介護レクが苦手でも大丈夫~企画書と段取りで「盛り上がり」は作れます~
目次
はじめに…苦手の正体は「性格」ではなく「設計」でした
「レクリエーション、できれば担当したくないな…」と感じたことがある介護職さんは、きっと少なくありません。利用者さんの前に立った瞬間、視線が一気に集まって、喉がカラカラになる。沈黙が落ちるのが怖くて、言葉を繋ごうとして空回りしてしまう。盛り上げ上手な先輩を見れば見るほど、「自分には向いていない」と思ってしまう。ここまで読んで、胸がキュッとなった方がいたら、まず1つだけ安心して欲しいです。苦手意識の正体は、あなたの性格の弱さではなく、準備と設計が薄いまま本番に立たされていること、その“つらい構図”にあることが多いんです。
介護の現場のレクリエーションは、芸人さんのステージではありません。大爆笑を取ることが目的ではなく、利用者さんの心と体の状態に合わせて「今日の時間が少し良くなる」切っ掛けを作ることが本質です。つまり、主役は介護職ではなく利用者さんで介護職は“場を整える人”。この視点に立つだけで、背負う荷物はグッとかなり軽くなります。
そして、ここが一番大事なポイントなのですが、レクリエーションは「思いつき」で頑張るほど苦しくなりやすいです。逆に、企画書という土台がしっかりしていれば、本番は驚くほど進めやすくなります。なぜなら、企画書があると「何のために」「どこまでやれば成功か」「想定外が起きたらどうするか」が先に決まるからです。先にレールを敷いておけば、当日はその上を走るだけになります。緊張がゼロになるわけではありませんが、緊張を“暴れさせない枠”を用意できる。これが、苦手が薄くなる最短ルートです。
この記事では、「注目が怖い」「沈黙が怖い」「失敗が怖い」という三大ストレスを、現場で実際に使える形でほどいていきます。さらに、企画書を強くするための型、当日の進行をラクにする段取り、うまくいかなかった時の立て直し方まで、まとめて一緒に整えていきます。上手に盛り上げる人になる前に、まず“安心して回せる人”になる。そこから自然に、あなたらしいレクリエーションの形が育っていきます。
[広告]第1章…介護職がレクリエーションをやりたくなくなる理由は3つある
レクリエーションが苦手だと感じるとき、私たちはつい「自分は向いていない」「話が上手くないからだ」と、能力や性格のせいにしてしまいがちです。でも実際は、もっと現実的で、もっと説明がつく理由が重なっていることが多いんです。苦手意識の中身をほどいてみると、多くの現場で同じ3つの壁にぶつかっています。注目、沈黙、失敗。この3つです。
まず「注目」。始めの一言を言った瞬間、利用者さんの目が一斉にこちらへ向きます。司会台があるわけでもなく、舞台照明があるわけでもない、日常のリビングや食堂で、急に“前に立つ役”になる。これが緊張を生むのは、むしろ自然です。介護の仕事はチームで動く場面が多く、ふだんは利用者さんの横に寄り添う距離感で関わっています。そこから急に正面に立つと、距離の取り方が変わります。距離が変わると声の出し方も変わるし、目線も変わるし、動きも変わる。その変化に体が追いつかないまま「はい始めます」と言うから、心臓がバクバクしてしまうんですね。
次に「沈黙」。レクリエーションが怖いと言うと、実はこの沈黙が一番しんどい、という方が多いです。こちらが問い掛けても返事が少ない。笑いを取るつもりはなくても、反応がないと“否定されたような気持ち”になる。けれど、介護現場の沈黙は「つまらない」のサインとは限りません。耳が遠い方は情報が届くまで時間が必要ですし、認知症のある方は状況の理解にワンテンポ遅れます。身体が痛い方は反応したくても表情が出づらいこともある。つまり、沈黙はよくある現象で、あなたの失敗の証拠ではないのに、担当者の心には重く圧し掛かります。ここが苦手意識を強くする大きな仕掛けになっています。
