高齢者レクリエーションの乾布摩擦~タオル1枚の「安全な使い方」大作戦~

[ 介護現場の流儀 ]

はじめに…タオルは優しい…はずが、たまにラスボス

乾布摩擦って、レクリエーション案を募集すると不思議なくらい名前が上がりますよね。準備はタオル1枚、道具は軽い、場所も取らない、しかも昔からの健康法。まるで「簡単・安心・みんな知ってる」の三拍子が揃った優等生です。現場で忙しい時ほど、この手の優等生は神々しく見えてしまう。分かります。私も一度、タオルに敬礼しかけました。

でも、ここで一回だけ立ち止まりたいんです。乾布摩擦って、やってみると案外“刺激が強いレク”なんですよね。擦ってポカポカ、血行が良くなった気がする、表情が明るくなる。ここまでは良い話。ところがその裏で、「肌が赤い」「痒い」「蕁麻疹っぽい」「夜に眠れない」「疲れてぐったり」みたいな、イヤな副作用の顔もチラチラ出てきます。タオルは優しい顔で近づいてくるのに、油断した瞬間に“摩擦の修行僧”みたいな厳しさを見せてくるんです。何それ、話が違う。

特に高齢者の肌は、若い頃と同じ感覚で扱うとズレが出ます。乾燥しやすい、薄い、回復に時間がかかる、体温調整もしんどくなりやすい。そこへ「よーし元気にこすろう!」と勢いを乗せると、体の側が「ちょ、待って、今それは無理!」と小さく悲鳴を上げがちです。冬は寒暖差と乾燥でダメージが増えやすいし、夏は汗で皮膚がふやけて摩擦に弱くなる。つまり一年中、油断の隙がある。タオル、年中無休で試練を用意してきます。

だからこのリメイク記事では、乾布摩擦を「やる/やらない」の二択で終わらせません。タオル1枚を“安全に使う”という方向に、発想をひっくり返していきます。乾布摩擦という名前に引っぱられ過ぎず、「何のために」「どのくらい」「誰に」「どんな条件で」やるのかを整えて、ちゃんと記録して、結果が見える形にする。そうすると、乾布摩擦はラスボスではなく、仲間になってくれます。たぶん。きっと。いや、こちらが主導権を握れば大丈夫です。

そして何より、レクリエーションは“楽しい”が土台です。安全に気を配るのはもちろん大事。でも空気がピリピリし過ぎると、楽しい時間が「保健体育のテスト」みたいになってしまいます。笑いながら、ふんわり進めながら、それでも目的と観察だけはきっちり押さえる。そんな「タオル1枚の平和的レク運用」を、一緒に組み立てていきましょう。次章から、メリットと注意点の棚卸しをして、目的の立て方を整えて、現場で使える形にしていきます。タオルに振り回されないために、こちらが先に作戦会議です。

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第1章…乾布摩擦は簡単だけど油断禁物~メリットと注意点の棚卸し~

乾布摩擦が現場で愛される理由って、割りと単純です。タオルさえあれば始められて、特別な準備もいらない。しかも「昔から身体に良いって聞いたことがある」という安心感がある。つまり、忙しい日の救世主になりやすいんですね。何かやりたい、でも大掛かりな準備は出来ない、今日は体操の流れで軽めにまとめたい。そんな時、乾布摩擦の“手軽さ”がキラッと光ります。タオルが救世主のマントを羽織って見える瞬間です。

ただし、この手軽さには落とし穴もあります。乾布摩擦は、見た目以上に「刺激を入れる行為」だからです。軽い体操のつもりで始めたのに、終わる頃には皮膚が赤くなっていたり、痒みが出たり、本人が思った以上に疲れてしまったりすることがある。要するに、タオルは軽いけれど、やっている内容は軽くない場合があるんです。タオルを持った瞬間は綿の優しさ、終わった後に残るのは摩擦の現実。ギャップが大きいほど、事故の芽が育ちます。

