秋にそっと足すプラスワン習慣でおうち時間をやわらかく整える
目次
はじめに…急な変化の後だからこそ季節に合わせて気分を上向きに
この数年で、私達の暮らしは否応なく形を変えました。外に出るにも気を遣い、人と会うにも距離を計り、家で過ごす時間がいっそう長くなる…。そうした日々は「頑張っているつもりはないのに、何となく疲れる」という積もり方をしやすいんですよね。気づいたら、楽しむよりも「整える」「守る」ことばかりに意識が向いてしまった、という方も多いのではないでしょうか。
でも、季節は待ってくれません。秋は静かで落ち着いた時間が流れるのに、食べ物も景色もオシャレも楽しいことが増えるという、ちょっとお得なシーズンです。大きなイベントをしなくても、普段の生活にちょっとだけ色を足すと「まだ楽しめることがあったんだ」と心が動きやすくなります。ここでいう「ちょっとだけ」は、部屋を丸ごと模様替えするとか、家電を一気に買い替えるといった大仕事ではありません。毎日目に入るところに、1つ、心地良い物を置いてみる。そのくらいのやさしい変化です。
秋に1つ足すことのいいところは、無理をしなくても季節感が味方してくれる点です。光が柔らかくなり、食卓に温かい色が増え、服も落ち着いた色になりますよね。そこに「プラスワン」を乗せると、同じ家・同じ人・同じ暮らしなのに、何故か整って見えるようになります。気分がふんわり上がると、身嗜みや家の中もそれに引っぱられますから、いい流れが作りやすくなります。
とはいえ、急な変化にはもうお腹いっぱい…というお気持ちもあるはずです。ですからここでは「たくさん変えましょう」ではなく「1日に1点未満でいいので、秋らしい心地良さを足していきましょう」という考え方でお届けします。小さく始めて、小さく続ける。続けているうちに、気分と環境が同じ方向を向く。そんなやり方なら、今の生活リズムを壊さずに済みます。
この後の章では、まずここ数年で揺れた日常を軽く振り返り、次に家の中で出来るささやかな気分転換、さらに秋ならではの楽しみ方、最後に長く続けるコツをお話ししていきます。どれも、今日から試せるものばかりです。読みながら「これは出来そう」「これはうちの玄関に合うかも」と、頭の中でお部屋を散歩させるような気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。
[広告]第1章…コロナで揺れた日常を一端振り返ってみる
令和2年に始まった感染症の流行は、私達の生活の「当たり前」を大きく揺らしました。朝起きて身支度をして、電車に乗って、人と顔を合わせて仕事をする――そんな流れが急に出来なくなり、代わりに在宅での仕事や、外出を控える暮らしが続きましたよね。家の中で過ごす時間が増えたこと自体は悪いことではないのですが、「急に」「一気に」「長く」続いたことで、心の中にジワジワと疲れが溜まった方は多かったはずです。
何が辛かったかと言えば、行動だけでなく、気持ちの置き場が変わったことです。人と会うときは距離をとる、外に出るときはマスクを選ぶ、混んでいる場所は避ける。どれも大事なことでしたが、知らない間に「いつも少し緊張している」状態になっていました。特に、すれ違う人を気にする・入店をためらう・家族にうつさないように気をつけるといった場面では、ほんの数分の出来事なのに心は何度もブレーキを踏むことになります。これが半年、1年と続けば、体は慣れても心はゆっくり疲れていきます。
しかもこの時期の変化は、本人が望んで始めたものではなく、「社会全体がそうなったから」という外側の理由が多かったですよね。自分で選んだわけではないのに生活リズムを変えざるを得ないと、人は「仕方ない」と受け入れながらも、どこかで「いつ元に戻るのだろう」と戻る日を待ちます。ところが、思っていたほどすぐには戻らず、マスクもオンライン会議も、長く付き合うものになっていきました。戻らない日常に、戻る前提で頑張っていた――そのズレが、心の重さに繋がっているのだと思います。
さらに、家にいる時間が長くなったことで、今まで気にしなかったことまで目に入るようになりました。散らかりやすい場所、照明の暗さ、玄関の寂しさ、洗面周りの使いにくさ…。目に入る回数が増えると「ここ、もうちょっと何とかしたいな」と感じやすくなります。でも一方で、外出を控えていたので大掛かりな買い替えや模様替えはしづらい。気になるのに動けない――この小さなストレスもまた積み重なっていきました。
こうして振り返ると、この数年は「頑張ったこと」「控えたこと」「見なかったこと」がギュッと詰まっています。どれも生活を守るための大切な選択でしたが、その分「楽しみのために何かを足す」という方向の行動が後回しになっていました。だからこそ、季節が1つ進んで空気がしっとりしてくる今、ほんの少しだけ自分の方から暮らしに色を足してあげると、思っている以上に気分が変わります。
