えは誰で」「戻ってくる」を短く繰り返す方が、本人の心に入りやすい。人は説明で安心するのではなく、見通しが立つことで安心することが多いんです。
そして、現実的な近道として、デイサービスなど“慣れた場所”の延長でショートステイを検討できるなら、その選択はとても強い味方になります。スタッフが全員同じでなくても、「あの雰囲気っぽい」「見たことがある建物っぽい」というだけで、本人の警戒が少し下がることがある。人間の安心って、理屈より雰囲気の方が先に働くことがあるんですよね。ここはもう、脳の癖だと思って上手に利用しましょう。
最後に、一番大事なことを言います。家族がショートステイを頼りたい日は、家族が元気で戻ってくるための日です。罪悪感を抱いて自分を責める日ではありません。休むべき時に休めた家族は、介護の質が上がります。余裕があると声も柔らかくなり、手も丁寧になり、本人の不安も減ります。つまり、家族の回復は本人の安心に直結します。ここは堂々として良いところです。
もし初回が上手くいかなくても、それは失敗ではなく「本人が安全確認をしている途中」かもしれません。下見だと思って、次に活かす材料を拾いましょう。安心材料は積み重なるほど強くなります。積み重なった安心は、拒否の壁を少しずつ溶かします。真心って、フワっとした言葉に聞こえるかもしれませんが、介護の現場では割りと具体的な力です。丁寧に準備し、落ち着いて伝え、安心を増やす。その積み重ねが、短い利用でも揉めない着地に繋がっていきます。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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