では、乾布摩擦の「良いところ」は何か。一言で言うなら、全身にほど良い刺激を届けられるところです。皮膚には触覚があって、触れられることで身体は「今ここ」を感じやすくなります。腕や背中や脚など、普段は意外と意識し難い場所に“存在感”が戻る。さらに、タオルを動かすことで腕や肩の動きが引き出され、姿勢が少し起きたり、呼吸が深くなったりすることもあります。乾布摩擦が上手くハマった日は、終わった後に表情が明るくなって「なんか体が目覚めたわ」と笑ってくれる。ここは確かに魅力です。

しかし、その魅力は「やり過ぎない」ことが条件になります。ここからが注意点の棚卸しです。まず大前提として、高齢者の皮膚は乾燥しやすく、薄くなりやすく、回復に時間が掛かりやすい。若い頃の感覚でこすると、摩擦の刺激が強く出過ぎてしまいます。赤くなる、熱を持つ、痒くなる、ひどいと掻き壊しに繋がる。本人がその場で「大丈夫」と言っていても、夜になってから痒みが増して眠れなくなることもあります。レクで笑顔が増えたのに、夜は寝不足で不機嫌になる。これは笑い話ではなく、地味に体力を削るパターンです。

次に季節の罠があります。冬は乾燥と冷えで皮膚が弱りやすく、少しの摩擦でも荒れやすい。暖かい部屋でやっていても、廊下との温度差、トイレに立った時の冷え込みなど、体温調整が追いつかないことがあります。夏は夏で汗が曲者です。汗で皮膚がふやけると、摩擦に弱くなってダメージが出やすい。つまり、「冬は乾燥が敵、夏は汗が敵」。タオルは一年中、敵と組んでこちらを試してきます。

さらにもう1つ、見落とされがちなのが姿勢とバランスです。乾布摩擦は“こする”動作なので、腕だけ動かしているようでいて、実は体幹も使います。座った姿勢で背中にタオルを回すと、体が左右に揺れたり、前屈みになったり、片側だけ頑張り過ぎたりする。筋力差がある方、片麻痺がある方、腰や肩に古い痛みがある方は、特に動きが偏りやすいです。本人が「届かないから強く引っ張る」みたいな工夫をし始めたら要注意で、肩や腰に無理が掛かります。タオルは優しい顔をして、関節には厳しい課題を出してくることがあるんです。

ここまで読むと、「じゃあ乾布摩擦って危ないからやめた方が良いの?」と思うかもしれません。でも第1章の結論は、やめる・やるの前に“棚卸しして主導権を握ろう”です。乾布摩擦の良さは、触れる刺激と、軽い運動要素を同時に扱えること。注意点は、皮膚と季節と姿勢の3点セットで事故の芽が出やすいこと。つまり、乾布摩擦は「雑にやると危ないが、設計してやると化ける」タイプの題材です。

そしてここが、現場向けの大事な感覚なんですが、乾布摩擦をそのまま“ゴシゴシ体操”としてやろうとすると難易度が上がります。だからこそ、この章ではまず「乾布摩擦=強く擦るもの」という思い込みをいったん外しておきましょう。タオルの役目は、擦るだけじゃない。触れる、包む、ゆっくり動かす、温度を整える、姿勢を支える。タオルは本来、万能選手です。次章では、この万能選手をどういう目的で起用するのか、つまり「何のためにやるのか」を先に決める作戦会議に入ります。タオルに主導権を握られる前に、こちらが監督になります。


第2章…何のためにこする?~「目的が先、やり方は後」の鉄則~

乾布摩擦って、やり方の説明はみんな知ってるんですよ。タオルで体を擦る、背中も擦る、最後にポカポカ。はい終了。ところが現場で困るのは、その“はい終了”の後なんです。じゃあ今日は何が良くなったの? 何を狙ってやったの? 誰にどんな変化が出たの? ここが曖昧だと、乾布摩擦は途端に「タオルで遊んだ日」になってしまう。タオル本人も困ります。「え、私、今日は何担当でした?」って顔をします。だから第2章の合言葉はこれです。目的が先、やり方は後。レクリエーションにした瞬間、乾布摩擦は“健康法”から“ケアの道具”に変わるので、使い方も変えないといけません。