そして3つ目が「失敗」。失敗と言っても、派手に転ぶような失敗だけではありません。「時間が余った」「予定より盛り上がらなかった」「途中で話が飛んだ」「準備した道具が上手く使えなかった」。こういう小さなズレが積み重なると、終わった後にドッと疲れます。さらに介護の現場には安全の責任があります。転倒が怖い、興奮が高まり過ぎるのが怖い、体調が急に変わるのが怖い。だから“楽しい時間”を作ろうとすると同時に、“事故を起こさない”という別の緊張も背負うことになります。しかもその責任は、何故か担当者の肩に集められやすい。これも苦手意識を増幅させる大きな要因です。
ここまで読むと、「じゃあやっぱり無理じゃない?」と思うかもしれません。でも安心してください。実はこの3つの壁は、才能で乗り越えるものではなく、設計で小さく出来るものです。注目は“始め方の型”で弱められます。沈黙は“反応を引き出す問いの作り方”と“待つ時間の意味付け”で怖くなくなります。失敗は“成功ラインの決め方”と“逃げ道の準備”で、ほとんどが立て直せます。
もう一つ、現場あるあるを付け足すなら、レクリエーションが苦手に感じる人ほど「完璧にやらなきゃ」と思っています。利用者さん全員を同じ温度で楽しませなきゃ、反応が出なければ自分の力不足だ、と思い詰めてしまう。でも、介護のレクリエーションは“全員が同じことを同じように楽しむ時間”ではありません。参加の形は人それぞれでいいし、見ているだけの参加も立派な参加です。今日の体調で、笑うより眠る方が安全な日だってあります。だからこそ担当者が目指すのは、「やりきった感」よりも「無理なく終えられた感」。その方が、次の担当を引き受ける心の余裕が残ります。
この章で伝えたい結論は、はっきりしています。苦手意識の正体が「注目・沈黙・失敗」だと分かれば、戦い方は決まります。次の章では、この3つをいっぺんに軽くするための現場向けの仕掛けとして、「役割分担」「短い台本」「逃げ道」という3点セットを、すぐ使える形で一緒に作っていきます。ここから先は、根性論ではなく、仕組みの話です。あなたがラクになる方法を、ちゃんと用意していきましょう。
第2章…緊張を減らす仕掛けは「役割分担・短い台本・逃げ道」の3点セット
レクリエーションが苦手な人ほど、何故か“一人で背負ってしまう”…あるいは背負わされる傾向があります。準備も進行も盛り上げも安全も、全部自分の責任だと思い込んでしまう。けれど現場のレクリエーションは、そもそもチームで運ぶ方が自然で、そして強いんです。ここでは、注目・沈黙・失敗の3つの壁をまとめて軽くするための仕掛けとして、「役割分担」「短い台本」「逃げ道」を3点セットで整えていきます。これは上手い人の才能ではなく、誰でも再現できる“形”の話です。
役割分担…「自分だけの舞台」から「皆の作業」へ変える
注目が怖いのは、視線が集中する上に、次に何が起きるかも自分が全部決めなきゃいけないからです。そこで、まず舞台を小さくします。レクリエーションを「一人芸」ではなく「チームの作業」に変えるんです。
例えば、始まりの挨拶をする人、道具を配る人、参加をそっと促す人、途中で水分や姿勢を気にして回る人、終わりのまとめをする人。こうして分けると、注目は分散します。しかも分散した瞬間、レクリエーションの空気は“イベント”から“日常の延長”に戻りやすくなります。ここがとても大切です。日常の延長になれば、担当者も利用者さんも身構え難い。緊張の針が少し下がる。たったそれだけで、進行はずいぶんラクになります。
役割分担は、人数が少ない日でも使えます。二人しかいなければ、片方が前で進行し、もう片方が「合いの手」と「安全確認」を担当するだけでも効果があります。合いの手は、笑いを取るためではなく、沈黙を“怖いもの”にしないために入れます。「今の、いいですね」「ゆっくりで大丈夫ですよ」「手はここで止めてOKです」こういう一言があるだけで、参加者も担当者も落ち着きます。
短い台本…「何を言えばいいか分からない」を消す
次に沈黙です。沈黙が怖いのは、沈黙そのものよりも、「次の一言が出てこない自分」が怖いからです。だから解決はシンプルで、次の一言を“先に決めておく”ことです。ここで作るのは立派な台本ではありません。短くて良い。むしろ短い方が現場向きです。
