4月29日昭和の日は回想ゲーム日和~懐かしさを笑顔に変えるレトロ時間~

[ 季節と行事 ]

はじめに…昭和の日は昔話だけで終わらない~懐かしさが遊びに変わる春の一日~

昭和の日は昔話だけで終わらない~懐かしさが遊びに変わる春の一日~

4月29日が近づくと、カレンダーの赤い数字を見て「お休みだ」と思う人もいれば、「ああ、昭和の日やね」と少し遠くを見る人もいます。

その一言の奥には、白黒テレビに家族が集まった茶の間、炊飯器から立つ湯気、近所の子どもたちの声、商店街のにぎわい、ラジオ体操の朝、夕方に鳴るチャイムのような記憶が眠っています。正に百花繚乱、1つの時代と言っても、人の数だけ景色があります。

高齢者施設やデイサービスで昭和の日を迎えるなら、難しい話を長く聞く日だけにしなくても大丈夫です。懐かしい小物を見て笑う。昔の道具を手に取って「これ、どうやって使うんやったかな?」と首を傾げる。職員さんが黒電話のダイヤルを途中で離してしまい、「そこは最後まで回さんと」と利用者さんに教えられる。はい、立場逆転です。職員さん、ここは素直に弟子入りしましょう。

懐かしさは、思い出を語る入口であり、みんなで遊べるやさしい道具にもなります。

回想法(昔の記憶をキッカケに会話や安心感を引き出す関わり方)という言葉がありますが、畏まって構え過ぎると、却って空気が固くなることもあります。大切なのは、話してもいいし、話さなくてもいい雰囲気です。思い出は、無理に掘り起こすものではなく、日なたに置いた座布団みたいに、ふっと人が集まる場所で育つものなのかもしれません。

昭和の日は、古い時代を懐かしむだけの日ではありません。今の暮らしを少し笑いやすくして、世代の距離を近づける日です。急がば回れ。昭和レトロの小さなゲームから、思いがけない会話と笑顔が生まれる春の一日にしてみませんか?

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第1章…4月29日はどんな日?~昭和の日が連れてくる記憶と未来への眼差し~

4月29日。春の空気が少しやわらかくなり、花の色も新緑もにぎやかになってくる頃です。カレンダーを見ると赤い日。そこで「やった、休みだ」と思う人もいれば、「昔は天皇誕生日やったなあ」と自然に口にする人もいます。

この日には、少し長い歩みがあります。昭和の時代には昭和天皇の誕生日として親しまれ、時代が移った後には「みどりの日」と呼ばれた時期もありました。そして、昭和という時代を思い、これからの暮らしを考える日として、4月29日は「昭和の日」になりました。

こう聞くと、何だか国語の授業みたいですね。黒板、チョーク、日直、起立、礼。そこまで連れて行かなくても大丈夫です。大切なのは、年表を暗記することではなく、その日に人の記憶がフワッと動き出すことです。

昭和は、決してひと色ではありません。戦後の大変な時期を知る人もいれば、テレビが家に来た日の興奮を覚えている人もいます。電話が玄関に一台だけあって、家族みんなで使っていた家もあります。冷蔵庫に氷を入れていた話が出るかと思えば、「うちは近所の家でテレビを見せてもらってたんよ」と笑う人もいるでしょう。正に十人十色です。

昭和の日は、昔を懐かしむだけでなく、その人が歩いてきた暮らしに光を当てる日です。

高齢者施設でこの日を扱う時、つい「昭和の歴史を語っていただきましょう」と考えたくなります。けれど、歴史の話は人によって重さが違います。スラスラ話せる方もいれば、胸の奥がキュッとなる方もいます。無理に引き出そうとすると、楽しい時間のはずが、少し硬い空気になることもあります。職員さんの進行表だけが元気で、場の空気は正座している。これは少し困りますね。

そこで、入口はもっと身近なもので十分です。「昔のおやつは何でしたか?」「家に初めて来て驚いた家電はありますか?」「子どもの頃、外でどんな遊びをしましたか?」。そんな小さな問いかけなら、肩の力が抜けます。返事がすぐに出なくても、隣の人の話を聞いて「あ、それうちも!」と声が重なることがあります。会話は単独行動より、連係プレーの方が動きやすいものです。