まず大きく考えると、乾布摩擦に期待されやすい目的は4つに分かれます。皮膚への刺激、保温、運動(筋力や拘縮へのアプローチ)、姿勢やバランス。ここを混ぜたままスタートすると、だいたい事故か、だいたい空振りになります。狙いが散ると、タオルの動きが荒くなり、見守りもぼんやりし、最後に「なんか良かった気がする」で終わる。これ、気がするだけで終わるやつです。せめて今日は何の回なのか、タオルに名札を付けてあげましょう。「本日の担当:皮膚にやさしく触れる係」みたいに。

皮膚への刺激を目的にするなら「擦らない勇気」が勝つ

皮膚刺激を狙う時に一番大事なのは、強さではなく“丁寧さ”です。高齢者の皮膚は乾燥しやすく、刺激に弱く、回復もゆっくり。ここにゴシゴシを入れると、健康どころか「痒みの夜」が始まります。レクリエーションの最後に笑っていたのに、夜中に掻いて起きる。翌日眠そうで、食欲も落ちる。これ、割りと現実的に起こるので笑い事ではありません。

皮膚刺激を目的にするなら、乾いた布で摩擦を起こすよりも、“触れる”方向に寄せた方が安全です。例えば柔らかめのタオルで、腕や脚をフワッと包むように撫でる。関節周りは「ここを動かすと気持ち良いですよ」と声を掛けながら、本人が動かしやすい範囲で一緒に動かす。赤くなるまでやるのはアウトで、目安は「気持ち良くて眠くなる」くらいがちょうど良い。乾布摩擦という名前に引っぱられず、タオルを“感覚を目覚めさせる道具”として扱うのがコツです。

ここで1つ提案です。皮膚刺激を目的にした日は、タオルの名前をこっそり変えてください。乾布摩擦じゃなくて「タオルでフワッと体確認タイム」。名前が変わると、スタッフの手つきも変わります。ゴシゴシ係から、安心係になります。

保温が目的なら乾布摩擦は主役じゃなくて助演が向いている

「冷えるから乾布摩擦で温めましょう」という発想は分かりやすいんですが、効率で見ると少しズレます。保温って、摩擦熱だけで解決しようとすると負担が大きいんです。しかも冬場は乾燥がセットで来るので、擦れば擦るほど皮膚が荒れやすい。温めたいのに、肌が荒れて別の悩みが増える。タオルがやたら働いたのに、結果が微妙。悲しい。

保温が目的なら、まずは環境と衣類と時間帯で勝った方が早いです。室温を整える、足元を温める、温かい飲み物の時間を作る、入浴や足浴のタイミングを工夫する。乾布摩擦は、その“仕上げのひと押し”くらいにしておくと安全です。つまり主役ではなく助演。タオルに言うなら、「君は盛り上げ役で良い、全部背負わなくて良い」です。タオルも泣いて喜びます。

運動(筋力・拘縮)を狙うなら乾布摩擦より「タオル体操」に変換する

運動が目的なら、乾布摩擦そのものよりタオルを使った体操の方が相性が良いです。理由は単純で、摩擦の強さは人によってバラつくけど、体操なら動きの範囲や回数を整えやすいからです。肩が上がり難い人は無理に上げなくて良いし、肘が伸び難い人は伸びるところまでで止める。スタッフの声掛けで調整できる。ここが大きい。

