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昔話シリーズです。
『 うぐいす長者 』という昔話をご存じですか?
タイトルからも鶯が登場するお話が想像できますよね。
花札でも2月は梅と鶯の札。
時候に合うネタかなぁと思いながら、記事にしてみました(*^▽^*)
前回、2月の花札として知られる梅と鶯…。
じつは梅とメジロ?というお話を↓でご紹介させていただいたところです。
他にも2月を表す季語として梅と鶯はいろいろな形で登場します。
歴史的にも文献にちらほらと登場するようです。
鶯宿梅 ( おうしゅくばい ) という故事がありますがご存じですか?
平安中期900年頃に在位された村上天皇のお話ですが、庭の梅が枯れたので、家臣に命じて梅の木を調達。
ところが調達された梅の木は立派だったが、短冊が添えられており、
『 勅なればいともかしこしうぐひすの宿はと問はばいかが答へむ 』
と、書かれてあった。
天皇陛下の命令なので差し出したが、毎年来る鶯に宿はどこ?と問われたらどう答えましょう?という意味。
天皇陛下は文字の達筆さや教養から当時の風流人であった紀貫之 ( きのつらゆき ) の娘紀内侍 ( きのないし ) の和歌を褒めて、取り上げた梅の木を褒美として下賜したのだとか…。
延喜・天暦の治とも呼ばれる公家政治の頂点を極めた頃の記録ですが…。
庶民にお詫びせずに、下賜として切り替えしたものの、元の持ち主に梅の木が戻された結果が、まだ庶民に向けた感情が伺えて許せるところでしょうか。
そのように昔から梅も鶯も重宝されてきたという一例です。
さて、うぐいす長者という昔話があります。
1 商人が冬空の行商の帰り道に道に迷う。
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2 梅の花の香りに誘われた先で4人の娘に出会い、屋敷で歓待を受ける。
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3 屋敷の娘たちの母が子らと共に花見に出掛け、退屈であれば4つある蔵の3つまで覗いても良いと告げる。
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4 蔵を開くと中は美しい夏景色、秋景色、冬景色を広げる。
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5 商人は母親が言った言葉を思い出したが4つ目の蔵を誘惑に負けて開けてしまう。
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6 穏やかな春景色が広がるが、梅に止まっていた鶯たちは飛び立ってしまう。
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7 美しい景色や周囲の屋敷は霧散して草藪に変わる。元の冬景色の中、男は泣く泣く立ち去った。
と、こんなお話です。
北陸地方や東北地方で著名な昔話です。
より有名な鶴の恩返しのお話にも似ていますよね。
今回は登場人物を6人、商人、娘4人、母親としていますが、商人と娘1人の場合もありますし、老夫婦と娘たちなど登場人数にアレンジもあります。
蔵という設定も屋敷の座敷に変わって障子を開けるたびに景色が変わるという設定もあります。
数も13とするお話もあります。
共通して禁を破った男が全てを失うという部分は共通しています。
道に迷って冬山で凍死するところを救われた商人。
救われて歓待されて、とても大満足。
うぐいすたちがおもてなしをしてくれるのですが、約束を破ったために全てを失ってしまいます。
約束はとても大事ですということですね。
約束を守っていれば楽しい生活はまだまだ続いたのかもしれません。
さて、いずれのアレンジでも四季の風物詩・風情が折り込まれています。
日本の四季や海山谷など景色を見て楽しむシーンです。
じつに日本と日本人らしい贅沢な夢ですよね。
現代では写真技術もあるので、映像記録で見ることも出来るのですが…。
四季の景色を見ることだけは出来るようになりました。
視覚と聴覚で昔話の世界の一端はテレビで再現できるようになりましたね。
温室・ハウス技術では触覚や嗅覚、味覚も一気に四季を感じられるようになったでしょうか…。
なんとなくですが、何かが足りない気がしますよね…。
自然と人工物の差は大きな大気でしょうか…それとも気のせいでしょうか…。
それはともかく…。
自然を楽しむ感性は古くから大事にされてきた要素なんですね(*^▽^*)
梅と鶯の組み合わせはじつに昔話にも含まれていて我々のご先祖から脈々と大切にされてきた文化の1つだと感じさせますよね。
天皇陛下があちこちから徴発する様子を皮肉った紀内侍の言葉も度胸がありますよね…。
勅命とはいえ、自然の物を自然に愛する心が大切!そう伝えたかったのかもしれませんね。
四季のその時節にあるからこそ、最大限に美しさを感じるものかもしれません。
一気に見れたとしても、違和感を感じますからね…。
それは四季を楽しみに待つ、時候を楽しむという心持ちから生ずるものかもしれません。
う~ん、四季…感じること…待つこと…偶然に見つかること…。
心豊かに感じられる機会を1つずつ大切に過ごすこと…これがとても大切なことかもしれませんね(*^▽^*)