大切なのは「大きく変えなくていい」と知ることです。私達は既に、急な変化を一度経験しています。もう一度あの規模の変化を自分の手で起こす必要はありません。そうではなく、普段、目にしている場所に季節の物を1つ置く、使う道具を1点だけいいものに替える、といったやさしい階段を用意してあげること。そうすれば、これまで「守る」ことに向けていた意識を、少しずつ「楽しむ」「整える」という方向にも振り分けていけます。
この後に続く章では、そのための小さなヒントを秋らしい形でご紹介していきます。全てを真似しなくても構いません。今の自分の暮らしに合うものを、1つだけ持ち帰ってもらえたら、それで十分です。
第2章…無理のない小さな変化でお家の空気を明るくする
家で過ごす時間が長くなると、一番身近な場所であるはずの「自宅」が、気づかないうちに作業場みたいになってしまうことがあります。食事も仕事も身の回りのことも全部ここで済ませるようになると、生活の場とオンの場がくっつき過ぎて、心が休む場所が見つけ難くなるんですね。そんな時に役立つのが、「小さな変化を1つだけ足す」というやり方です。大がかりな模様替えではなく、日常にスッと溶け込むくらいの優しい手当てをしてあげるイメージです。
例えば、朝一番に目に入る場所を少しだけ整えてみる。ダイニングテーブルの上、キッチンの一角、玄関の棚、洗面台の傍――こうしたところは一日に何度も視界に入ります。ここが乱れていると、そのたびに「あ、片付けなきゃ」と頭のどこかで思ってしまい、知らない間に気力を消耗します。逆にここがスッキリしていたり、小さな花が一輪あるだけで、「今日もまあいいか」という気分に変わります。人は、よく見る場所から影響を受ける生き物だからです。
秋は色味が落ち着く季節なので、ここに温かい色を1点足すだけでも雰囲気が変わります。オレンジがかった小さな花を飾る、木目のトレイを置く、金色が入った小物を1つ添える。たったそれだけでも、夏の慌ただしさとは違う「秋のリズム」が部屋に流れ始めます。これが大事で、部屋に季節のリズムがあると、人の行動もそこに寄り添いやすくなるんです。なんとなくゆっくり座りたくなったり、温かい飲み物を用意したくなったり、夜を静かに過ごしたくなったり。行動が落ち着くと、気持ちも自然と落ち着きます。
もう1つのポイントは、「頑張ってるように見えない工夫」にすることです。例えば、毎日花を生ける、毎日アロマを替える…といった習慣はとても素敵ですが、慣れていない人にとっては少しハードルが高いですよね。そこで、秋の間だけ続けられるミニ企画にしてしまうと楽になります。「今月だけ玄関に季節の植物を置く」「涼しくなったら洗面台の香りを変える」「週末だけテーブルクロスを落ち着いた色にする」。これなら、忙しい日が続いても「今はそういう時期だから」で続けやすくなります。
家族がいるご家庭なら、挨拶のトーンを少し明るくするだけでも空気が変わります。声を少し弾ませる、目を合わせる時間を一瞬でも長くする、それだけで「この家は今日も大丈夫」という安心感が部屋の中に広がります。秋は夕暮れが早くなる分、ちょっとした寂しさを感じやすい季節でもありますから、人の温もりを伝えるタイミングを1つ増やしておくと、心の冷えを防ぐことが出来ます。
身嗜みも同じです。マスクや消毒が日常になった分、顔周りの清潔感に気を配ると一段と気分が上がります。歯磨きに道具を足してみる、眉周りを整える、マスクの色や素材を秋っぽくする。どれも大きな買い物ではありませんが、「自分のことを雑に扱っていない」という実感が生まれます。自分を丁寧に扱えると、家も丁寧に扱いたくなり、その逆もまた起こります。家と自分が同じ方向に整っていくと、暮らしが落ち着いて見えてくるんですよね。
つまり、この章で伝えたいことは「小さくていいから、よく目に入る場所から順番に秋の気配を足していこう」ということです。家中を一度に変える必要はありません。むしろ、一度にやろうとすると疲れてしまいます。1か所を整えたら、そこでしばらく暮らしてみる。心地良いと思えたら、次の場所にも同じ温度で手を入れる。そうやって少しずつ広げていくと、ある日ふと「家、ちょっといい感じになってる」と気づく瞬間が来ます。そこまでいけば、暮らしの方があなたに寄り添ってくれるようになります。
第3章…秋だから楽しめる物・事のプラスワンアイデア