しかもタオル体操は、本人の「やった感」が出やすい。背中に回す、引っ張り合う、握る、ゆっくり伸ばす。これだけで上肢の動き、体幹の意識、呼吸の深さが変わることもあります。ただし注意点は、反動で引っ張り過ぎないこと。過去の骨折や変形、肩の痛みがある人は多いので、勢いをつける動きは危険です。ゆっくり、止まって、呼吸して。タオルは“引っ張る道具”ではなく、“動きを案内する道具”として使うのが安全です。

姿勢やバランスが目的なら「擦る」より「支える・整える」が合う

姿勢やバランスを狙う場合、乾布摩擦はちょっと玄人向けになります。背中を擦ろうとして身体が左右に傾く、腕を無理に回して体幹が崩れる、座位が不安定になる。こういうことが起きやすいからです。だから姿勢目的の時は、摩擦よりも「タオルで姿勢を作る」方向が安全です。

例えば胸を開くようにタオルを前で持って、肩甲骨を寄せる感覚を作る。骨盤を立てるために、タオルを軽く丸めて座面の調整に使う。片麻痺がある方は、麻痺側の腕の扱いに注意して、肩に負担が掛からないようサポートする。こういう“整える使い方”は、見守りもしやすく、事故が起き難い。姿勢が整うと呼吸も入りやすくなるので、結果として表情も明るくなりやすいです。タオルが急に理学療法士みたいな顔をしてきます。

目的が決まると「やって良いライン」も決まる

ここまでの話をまとめると、乾布摩擦をレクに入れる時は、先に「今日は何を狙う日か」を決めた方が安全で、結果も見えやすいということです。皮膚刺激が目的なら、赤くするのではなく安心させる。保温が目的なら、環境で勝ってタオルは助演。運動が目的なら、摩擦よりタオル体操。姿勢が目的なら、擦るより整える。目的が決まると、やり方も自然に優しくなりますし、スタッフ間の声掛けも揃います。

そして最後に、ちょっと現場っぽい提案を1つ。乾布摩擦をやる前に、参加者みんなで合言葉を言ってから始めると事故が減ります。「今日はゴシゴシしない日」「赤くしない、熱くしない」「気持ちよく終わる」。言葉にすると手が止まります。タオルの暴走も止まります。タオルは道具ですが、現場では“雰囲気”に引っぱられる生き物みたいなところがあるので、最初に空気を整えるのが効きます。

次章では、ここで決めた目的を“現場で実行できる安全設計”に落とし込みます。つまり、どのくらいの強さで、どの姿勢で、どう見守って、どんなサインが出たら止めるのか。タオル1枚で平和に終わるための、具体的な作戦に入っていきましょう。

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第3章…レクでやるならここだけ守ろう~安全設計と見守りポイント~

第2章で「目的が先、やり方は後」と決めました。ここからは現場モードです。目的が決まっても、手が勝手にゴシゴシし始めたら元も子もありません。タオルは万能だけど、万能過ぎて油断すると暴走します。だから第3章は、タオルに“安全運転免許”を取らせる章です。

安全設計のスタートは「始める前の確認」から

乾布摩擦やタオルレクで一番大事なのは、実はスタート前の30秒です。ここで勝負が決まります。見ておきたいのは、参加者の表情と皮膚の様子、そしてその日の体調の雰囲気です。

いつもより眠そう、機嫌が悪い、顔色が違う、やたら汗ばんでいる、寒がっている。こういう“いつもと違う”がある日は、乾布摩擦を頑張る日ではなく、優しい触れ合いで終える日です。ここで無理すると、タオルがレク道具から「根性試しグッズ」に変身します。現場で一番いらない変身です。

皮膚も同じで、既に赤みがある、乾燥して粉っぽい、掻いた跡がある、かぶれっぽい。こういう状態の時は「擦る」じゃなく「触れる」に寄せた方が安全です。タオルの出番はあります。ただし役は変えます。今日は摩擦係ではなく、安心係でお願いします、というやつです。