祝日なのに介護の現場は動き続けます。世間が連休気分でも、施設には食事があり、入浴があり、排泄介助があり、服薬確認もあります。春風は吹いているのに、職員さんの足元だけ師走のように忙しい。これもまた現場あるあるです。けれど、そんな中でも、ほんの10分のレトロな会話、1枚の古い写真、1つの懐かしい道具が場の空気を変えることがあります。

昭和の日は、完璧な行事にしなくても良い日です。小さなキッカケで、昔の暮らしと今の笑顔が繋がれば十分です。年表よりも茶の間。説明よりも会話。肩肘を張らず、春の一日に小さな懐かしさを置いてみる。そこから思わぬ笑いが転がり出すかもしれません。


第2章…懐かし話は無理に引き出さない~日常の小物が心をほどく回想時間~

「昭和の思い出を聞かせてください」と言われると、すぐに話し出せる人もいれば、少し困った顔になる人もいます。思い出は引き出しの中の写真みたいなもので、取っ手を引けばすぐ出るとは限りません。奥の方で別のアルバムに引っかかっていることもあります。無理に引っぱると、紙が曲がります。心も、少しだけ疲れます。

昭和という言葉には、明るい記憶もあれば、重たい記憶も混ざっています。家族で囲んだ食卓、近所付き合い、駄菓子屋、銭湯、学校帰りの寄り道。そうした楽しい場面のすぐ隣に、暮らしの苦労や胸に残る出来事がある方もいます。だから、職員さんが「さあ、語ってください」と真正面から構えると、場が急に面接会場のようになることがあります。利用者さんも「え、採用されるんか?」と言いたくなるかもしれません。いえ、採用試験ではありません。

そんな時は、話を聞く前に、見てもらう、触れてもらう、選んでもらう流れが合います。古い写真、湯呑み、手拭い、けん玉、紙風船、昔の台所道具。日常に近い小物は、記憶の入口をそっと開けてくれます。自伝的記憶(自分の体験として覚えている記憶)は、言葉だけより、音や形や匂いに助けられて動き出すことがあります。

懐かしい小物は、話を求める道具ではなく、安心して思い出せるキッカケになります。

声かけも、少し緩めがちょうど良いです。「これは何ですか」と正解を求めるより、「これ、見たことありますか?」「家にもありましたか?」「どんな時に使いましたか?」と、答えに幅を持たせると、会話がやわらかくなります。分からなくても大丈夫。思い出せなくても大丈夫。その空気があると、隣の人が「うちはなあ」と話し出し、別の人が「そうそう」と重ねてくれることがあります。和気藹々という言葉が、急に現場で仕事を始める瞬間です。

昭和の話題は、必ず大きな歴史に向かわなくても構いません。味噌汁に卵を落とした日、こたつでみかんを食べた夜、買ってもらった服を兄弟で順番に着た話。そういう暮らしの端っこに、その人らしさが滲みます。時には「うちは貧乏やったからなあ」と笑う方もいますが、その笑いに職員さんが慌ててしんみりし過ぎると、逆に気を使わせてしまうこともあります。受け止めつつ、空気を見て、軽く頷く。そのくらいの距離感が心地よい場面もあります。

話す人、聞く人、頷くだけの人。参加の形はそれぞれです。発言が少ない方でも、手に取った紙風船をじっと見ていたり、誰かの話に小さく笑ったりすることがあります。その小さな反応も、立派な参加です。懐かし話は、声の大きさで測るものではありません。目元が少し緩む。手がそっと動く。そんな変化に気づけると、回想の時間はもっと優しくなります。

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第3章…黒電話も茶の間も主役になる~昭和レトロで楽しむ室内ゲーム案~

昭和レトロの楽しさは、飾って眺めるだけでは終わりません。むしろ、少し触って、少し迷って、少し笑うところから場が動きます。黒電話を前にした職員さんが「これ、どこを押すんですか?」と真顔で聞き、利用者さんが「押すんと違う、回すんや」と先生の顔になる。もうその瞬間だけで、行事の半分は成功したようなものです。職員さん、昭和の前では新入生です。