例えば、冒頭の30秒だけ言うことを決めます。「今日は手を動かして指先を温めます」「無理はしません、見ているだけも参加です」「出来たら拍手、出来なくても拍手です」この3つが言えれば、場の安全と空気が先に整います。すると、利用者さんは“評価される場所”ではなく“安心していて良い場所”だと感じやすくなります。
さらに、質問の形も予め用意しておくと沈黙が軽くなります。沈黙が起きやすいのは、答えが自由過ぎる問い掛けをした時です。例えば「今日は何したいですか?」は自由過ぎて答えづらい。代わりに「手を動かすのと、声を出すの、今日はどっちが良さそうですか?」のように、選べる形にすると反応が出やすい。答えが返ってこなくても、「じゃあ今日は手からいきましょう」と進められる。これが短い台本の強さです。
そしてもう1つ。沈黙を恐れないための“合図”を自分の中に持っておくことも大事です。沈黙が来たら失敗ではなく、「利用者さんが情報を受け取っている時間」と考える。ゆっくり待つことは、介護の大切な技術ですよね。待てる進行は、上手さです。
逃げ道…失敗を「事故」にしないための保険を用意する
最後が失敗の怖さ。これを消す一番の方法は、「上手くいかなかった時にどう終えるか」を先に決めておくことです。逃げ道があるだけで、心は軽くなります。逃げ道とは、ズルではありません。安全に終えるための保険です。
例えば、時間が余った時のために“締めの一手”を持っておく。逆に時間が押した時のために“途中で切る合図”を決めておく。参加が難しい方が増えた時は、座ったまま見て楽しめる形に切り替える。道具が足りない、壊れた、想定した動きが危ない、そう感じたら「今日は安全第一で、やり方を少し変えますね」と言って切り替える。こういう言い回しも台本の一部にしてしまえば良いんです。
ここで大事なのは、成功のラインを“盛り上がり”に置かないことです。成功とは、「事故なく終わった」「無理をさせなかった」「一部の人でも気持ちが動いた」「場が荒れなかった」。これだけで十分に価値があります。レクリエーションの評価を“笑いの量”に置くと苦しくなりますが、“安全と参加の形が守れたか”に置くと、担当者は強くなれます。
3点セットが揃うと緊張の性質が変わる
役割分担があると、注目が分散して、孤独な緊張が減ります。短い台本があると、沈黙が来ても次の一言が決まっていて、焦りが減ります。逃げ道があると、失敗が“取り返しのつかないもの”ではなくなり、勇気が出ます。つまり緊張が消えるのではなく、「暴れない緊張」に変わっていきます。ここまで来ると、レクリエーションは“怖い本番”から“回せる日課”に近づいていきます。
次の章では、この3点セットを土台にして、企画書そのものを強くします。目的、流れ、準備、安全、振り返り。ここを型にしてしまうと、レクリエーションはさらにラクになります。思いつきで頑張るのを卒業して、設計で勝てるように整えていきましょう。
第3章…企画書を強くする黄金テンプレ
レクリエーションの苦手意識がスッと軽くなる瞬間があります。それは「当日の自分が迷わない形」が目の前に出来た時です。迷わない形を作る一番の近道が、企画書を“強くする”こと。ここで言う企画書は、立派な書式や上司ウケの文章ではありません。現場で実際に役に立つ、担当者を守るための設計図です。設計図が薄いまま本番に立つと、注目・沈黙・失敗の3つが一気に襲ってきます。逆に設計図がしっかりしていれば、当日はその上を歩くだけになります。
目的…「何のためにやるか」を一言で言えると強い
企画書の最初に置くべきものは、レクリエーションの内容ではなく目的です。目的がはっきりしていると、途中で空気が変わっても判断が出来ます。「今日は声が出ない方が多いから、目的は“交流”より“手指の刺激”に寄せよう」「歩行が不安定な方がいるから、目的は“運動”ではなく“姿勢保持”にして座位で完結させよう」こういう切り替えが出来ます。
目的は大きく見せる必要はありません。むしろ“大袈裟な目的”は担当者を苦しめます。「全員を元気にする」「認知症を改善する」みたいな目標にしてしまうと、達成できない現実が担当者の心を削ります。現場で強い目的は、「今日の30分で出来ること」に落ちた目的です。「笑顔が1回増える」「手を動かす回数が増える」「自分の順番が来ても安心して座っていられる」。このくらいで十分です。