タオル選びで8割決まる

乾布摩擦って「タオル1枚で出来る」が売りですが、逆に言えば、その1枚の質で結果が大きく変わります。硬いタオルで元気に擦ると、皮膚は簡単に負けます。柔らかいタオル、肌当たりの良い素材、なるべくチクチクしないもの。これだけで事故率がグッと下がります。

そして地味に大事なのが“清潔”です。タオルって優しい顔をして、たまに菌の乗り物になりがちです。使い回しが疑われるだけで、タオルの信用が落ちます。信用を失ったタオルはただの布。悲しい。だからこそ「個別」「清潔」「交換しやすい」を前提にした運用が一番強いです。

「強さ」より「速さ」と「時間」を管理する

現場で事故が起きるパターンはだいたい同じです。やる気が出て、速くなって、強くなって、いつの間にか本人が我慢している。これで皮膚が赤くなったり、痒みが出たり、疲れたりします。

対策はシンプルで、強さを口で管理しようとするより、速さと時間を管理した方が安定します。ゆっくり、短く、気持ち良く。これだけで良い。もし目安を作るなら、「1か所を長くやらない」「体全体で短時間に終える」「終わった後に赤くならない」を合言葉にします。数字で縛るより、状態で判断する方が高齢者レクは上手くいきます。

ここで1つ、現場のユーモア技があります。スタッフが自分の腕に同じタオルで軽く触れて「これくらいの圧ですよ」と実演するんです。言葉で「優しく」と言うより伝わります。タオルが急に先生になります。

見守りのコツは「本人のサイン」と「空気の変化」を拾うこと

乾布摩擦系レクの難しいところは、本人が遠慮して言わないことがある点です。「痛い」「痒い」「疲れた」を飲み込む方がいます。だから見守りは、声よりも表情や動きの変化を拾うのが大事です。

例えば、笑いが止まって真顔になる、呼吸が浅くなる、動きが急に雑になる、肩を竦める、身体を引く。こういう変化が出たら、そこで方向転換します。「擦る」から「触れる」に変える。あるいはタオルを置いて、深呼吸や軽いストレッチで終える。レクは勝ち負けじゃないので、途中で変えて良いんです。むしろ変えられる現場が強いです。

そして忘れちゃいけないのが、片麻痺や肩の痛みなど“動きの偏り”がある方への配慮です。背中にタオルを回す動作は、体幹が崩れやすく、肩に負担が出やすい。ここで頑張らせるより、姿勢が整う範囲の動きにして、出来る側に頼り過ぎないように声を掛ける。タオルは筋トレ器具ではなく、動きを案内する道具です。案内係が迷子になったら危ないので、案内は短く、分かりやすくが正解です。

「やめ時」を決めておくと皆が安心する

安全なレクほど、やめ時が明確です。逆に事故が多いレクほど、やめ時が曖昧です。乾布摩擦はその代表格になりやすいので、始める前に「こうなったら今日はここまで」を決めておきます。

皮膚が赤くなる、本人が痒がる、疲れが見える、息が上がる、姿勢が崩れる。こういうサインが出たら、すぐ“別メニュー”へ移行する。移行先は、タオルを畳んで終わりでも良いし、温かい飲み物の時間にしても良いし、手の平で軽く触れるだけにしても良い。大事なのは「切り替えが自然」なことです。切り替えが上手いチームは、タオルが暴走しません。タオルがチームを尊敬し始めます。

ここまで整うと乾布摩擦は「怖いもの」から「使える道具」に変わる

乾布摩擦が怖く感じるのは、擦り方が怖いというより、目的がぼんやりしていて、強さが人任せで、やめ時がないからです。逆に言えば、目的が決まっていて、タオルが選ばれていて、速さと時間が管理されていて、見守りと切り替えが出来るなら、乾布摩擦はちゃんと“現場向けの道具”になります。

そして次章では、ここで整えた安全設計を土台にして、「乾布摩擦だけが正義じゃない」方向へ進みます。タオルは擦る以外にも、包む、支える、整える、遊ぶ、いろいろ出来ます。乾布摩擦に似た“良いところ”だけ取り出して、もっと平和に、もっと楽しく。タオルの本領発揮は、むしろここからです。