室内ゲームにするなら、まずは「これは何でしょう?」から始めると入りやすくなります。黒電話、アルマイトの弁当箱、紙風船、洗濯板、手回し鉛筆削り、湯たんぽ、昔の写真風カード。実物がなければ、絵カードでも十分です。机に並べて、見たことがあるか、何に使ったか、家のどこに置いていたかを話してもらいます。正解を急がず、思い出が横道にそれたら、そこを少し歩いてみる。そこに笑いの小道があることも多いです。

昭和レトロのゲームは、勝ち負けよりも「知っている人が先生になれる時間」を作るところに味わいがあります。

次に盛り上がりやすいのが、時代当てゲームです。昭和、平成、令和の道具や暮らしのカードを混ぜて、「これはどの時代に近いでしょう」と選んでもらいます。黒電話を令和に置いた人がいても、すぐに間違い扱いにしなくて大丈夫です。「今の若い人には逆に新しく見えるかもしれませんね」と笑えば、場が丸くなります。古いものが新しく見える。時代の巡りは不思議です。正に創意工夫の遊び場です。

少し体を動かせる方が多い日なら、昭和グッズ探しも楽しいです。室内の見える場所にカードや小物を置き、「茶の間にありそうなもの」「学校で使ったもの」「台所にあったもの」といった緩いお題で探してもらいます。歩く方、車いすの方、席で指差し参加する方、それぞれの形で参加できます。アクティビティ(心と体を動かす活動)は、動く量を揃えるより、参加の入口をいくつも作る方が安心です。

座ったままで楽しむなら、昭和カルタも向いています。読み札には「回す電話で番号をかける」「茶の間の真ん中で家族が集まる」「給食のあの味を思い出す」など、情景が浮かぶ言葉を入れます。取り札は写真やイラストにすると、文字が苦手な方も参加しやすくなります。読み上げた瞬間に「給食の脱脂粉乳はなあ」と別の話が始まるかもしれません。はい、カルタ大会が思い出大会に転職しました。これはこれで大成功です。

ゲームの終わりには、小さな拍手を忘れずに入れたいところです。勝った人だけでなく、思い出を話してくれた人、隣の人に札を教えてあげた人、笑って聞いていた人にも拍手を送ります。老若男女、得意なことは違います。けれど、昔を知っていること、今を一緒に楽しむこと、その両方が場を明るくします。

ことわざで言うなら、笑う門には福来る。昭和レトロの室内ゲームは、正にこの言葉が似合います。高価な道具を揃えなくても、古い小物と少しの声かけがあれば、茶の間のような温かさは作れます。無理なく、楽しく、ちょっとドタバタ。そんな一日が、利用者さんにも職員さんにも残る時間になっていきます。


第4章…再現しすぎると少しドタバタ~安全第一で笑えるレトロ空間作り~

昭和の茶の間を施設の一角に作ってみる。響きだけなら、とても楽しそうです。ちゃぶ台、座布団、古いラジオ風の飾り、湯のみ、手拭い、紙風船。そこに懐かしい音楽が少し流れれば、もう空気は春のレトロ劇場です。

ただし、現実の介護現場で本気を出し過ぎると、なかなかの珍騒動が起きます。低いちゃぶ台を置いた瞬間、「これ、座ったら立てるかな」と職員さんの腰が先に相談を始めます。床に座る設定にしたら、利用者さんより職員さんの膝がポキッと鳴る。昭和を再現するつもりが、職員さんの関節発表会になってしまうこともあります。笑っていいのか、湿布を出すべきか、ちょっと迷っちゃいますね。

だからこそ、レトロ空間作りは安全第一です。ちゃぶ台風に見える高さのテーブルを使う。座布団は飾りとして置き、実際には椅子で参加できるようにする。小物は手に取れる物と、見るだけの物を分ける。割れやすい陶器や重たい道具は、雰囲気作りに使っても、直接持ち回りにしない。リスクマネジメント(危険を先に見つけて備える考え方)は、楽しい行事ほど地味に効きます。

昭和らしさを完璧に再現するより、安心して笑える形に置き換えることが大切です。

見た目の懐かしさと、今の身体に合う動きは別物です。昔は平気だった段差も、今は躓きの原因になります。昔は楽しかった床座りも、今は立ち上がりが大仕事になることがあります。昔の暮らしをそのまま戻すのではなく、今の身体に合わせて再登場してもらう。これが臨機応変なレクリエーションの腕の見せどころです。