そしてもう1つ、目的には“利用者さんのため”だけでなく、“職員のための目的”もこっそり隠して良いんです。例えば「事故なく終える」「座位姿勢が崩れないように終える」。安全は目的の中心であり、胸を張って書いて良い目的です。
流れ…当日の迷いを消すのは「最初の3分」と「終わりの1分」
次に流れです。流れは長い説明書ではなく、時間の区切りで考えると強くなります。特に大事なのが最初の3分。ここで空気が決まります。最初の3分で「無理しない」「見ているだけも参加」「出来たら拍手、出来なくても拍手」この安心の合図を出せると、沈黙や反応の薄さが怖くなくなります。つまり、流れは“盛り上げ”ではなく“安心の設定”から始めるのがコツです。
終わりの1分も同じくらい大事です。終わりがフワッとすると、担当者は「結局うまくいかなかったのでは」と不安になりやすい。だから終わりは短く決めます。「今日は手を動かしました」「参加の形はそれぞれで大丈夫でした」「ありがとうございました」。この3行で終わるだけで、担当者の心の後味が変わります。
流れを企画書に書く時は、途中で2つの分岐を入れておくとさらに強くなります。「反応が少ない時はどうするか」「時間が余った(または押した)時はどうするか」。これが前章の“逃げ道”を企画書に落とし込む作業です。分岐が書いてあるだけで、当日のあなたは安心します。
準備…道具より先に「場」と「声掛け」を準備する
準備というと、ボールやカードや輪投げの輪など、道具のことを想像しがちです。でも本当に担当者を助ける準備は、道具より先に“場の準備”です。椅子の並び、視線の向き、通路の確保、職員の立ち位置。ここが整うと、進行のしやすさが段違いになります。道具が同じでも、場が整っているだけで事故リスクが減り、介助がしやすくなり、担当者の緊張も下がります。
そして、準備として意外に効くのが「声掛けの一言」を用意することです。例えば、始まりの声掛け、上手くできない方への声掛け、やめ時の声掛け。言葉は道具です。言葉が準備されていると、沈黙が怖くなくなります。
準備はここまでで充分に見えますが、もう1つだけ。利用者さんの情報の共有です。誰がどの動きが難しいか、どの話題に反応しやすいか、音量はどれくらいが良いか。これを事前に周囲の職員さんと一言でも共有しておくと、当日のあなたは独りになりません。レクリエーションは、準備の時点で勝ち負けが決まります。
安全…「やらない判断」が出来る企画書が一番強い
介護のレクリエーションは、楽しさと同じくらい安全が大切です。だから企画書には、安全の項目を“おまけ”にしないでくださいね。安全が具体的だと、担当者は堂々と判断できます。「立位はしない」「移動は最小限」「興奮が強い方には職員が近くにつく」「水分を途中で入れる」。こういう具体性があると、「今日は危ないから形を変えます」と言える根拠になります。
安全の中でも特に重要なのが、転倒と誤嚥、そして疲労です。激しい動きだけが危険なのではありません。声を出すだけでも疲れる方がいるし、腕を上げるだけで息が上がる方もいます。安全の項目に「途中で休憩を入れる」「顔色と呼吸を見る」「無理はしないを繰り返す」と書いてあるだけで、担当者の判断は揺れません。
振り返り…「反省会」ではなく「次がラクになるメモ」
最後が振り返りです。ここが弱い企画書は、いつまでも担当者が苦手から抜けられません。何故なら、毎回が“初挑戦”になってしまうからです。振り返りは反省会ではありません。次回の自分を助けるメモです。
例えば「開始の声掛けは短い方が落ち着いた」「ボールは軽い方が安心だった」「席順を変えると見やすかった」「終わりの拍手で雰囲気が整った」。こういう小さな気づきを残すと、次回の企画書は自然に強くなります。強くなった企画書は、担当者の緊張を減らし、失敗の怖さを減らし、沈黙を怖くなくします。結果として、レクリエーションが“苦行”から“仕事の一部”へ変わっていきます。