第4章…乾布摩擦だけが正義じゃない~タオル活用レクの平和ルート~

さて、乾布摩擦という言葉に引っぱられている間は、どうしても「擦る」が主役になります。でも、ここまで読んでくださったあなたはもう気づいているはずです。タオルは“こする専用アイテム”ではありません。むしろ、擦る以外の方が得意分野が多い。乾布摩擦がラスボス化しやすいのは、タオルの能力のうち「摩擦」という危なめのスキルだけを連発してしまうからです。だったら、平和なスキルを使いましょう。タオルは回復魔法も補助魔法も使えるタイプです。強攻撃だけが正義じゃない。ここが第4章です。

「触れる」をレクにすると笑顔が長持ちする

乾布摩擦の良いところは、全身に触れることで身体の感覚が目覚めやすいところでしたよね。ならば、擦らずに“触れるだけ”で良い日が、実はけっこうあります。特に乾燥肌が強い方、痒みが出やすい方、皮膚トラブルの既往がある方は、触れるだけの方が安全で、効果も安定します。

ここで提案です。タオルをたたんで「フワッと手の平」にして、腕や脚に軽く当てる。押すでもなく、擦るでもなく、当てて離す。これだけで「温かい」「安心する」「眠くなる」という反応が出る方がいます。レクとして成立するの?と思うかもしれませんが、成立します。何故なら、高齢者レクの成功は“派手さ”ではなく、“終わった後に体調が崩れない”にあるからです。タオルがやさしく働いた日は、夜も穏やかに終わりやすい。タオル、功労者です。

保温は「摩擦」ではなく「包む」で勝てる

冷えが気になる時、乾布摩擦で熱を起こそうとすると、頑張るほど皮膚に負担が来やすい。そこでタオルの真価は「包む」です。肩にかける、膝に乗せる、足首を巻く。これだけで体感温度が変わる方は多いです。摩擦熱より、保温の方が安定して優しい。タオルの本職は、実はこっちかもしれません。

さらに“包む”は心理的にも効きます。身体が包まれると、安心して呼吸が深くなる方がいます。呼吸が深くなると、顔色も整いやすい。つまりタオルは、暖房器具ではなく安心器具としても働ける。タオル本人は「本気出してきたな」と言わんばかりの顔です。

運動は「引っぱる」より「案内する」で安全に回る

乾布摩擦から運動へ繋げたいなら、タオル体操に変換するのが一番平和です。ただし注意したいのは、タオル体操がいつの間にか“引っぱり合い大会”になること。力が入ると反動が出て、肩や腰を痛めやすい。だから運動目的のタオルは、「抵抗」より「案内」で使います。

例えば、タオルを両手で持って胸の前でフワッと広げるだけでも、肩甲骨が動きます。背中が丸まりやすい方は、胸を開く意識が入りやすい。座位が崩れやすい方は、タオルを軽く握るだけで手の位置が安定し、姿勢が整いやすい。動作の“正解”を増やすより、身体が安全に動ける“範囲”を作る。これがタオル運動の勝ち筋です。

ここでちょっと面白い演出も出来ます。タオルに役名を付けるんです。「姿勢ガイドさん」「深呼吸の案内係」「肩こりの見張り番」。役名があると、スタッフも利用者さんも目的が共有されて、動きが雑になり難い。タオルがただの布から、キャラクターに昇格します。レクはこういう“遊び心”が大事なんですよね。

「背中が届かない問題」は擦らず解決できる

乾布摩擦で背中を擦る時、姿勢が崩れたり、肩に負担が出たりしやすいという話をしました。ここ、現場あるあるですよね。「背中が届かない」「回すとぐらつく」「頑張って引っ張ってしまう」。この問題、擦らずに解決できます。