ここまでで、「お家の空気をちょっと明るくする」ための小さな整え方をお話ししてきました。ここからは、秋という季節ならではの楽しみを、生活にスッと差し込むお話をしていきます。難しいものはありません。家にいながらでも手に取れるもの、買い足すとしても1点なら負担にならないもの、そして毎日使っていても飽き難いものを中心にしていきますね。
秋は、色と光が落ち着いていく季節です。夏のように強く主張する色よりも、少し深みのある赤や茶、金、ベージュ、オレンジなどが似合います。ですから、まずは目に入る場所に「秋らしい色をまとった何か」を置いてみると、一気に雰囲気が変わります。例えばテーブルに置くマグカップをこっくりした色にする、クッションカバーだけ温かそうな素材に替える、玄関マットを秋らしい柄にする。たったそれだけなのに、家に帰ってきた時の印象が「秋の家」になります。これは、季節を感じる物が視界に入る頻度が上がるからです。
食べる楽しみも、この季節はとても強い味方です。さつまいも、かぼちゃ、きのこ、梨、ぶどう……秋の味を1日置きくらいで食卓に載せてみると、「今日は何にしよう」という迷い方ではなく「今日はどの秋にしよう」という選び方に変わります。小さな変化ですが、同じ炊き込みご飯でもきのこを変えるだけで香りが変わりますし、スープにかぼちゃを足すだけで食卓の色がふんわりと明るくなります。見た目が変わると、家族の反応も少し変わります。これも気分を持ち上げる大事な切っ掛けです。
身に付ける物に秋を混ぜるのもおすすめです。全身を買い替える必要はありません。例えば、普段のトップスに1枚だけ秋色のカーディガンを足す、マスクやハンカチを落ち着いた色に揃える、ヘアアクセサリーをこげ茶やボルドーにしておく。外に出る時間が短くても、家の鏡に映る自分が季節を纏っていると、「今日はちゃんとしてる」という気持ちになりやすくなります。気分が前向きだと、家の中の片付けや清掃にも手が伸びやすくなるので、ここは思っているよりも効いてきます。
住まいそのものに手を入れたい方なら、水周りか光周りのどちらかを選んでみてください。水周りであれば、トイレやお風呂の小物を1つだけ上質な物にしてみる。毎日使う場所なので、触るたびに「ちょっといい」と思えます。光周りであれば、リビングの照明を温かめにするか、テーブルの上に小さなスタンドライトを置いてみる。秋の夜は暗くなるのが早いので、光が1つ増えるだけで家の時間がグッと落ち着きます。ここは気温ではなく「光の量」が季節感を作るところなので、小さな投資でも変化を感じやすい部分です。
趣味に寄せたい方なら、眺めて楽しむ物を1つ足すのもいいですね。絵や写真、フィギュア、季節の鉢花、小さな盆栽。特に秋は落ち着いた色合いが映えるので、玄関やリビングの隅に観賞用のスポットを作ると、お家に帰ってきた時の「よく戻った」という感じが強くなります。家のどこかに「飾るための場所」を決めておくと、そこだけ少し格上げしたような雰囲気になり、生活感とのメリハリが出ます。大きな部屋でなくても、棚1つ分あれば十分です。
ここまで読むと「あれもいい、これもいい」となってくると思いますが、ここで一息です。秋のプラスワンは、勢いで全部替えてしまうより、季節の流れに合わせてゆっくり足した方が楽しめます。1週間に1つ、または半月に1つくらいのペースで「次は何を足そうかな」と考えると、その時間そのものが楽しみになります。買う時・置く時・使う時・眺める時の4回くらい気分が上がるので、1つの品から長く嬉しさを引き出せるんですよね。
秋は、静かに過ごしたい人にも、気分を変えたい人にも寄り添ってくれる季節です。だからこそ、少し気の利いたものを1点だけ足して「この家は今の季節をちゃんと感じている」と思えるようにしておくと、日々のニュースや外のざわつきに振り回されにくくなります。自分の暮らしの中心を、季節の心地良さ側に置き直す――それが、秋のプラスワンの一番の狙いです。
第4章…1日1点未満でジワッと続けるマイルールのすすめ
ここまで読んで「やってみたいことが増えてきたなあ」と感じていたら、とても良い流れです。ただ、ここでもう1つ大事になるのが「急に全部やらない」ということです。人の気持ちは面白くて、思いついた時が一番熱量があります。だからその勢いで、玄関もリビングも水周りも服も一気に変えたくなるのですが、生活って明日も明後日も続きますよね。今日のテンションだけで全部を動かすと、数日後に「やり過ぎたかも…」となってしまい、せっかくの秋らしさが疲れに変わってしまいます。
そこでお勧めなのが「1日1点未満」という緩いマイルールです。これは、毎日何かを買う・飾るという意味ではありません。気になる場所や物があったら、その内の1つだけに手を入れる。しかも「今日はここだけ」と決めて、それ以外には手を伸ばさない。これだけで、暮らしのリズムが乱れずに済みます。人は「まだ続きがある」と思える時に、次の日も前向きに取り組めます。逆に一度にやり切ってしまうと、次の一手を考えるのが面倒になりやすいんです。