企画書が強いと、盛り上げ上手でなくても大丈夫になります。むしろ、盛り上げに頼らないレクリエーションの方が、現場では安定して継続できます。次の章では、この企画書を当日に“動く形”にするための進行術に入ります。声の出し方、時間の刻み方、想定外が起きた時の立て直し方。担当者の心が折れない運び方を、一緒に整えていきましょう。
第4章…当日がラクになる進行術(声かけ例・時間配分・アクシデント対応)
企画書が強くなると、当日の迷いは確実に減ります。けれど「分かってはいるけど、いざ前に立つと頭が真っ白になるんだよね…」というのも、現場のリアルです。だからこの章では、当日がラクになる“進行の型”を用意します。型があると、緊張しても体が勝手に動いてくれます。ここで目指すのは、完璧な司会ではありません。安全に、気持ちよく、一定時間で終えられること。そして、利用者さんが「参加してよかった」と感じる余白を残すことです。
声掛けの基本…「短く」「肯定から」「ゆっくり」
まず声掛け。レクリエーションが苦手な人ほど、沈黙が怖くて説明が長くなりがちです。けれど現場では、説明が長いほど不安が増えやすい。耳の聞こえ方も、理解のスピードも、人それぞれだからです。だから基本は短く、肯定から入って、ゆっくり言う。この3つだけで、空気は整います。
始まりの声掛けは、長い挨拶よりも“安心の宣言”が強いです。例えば「今からちょっとだけ手を動かします。無理はしません。見ているだけも参加です。出来たら拍手、出来なくても拍手です」。これだけで、場が柔らかくなります。担当者自身も「よし、この言葉を言えたらスタートは合格」と思えるので、緊張が落ちます。
途中の声掛けで効くのは、上手さの評価ではなく、行動の肯定です。「手が上がりましたね」「今、指が動きましたね」「見てくださってますね」。こういう言葉は、出来ない人を置いていきません。出来ない人ほど“評価される怖さ”を感じやすいので、そこを避ける声掛けが大切です。
そして、やめ時の声掛け。盛り上がっている時ほど、終わらせるのが難しい。逆に盛り上がらない時ほど、終わらせるのがつらい。だから終わりの言葉も型にします。「今日はここまで。手を動かせた方も、見てくださった方も参加です。ありがとうございます」。この型があると、終わりの後味が整います。
時間配分のコツ…「短い山」を2つ作ると失敗し難い
当日の進行で一番多いズレは、時間です。予定より早く終わる、予定より伸びる。これが担当者の不安に繋がります。だから時間配分は、長い一本勝負にしない方が安定します。おすすめは「短い山」を2つ作ることです。
例えば、前半は“慣らし”として簡単で安全な内容を置きます。後半に少しだけ変化を入れます。変化と言っても難しいことではなく、テンポを変える、声を出す要素を少し足す、拍手を入れる、道具を変える、くらいで十分です。こうすると、前半が静かでも後半で空気が動きますし、前半で盛り上がり過ぎても後半で落ち着かせられます。一本勝負より、ずっと事故が少ないんです。
それでも時間が余った時は、企画書に書いた“締めの一手”を出せばいい。例えば、最後に深呼吸を入れる、手をさすって終える、短い唱和を入れる、季節の話題を一言添える。こういう締めは安全で、しかも「ちゃんと終わった感」を作れます。
逆に時間が押した時は、途中を削る勇気が必要です。ここで助けになるのが「やる順番」と「削る順番」を事前に決めておくこと。削るのは、説明、回数、バリエーション。残すのは、安全確認と終わりのまとめ。こう決めておけば、焦っても判断がブレません。
アクシデント対応…「止める」「変える」「頼る」を恥にしない
現場は生き物です。体調が急に変わることもあれば、眠気が強い日もあるし、思わぬ興奮が起きる日もあります。アクシデントに強い担当者は、機転が利く人ではありません。「止める」「変える」「頼る」を堂々と出来る人です。