背中へのアプローチは、タオルを背中に回して“軽く当てる”だけでも十分な方がいます。あるいは、背中ではなく肩甲骨周りの動きをタオル体操で作ってしまう。背中を直接攻めるより、背中が動く環境を作る。これ、結果的に安全で、しかもレクとして分かりやすい。タオルが理屈っぽい先生みたいな顔をしてきますが、やっていることはシンプルです。

乾布摩擦に拘らない方が乾布摩擦の良さが残る

不思議な話ですが、乾布摩擦を「絶対やるぞ」と決めるほど事故が増えやすく、「今日はタオルで気持ちよく終わろう」と決めるほど結果が安定しやすいんです。乾布摩擦という言葉に縛られると、摩擦が増えます。摩擦が増えると、皮膚も心も摩擦が増えます。レクで増やしたいのは笑いであって、摩擦ではありません。タオルの仕事は、場を温めること。皮膚を削ることではない。ここ、声を大にして言いたいところです。

だから第4章の結論はこうです。乾布摩擦が合う日もある。でも、タオルの能力はそれだけじゃない。触れる、包む、案内する、整える。平和なルートの方が、継続しやすく、体調も崩れ難く、現場の空気も穏やかです。そして、その上で「今日は乾布摩擦に少し寄せてみよう」という判断が出来るようになると、乾布摩擦はラスボスではなく“必要な時にだけ呼べる味方”になります。

次はいよいよまとめです。タオル1枚を、どう計画し、どう実施し、どう記録して、次に活かすか。笑って終わって、翌日も元気で、しかも振り返りが出来る。そんなレクに仕上げていきましょう。

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まとめ…擦る前に計画化して擦った後に記録~PDCAで笑顔を長持ちさせる~

乾布摩擦は、タオル1枚で始められる分「気軽で便利」な反面、気づかないうちに刺激が強くなりやすいレクリエーションです。高齢者の皮膚は乾燥しやすく、季節の影響も受けやすいので、勢いでゴシゴシすると赤み・かゆみ・疲れに繋がることがあります。タオルは優しい顔をして近づいてきますが、扱い方次第では突然スパルタ教官にもなる。だからこそ、タオルに主導権を握られない工夫が大切でした。

この記事で一番伝えたかったのは、「目的が先、やり方は後」です。皮膚への刺激を狙う日なのか、保温の補助として使う日なのか、運動に繋げる日なのか、姿勢を整える日なのか。目的が決まると、自然と手つきが変わり、「擦る」より「触れる」「包む」「案内する」へ寄っていきます。すると不思議と、レクの空気も穏やかになり、終わった後に体調が崩れ難くなります。タオルが“味方の顔”に戻ってくる瞬間です。

明日からの現場で迷ったら、まずは3つだけ思い出してください。1つ目は、タオルの役名を決めてから始めることです。今日は安心係、今日は姿勢ガイド、今日は軽い体操の案内係。名前がつくと手が暴走し難くなります。2つ目は、速さと時間を落として「気持ちよく終わる」ことです。赤くしない、熱くしない、疲れさせない。ここを守ると夜のトラブルが減りやすいです。3つ目は、やめ時を先に決めておくことです。表情が曇る、呼吸が浅い、姿勢が崩れる、痒がる。そのサインが出たら、擦るから触れるへ、あるいは別メニューへ。切り替えが上手いチームほど、安全に楽しく続きます。

そして最後に、レクリエーションは“楽しかった”で終わっても良いのですが、現場の強さは「次に活かせる」ことで伸びます。今日の目的、参加者の反応、皮膚の様子、次回の工夫点。ほんの一言でも残せば、タオルはただの布ではなく「積み上がるケアの道具」になります。擦る前に計画して、擦った後に記録して、次はもっと穏やかに笑えるようにする。タオル1枚で、ちゃんと平和に、ちゃんと楽しく。これが乾布摩擦レクの一番美しい着地です。

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