例えば、今日は洗面台の横に秋色のタオルを足したら終わり。明日は玄関に花を移して終わり。週末に照明を温かい色にして終わり。こんな風に細かく分けておくと、行動の1つ1つが小さな達成感になって積み重なっていきます。「変える」ことが特別な作業ではなく、日常の一部になっていくわけですね。そうなると、季節が冬に向かっても同じテンポで暮らしを整えられます。
もう1つ、このやり方には良いところがあります。それは「選び方が丁寧になる」ということです。一度にたくさん手に入れようとすると、どうしても似たような色や形を買ってしまったり、家に合わないものを連れて帰ってしまったりします。でも1点だけ選ぶと決めていると、「本当に今の家に必要かな」「この色はうちの照明でどう見えるかな」と想像する時間が生まれます。この想像する時間こそ、暮らしを自分の手に戻していく大事な過程です。選ぶ時に心を使った物は、置いた後も大事にされます。
続けるための小さなコツとしては、「秋の間だけ使うもの」と「通年で使えるもの」を混ぜておくことです。完全に季節物のアイテムばかりだと、季節が変わるたびに全部入れ替えなければならず、結局また大仕事になってしまいますよね。そこで、器やトレイなど年間を通して使えるものを一つ、秋らしい色や香りなど期間限定のものを一つ、というように組み合わせると、季節が変わる時も軽やかに衣替えができます。土台を決めておいて、そこに季節だけ差し替えていくイメージです。
そして何より、ゆっくりしたペースで続けると気持ちが置いてけぼりになりません。「今日はこれでよし」と終わらせると、自分を褒める余裕が生まれます。この余裕があると、ニュースや周りの状況が騒がしい日でも、家の中だけは落ち着いた温度を保てます。外の空気が変わっても、自分の家には自分で整えた秋がある――そう思えることは、思っている以上に心の支えになります。
秋は緩やかに深まっていく季節です。だからこちらも、緩やかに暮らしを深めていけばいい。1日で10やるのではなく、10日かけて1ずつやる。そうして出来上がった空間は、流行りに流されず、家族の生活に寄り添ったものになります。慌てず、急がず、自分のペースで。これが4章でお伝えしたかったことです。
[広告]まとめ…少しずつ足していけば気持ちも生活も季節に寄り添っていく
この数年は、外からやってくる変化に合わせるだけで精一杯でした。人との距離を考え、家で過ごす時間を増やし、体調にも気を張る――そうした暮らし方は、目には見えにくいところで心をすり減らします。だからこそ、落ち着きが戻りやすい秋のタイミングで「今度は自分の方から小さく整える」という向きに舵を切ってあげると、生活の温度がフッと下がって、呼吸がしやすくなります。
ポイントは、最初から大きなことをしようとしないことでした。よく目に入る場所に季節の色を一色足す、使うたびに気分がよくなる道具を1点だけ迎える、玄関やリビングに眺めるためのスポットを作る――こうした「ほんの少しだけよくする」工夫は、家に住んでいる人の気配を明るくしてくれます。季節の花を飾ってもいいし、秋らしい飲み物に拘ってもいいし、マスクやタオルの色合いを変えてもいい。どれも大袈裟ではなく、今日から出来ることばかりです。
そして4章でお話ししたように、これらは一気にやるよりも、1日1点未満でジワッと足していく方が続きます。ゆっくり進めると、選ぶ時に「本当にこの家に合うかな」「この色は今の気分に合っているかな」と考える時間が生まれます。考える時間が生まれると、暮らしを自分の手に取り戻したような感覚になります。これこそが、外の状況に振り回されないための小さな土台になります。
秋は、光も音も匂いも柔らかくなる季節です。こういう時期に丁寧に手を入れておくと、冬に向かっていく時も心が冷えにくくなります。全部を変えなくて大丈夫です。あなたが毎日通る場所、毎日見るもの、毎日触るものから順番に、季節のお裾分けを置いていってください。そうして積み重ねた「プラスワン」は、やがて家全体の雰囲気を変えますし、そこで暮らす人の表情まで穏やかにしてくれます。
どうかこの秋が、我慢だけの季節ではなく、「あ、家ってけっこう心地いいな」と言える季節になりますように。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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