例えば、転倒リスクが高い動きになりそうなら、その場で止めていいんです。「今の動きは座ったままでいきますね」と言って切り替える。道具が上手く回らないなら、道具を使うのをやめていい。「今日は手だけでいきます」と言えばいい。反応が薄いなら、盛り上げようと頑張り過ぎず、内容を簡単にして“安心の時間”に戻せばいい。沈黙が続いても、それは失敗ではなく、参加者が受け取っている時間かもしれません。
そして、頼る。ここが一番大切です。チームで動くのが介護の強みです。途中で困ったら、合いの手担当に振ればいいし、安全確認担当に目配せすればいい。担当者が一人で抱え込むと、失敗が怖くなります。頼れる設計にしておくと、アクシデントは“想定内のイベント”になります。
「盛り上げなくていい」ではなく「盛り上がりは後からついてくる」
ここで少し、気持ちの話をします。レクリエーションが苦手な人は、盛り上げという言葉に苦しめられやすい。でも本当は、盛り上げは目的ではなく結果です。安心できる場が出来て、参加の形が守られて、安全に終えられて、その積み重ねの先に“笑い”が生まれます。
つまり、盛り上げ上手になろうとするより先に、進行が安定する人になった方が早いんです。安定する進行には、短い声掛けの型と、時間の刻み方と、止める・変える・頼る勇気が必要です。これが揃うと、あなたが無理に面白くしなくても、利用者さんの側から自然に反応が返ってくる日が増えていきます。
ここまでで、苦手意識を軽くするための準備と進行の型が揃いました。次はまとめで、もう一度全体を繋ぎ直します。苦手は才能ではなく設計で薄くなること、企画書があなたを守ること、そして小さな成功の積み重ねが自信になること。現場で使える形として、最後に綺麗に束ねていきましょう。
[広告]まとめ…小さく始めて成功を積むと苦手はちゃんと薄くなる
レクリエーションが苦手だと感じるのは、あなたの性格が向いていないからではありません。多くの場合、注目を一身に受ける緊張、反応が薄い時に襲ってくる沈黙の怖さ、そして安全や進行の失敗を背負い込む重さが、同時に圧し掛かっているからです。苦手意識は気合いで消すものではなく、構造を変えて薄くするもの。この記事でお伝えしてきたのは、そのための現場向けの設計です。
まず、緊張を軽くする土台として「役割分担・短い台本・逃げ道」の3点セットを整えること。これだけで、レクリエーションが“一人芸”から“チームの作業”へ変わり、視線の集中や沈黙の怖さが和らぎます。次に、企画書を強くすること。目的を大げさにしないで、今日の時間で達成できる範囲に落とす。流れは最初の3分と終わりの1分を型にして、途中の分岐も用意しておく。準備は道具より先に場を整え、声掛けの一言を決めておく。安全は最優先の目的として具体的に書き、振り返りは反省会ではなく次回の自分を助けるメモにする。ここまで揃うと、当日は“迷わない自分”が残ります。
そして当日の進行は、盛り上げようと頑張るより、短く肯定から入る声かけと、時間を刻む運び方、止める・変える・頼る判断で安定させる。盛り上がりは目標ではなく結果です。安心が積み上がるほど、利用者さんの反応は自然に返ってくる日が増えていきます。だから最初から大成功を狙わなくて大丈夫です。小さく始めて、事故なく終える。見ているだけの参加も守る。終わりを綺麗に閉じる。その成功を1回ずつ増やしていく。それが実績になり、自信になり、苦手意識は確実に薄くなっていきます。
最後に、少しだけ背中を押させてください。レクリエーションは「上手い人だけがやる特別な仕事」ではなく、「利用者さんの生活を整える、介護の大事な一場面」です。あなたが企画し、場を整え、無理なく終えられたその時間は、利用者さんにとっても、チームにとっても、ちゃんと価値があります。今日のレクリエーションが終わった後、もしあなたが少しでも「思ったよりレクを回せたな」と感じられたなら、それはもう立派な一歩です。次は狙って同じ型でいきましょう。続けるほど、あなたのレクリエーションは安定して、やがてあなたらしい“場の作り方”に育っていきます。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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