黒電話を使うなら、実際に重い物を回してもらう前に、机の上で安定させておきます。ダイヤルを回す役、見守る役、番号を読む役に分けても楽しいです。洗濯板を出すなら、水を使わず、布を軽く当てて「こんな感じでしたね」と動きを味わうだけでも十分です。紙風船も、強く打ち合うより、フワッと落とさず繋ぐ遊びにすると、自然に笑い声が増えます。

昭和の味を楽しむ場面でも、無理は禁物です。懐かしいおやつや飲み物を出すなら、嚥下(飲み込みの力)や持病、食事制限に合わせる必要があります。見た目だけ寄せた柔らかいおやつ、香りだけ楽しむ演出、昔の食卓写真を見ながら今の食事を味わう形でも、会話は十分に生まれます。懐かしさは、必ずしも本物そっくりでなくても届きます。

準備で職員さんが疲れ過ぎないことも大切です。行事の成功は、飾りの量で決まりません。小物を3つ並べるだけでも、声かけが温かければ場は動きます。逆に、飾りを山ほど用意して職員さんが無言で燃え尽きていたら、利用者さんも「大丈夫かいな」と心配になります。主役が入れ替わっています。これはこれで優しい光景ですが、ほどほどが平和です。

昭和レトロの空間作りは、懐かしい世界へ連れていくことではなく、今いる場所を少し楽しくする工夫です。安全に座れること。見やすいこと。持ちやすいこと。話したい人が話せて、聞いている人も参加できること。その土台があれば、少しのドタバタも笑いに変わります。昭和の風は、無理に吹かせなくても、小さな小物1つからそっと入り込んできます。

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まとめ…懐かしさは世代を繋ぐ合言葉~昭和の日を来年も楽しみにするために~

昭和の日を高齢者施設で楽しむと聞くと、最初は少し身構えるかもしれません。昔のことを聞くのは失礼ではないか?話が重くなったらどうしよう?準備が大変ではないか?そんな心配が頭の中で順番待ちを始めます。しかも職員さんの頭の中には、入浴、配膳、記録、見守り、片付けまで並んでいるわけで、そこへ昭和レトロまで入ってくると、脳内が春の商店街です。にぎやかです。少し混みます。

けれど、昭和の日は完璧な行事にしなくても大丈夫です。黒電話を1つ置く。昔の台所道具を1つ見せる。紙風船をフワッと飛ばす。懐かしいおやつの話を聞く。そんな小さなキッカケだけでも、場の空気はふっと変わります。利用者さんが先生になり、職員さんが生徒になり、隣の方が思い出を足してくれる。和気藹々とした時間は、立派なレクリエーションです。

懐かしさは、過去に戻るためではなく、今いる人同士が笑って近づくために使えます。

昭和を語る時、重たい歴史だけに寄せなくても構いません。暮らしの中にあった味、音、道具、におい、家族の会話。そこには、その人の人生がそっと残っています。大きな話より、小さな話の方が心を動かすこともあります。「昔の炊飯器はなあ」「近所の銭湯でなあ」「うちの父親がなあ」と、ポツリポツリ出てくる言葉の中に、その人らしい景色が見えることがあります。

もちろん、安全への気配りは忘れずにいたいところです。見た目は昭和、動きは令和のやさしさで整える。座りやすい椅子、持ちやすい小物、飲み込みやすい食べ物、疲れた時にすぐ休める流れ。これがあると、職員さんも利用者さんも安心して楽しめます。無理なく続けられる工夫こそ、長く愛される行事の土台です。正に一期一会、同じ昭和の日は二度と来ません。

来年の4月29日も、同じようで少し違う顔ぶれ、少し違う会話、少し違う笑いが生まれるはずです。去年は黒電話、今年は給食、来年は商店街ごっこ。そんなふうに少しずつ育てていけば、昭和の日は施設の中で待ち遠しい春の行事になります。

昔を懐かしむ人がいて、今を支える人がいて、その間に笑い声がある。笑門来福という言葉が似合う、やわらかな時間です。昭和レトロは、古いものを並べるだけの飾りではありません。人の記憶と人のぬくもりを、春の一日にそっと繋ぐ合言葉なのです。

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